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ある老人の溜息と液だれ事情 #6

僕なりに幸せな時間を過ごしていた。

美幸と自由に過ごしていた、何年も。
後ろめたいものが無くなったので。
一方的な自分勝手に過ぎない、けど。
やはり自由は、素敵だよ。

仕事も順調で、結果も思った通りの成果が積み上がってきて、
まるで我が世の春を謳歌しているが如く。

離婚後は両親と住む実家で、依然と変わりなく不自由なく暮らせていて、自由を謳歌していた。
とはいえ、美幸を実家に連れて行くには少々気が重い。
新しい彼女ができました。とは両親に言えそうにない。
美幸は、表情や声に出して言うことはないが、内心はそれを望んでいたかもしれないが。
今となっては、もうわからない。

なので美幸と過ごす時は、いつもホテル。 
行きつけのお気に入りがあるわけでもない。 

いつの頃か定かでないけど、あそこの毛を剃るために、ホテルで戯れた。
剃毛は美幸が望んでいて、いつも自分で準備してから僕におねだりするようになった。
じっと見られていて、剃ってもらうことの快感。美幸は、それが快感だと行っていた。

洗面器と石鹸んと、T字剃刀で剃っていた。
最初は手加減がわからず、びくつきながらだった。
自分の髭を剃る時だって、血が出ちゃうこともある。

まして女性のあそこの皮膚は、もっと柔で繊細に決まっているから。
恐る恐る石鹸をつけて、ビビりながら剃っていた。
でも、意外に剃りやすかった。
柔らかい部分もあるけど、一度も傷をつけることもなくて、美幸も恐怖感は全くないようだった。

何しろ、快感で満たされているのがわかる。
手を当てて剃っていると、触った瞬間からそれはわかる。
美幸も、体が「もっと!」っているようだ。

僕と美幸は、幸せ感に満ちていた。 

美幸と一緒にいる時間が長くなった。
自分の服装が変わった、センスは美幸じたて。

ネクタイは、美幸が事あるごとにプレゼントしてくれた。
いつしか、彼女が選んでくるネクタイには、パターンがあることに気付いた。
スーツもそのネクタイに合わせるようになった。
おかげで、仕事に着ていくスーツも今までよりもはるかに上質なった。

普段着も、美幸がプレゼントしてくれるか、選んでくれる。
美幸の見立ては上品で上質を好む。 

美幸のセンスの良さで、僕の株もあがった気がする。

美幸と過ごしている時間に、全く不満もなければ倦怠感もない。
しかし、やはりこのまま何年もこう言う幸せな時間が続くんだろうか。
真剣に考えたことはない。
美幸はどうのように思っているんだろうか。
結婚を前提にしない僕に満足できているんだろうか。

美幸の口から一度も、愚痴らしき言葉を聞いたことがない。


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