見出し画像

Episode 76 ダイヤグラムが拙いのです。

ダイヤグラムってあるじゃないですか。
交通情報で良く聞く「正常なダイヤで運行…」とか「この影響で大幅にダイヤが乱れて…」ってテレビやラジオで言っているヤツです。
この正確な運用によって鉄道は正確な運行が可能になっているんですよね。
鉄道ファンには時刻表マニアみたいな分野があるようで、細かく計算されたダイヤグラムを見るのが楽しみな方もいるとか…。

度々登場する朝の時間の話は、工程表とか時刻表で説明できます。
私は時刻表通りに運行される電車の運転手だと思えばいいのです。
〇時□分に△駅に到着…って話です。

定時到着するには、駅間を予定通りの速度で正確に運行する必要があります。
だから、何にどれだけの時間を要するのかを把握するのは私にとって極めて重要なことになるのです。
例えば…朝起きてコーヒーを入れるのですが、お湯が沸くのに5分かかり、ドリップするのにさらに3分…とかね。
それぞれ「この作業には何分かかる」って数字があって、そこが具体的だからこそ目標地点到着からの逆算による時刻表の作成が出来るわけです。

私の時間把握は行動開始から終了までの物理的な所要時間しか入っていません。
それはそうです…工程表や時刻表に具体的作業時間以外の要素を盛り込むわけにはいきません。
ギチギチの工程で余裕がないなと感じれば、緩衝材として予備日や調整時間を挟み込む方が理にかなっているからです。

ところが、私にとって重要な具体的所要時間の把握は、時として私自身を苦しめることになるのです。

先日のパートナーとのデートの話です
あの日は「今」の解釈について、私と彼女にボタンの掛け違いがありました。
このタイミングで私の中では「今」を基準にしたダイヤグラムが作り上げられているワケです。
工程表や時刻表ではなくダイヤグラムです。
私という電車と、彼女という電車の運行表がダイヤグラム上に表記されるということです。
ダイヤ通りに電車は運行されて、彼女と楽しい一日を過ごす…ハズがですよ、彼女という電車は余予定通りの出発時刻に出発しないわけです。
当然のようにダイヤが乱れ、その日のうちに平常運転に戻すことが難しくなるのです。

もう本当の原因がダイヤグラムだということが分かりますよね。
時刻表で私の時間を管理しているうちは良いのです。
自分が思い描く到着時刻に作業が終了して、設定した調整時間を使って待っていればいいんです。
それが、いつの間にか人の行動も時刻表管理するダイヤグラムに変わる…ここが問題なのです。

楽しく過ごしたいから、イベントを色々と考えるわけです。
ランチはあの店に食べに行って、その後は映画見に行って…映画の上映スケジュールをチェックしとかないと、それで…。
自分の頭の中で次々とスケジュールが組まれていく過程に「彼女」が存在しません。
楽しんでもらいたいから色々と考えているハズなのに、楽しんでもらえる前提でのスケジュール作成に変わってしまっているのです。

彼女が好きなことを私の記憶の中から掘り起こして、今日出来そうなことをセレクトして…。
でも、今日本当に彼女がしたかったことは何だったんでしょうね。

鉄道のダイヤグラムは、その通りに運行することが絶対のルールとしてあるから成立するのです。
私という電車も、彼女という電車も、その通りに動くから事故が起きないのです。
でも、私が作ってしまったダイヤグラムは私の中でしか運用できていないのです。
彼女はそのダイヤグラムの存在すら知らないのです。
当然ダイヤは乱れるし、事故が起こるのは必然です。

一所懸命になり過ぎたときは危険です。
イロイロと思い描くあまりに、私自身の基準のみで人の行動を仮定してスケジュールを立てていることがあります。

鉄道の完成されたダイヤグラムは見事なものです。
でも、私の頭の中にダイヤグラムが出てきたらそれは赤信号、いったん止まって深呼吸。
そうは言っても、これがなかなか難しくて…。

旧ブログ アーカイブ 2018/11/29

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?