見出し画像

ある老人の溜息と液だれ事情 #5

二人の女性を同時に愛せない。

僕は浮気をしていました。
まる6年間。
そして自分から終わりを決めたが、「元カミさん」はどんな気持ちだったんだろう。

喧嘩別れとか、性格の不一致とかではない。
僕が言っても説得力はないが、性格の不一致っていう理由はどうも好きではない。
夫婦ってもともと他人だし、血の繋がりはないのだし。
育った環境も違うし全て違う、だから性格なんて違って当たり前ではないか。

ほぼ円満は協議離婚でした。
結婚当初から僕の実家に暮らしていたが、その後「元カミさん」はどうしたか。
母が亡くなった後に知ったが、母が住まいやらいろいろ生活に困らないように支援していた。
至らない息子でごめん。

僕は6年間「元カミさん」に嘘をついて、知らんぷりしていた。
でも、きっと気づいていたのだな、という確信は離婚後に悟った。
最後まで僕に気を使っていてくれて、感謝しかない。
浮気していたのに、そんな言わば未練たらしいこと言って情けない気持ちもあるけど。

夫婦生活には何も不満もなかったし。
いっときセックスレスの時もあったけど、時間がたったら普通にしていた。
ただ、二人女性と同時進行していたので、申し訳ないような気もした。

「元カミさん」は、気づいていたのかと言うと、多分知っていたんだろうな。
どんな気持ちで、僕を受け入れてくれていたんだろう。
やっぱり優しい人だったのは、わかる今でも。

今は再婚して、幸せに暮らしている。
僕が10年ほど前に大きな病気をして大学病院に入院中に、見舞いに来てくれた。
その時は両親も亡くなっていて、完全な独り身だったので、哀れに思ったのかな。
旦那さんに言うと焼き餅を焼くので、内緒できたと言っていたっけ。
おまけに、旦那さんのお母さんが炊いてくれた炊き込みご飯も持ってきてくれた。
知らぬは、旦那だけか、、、。

別れる最後の晩、深いセックスをした。
「元カミさん」から行ってきた、もう最後だから「しよう」って。
一番、記憶に残っているセックスだったかも。
ずーっと挿入していてもいい、そんな気分。
離したら、終わっちゃう。

どうして、同じ人をずっと愛してあげられなかったんだろうね。 

そして、僕は同じ過ちを繰り返した。 

ただそれからは、二重生活から開放されて、美幸と自由に出来た。
「結婚して」って言われたけど、その台詞はそれきり一回こっきりだった。
僕は、「結婚できない」と一回だけ伝えた。
僕が離婚後、美幸との会話で交わした会話「結婚して」、「今は結婚しない」は一度だけで、それ以後交わしていない。

それでも、僕に付き合っていてくれた。
2年間は二人で自由に過ごした。
僕は再婚する気がないって、知っているのに。
会いたい時にいつもいてくれて、時間の都合がつくときはいつも二人で過ごした。 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?