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近いが故にできません。

前回の「フリーレン考」を挟んで、その前の投稿で書いた、レイ(@wagonthe3rd)さんのこのポストから思うこと…今回はその後編です。

先ずは前編のおさらいから…。

Autistic の中にも一般定型者がメインの現状の環境適応に長けたタイプが一定数いて、Autism 特性が隠されずに押し出されているにもかかわらず、そのタイプの人が何故か「まぁ良いか」…と許される理由は、Autism の当事者が発する非言語メッセージにポジティブな要素が多く含まれるからだろう…というハナシでした。

ただね、レイさんのポストでは、ここの部分はホンのサラッと書かれているだけで、だから苦手な非言語メッセージの読み解きに注力を注ぐよりも、自ら発する非言語メッセージがネガティブに働かないように、誰かとチェックした方が良いよね…と説いているのね。
レイさんとしては、恐らくコッチの方がポストのメインテーマだっただろうと思います。

ただね、ここに行き着くまでに1回分のnote記事が書けるくらい、この「ポジティブバフ」という発想が思いつかないほど、Autistic は非言語メッセージについてのコミュニケーションへの鈍麻があるのだと思うのですよ。
ナチュラルにポジティブな非言語メッセージが発せられる Autism の当事者も、それが自分にとって有利な状況を作り出す「バフ」として機能しているとは…先ず思わないでしょう。

だからね、この「自らが発する非言語メッセージ」がコミュニケーションに与える影響がどんなものなのか…を、Autistic 自身が知る必要があるのだと思ったのです。

さて、その上で、私はレイさんのポストを引用して、次のようにリポストしたのです。

私の発している非言語メッセージは周囲の人たちにどのように受け取られているのか…については、相手の立場から私の姿を想像することが苦手な Autistic と言えども「全くできない」ワケではありません。
ただし、「他者視点が弱い」を Autism の本質と捉えた時、「他者視点が弱い」という特質を持ったまま思考回路が発達して行くワケでして、「他者視点がある」ニューロティピカルと呼ばれる定型一般の思考回路と根本的に構造が異なる点は、知っておかなければならないのだと思います。

かなり乱暴な言い方をすれば、Autistic が発する非言語メッセージは、相手が「ポジティブ」と感じようが「ネガティブ」と感じようが、他者視点を鑑みた結果ではない…ということね。
その Autism デフォルト設定から「人工的な他者視点」を用意して社会適応しようとするワケ…それが「全くできない」ワケではないとする理由です。

ただ、コレはあくまでも人工的な「付け足し (add_on)」だからね、「多数派の変化が必要です。」でお話ししたように、Autism の基本構造が変わるワケではないのです。

だからね、レイさんが言う「『非言語メッセージ』を信頼できる定型/典型発達者やできれば専門家と検討して対処を考える」は、Autistic を現状の社会に適応させるバージョンアップの検討と言うことになるのだと思います。
私の不安は、その「バージョンアップの検討を誰と行うのか」…ということです。

結論を先に言ってしまいましょう。
「非言語メッセージ」の定型一般対応の「付け足し (add_on)」検討は、知識を持った第三者と行う必要がある…が私の出した答えです。
親子やパートナーとの検討は、全くムリだとは言わないけれど、リスクが高いと思うのです。
以下、そう思った理由を書きます。

親子やパートナーが検討する相手として「ハードルが高い」…その最大の理由は、利害関係があることです。
親子の場合はわかりやすいですよね。
保護者と被保護者という関係であれば、同じように確保されなければならない人権を以てしても、被保護者の立場はなかなか保護者と対等を保ち難いだろうと感じます…私の経験上、少なくとも、親の言うことに反抗するには勇気が必要になることが多いワケで。

そして、相手がパートナー…は、良好な関係を保ちたい意識が強く働くことによって、「波風を立てないにはどうするか」と言う思考に陥り易いのだと思います。
大好きなあなたとはケンカしたくないし、失敗したくないからね。

他者視点が弱い Autism 特性による「ネガティブな非言語メッセージ」を利害関係のある相手に指摘されてしまうとは、私の安心感に「デバフ」の効果を与えてしまうのだと思います。
ただでさえ自信のない私の発する「非言語メッセージ」に対する、あなたからの反応を気にするようになるのは、想像に易い展開です。

バフの効果を得たい相手を検討相手にすることは難しい…。
距離の近い相手というのは、近さ故の難しさがあるのだと思います。
近さ故にできないこと、できなくなることがあると、頭の片隅に入れておかないと…と、そんなことを思うのです。

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