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Episode 453 回転数を上げるのです。

最近のクルマは、私が車の免許を取った平成元年頃のものとメカニズム自体が大きく変わってしまいました。
ハイブリッド車が主流となり、EVと呼ばれる電気自動車が実用化され…。
ガソリンや軽油を燃料にする内燃機関(エンジン)のみを動力源とせずにモーター併用とかになった都合、トランスミッションなどの動力伝達装置との組み合わせも複雑になって、昔ながらの有段手動シフト(MT)のような簡単な構造のものが減ってしまったように思います。

MT車は、機械的な構造自体は非常に単純である反面、状況に応じたシフトチェンジを全て手動で行う必要があり、操縦するにはある程度の慣れと感覚が必要なのです。
今でこそクルマのインパネに装備されているメーターのうち、速度計以外は「飾り」になりつつありますが、旧式のMT車…特にスポーツ走行をするようなクルマには回転計(タコメーター)が必須なのです。
各シフトごとのエンジン回転数と車速が正比例の関係になるマニュアル・トランスミッションでは、エンジン出力を効率的に使える「パワーバンド」と呼ばれるエンジン回転域の中に納まるように自分に意思でシフトを選ふ必要があったのです。
このシフトチェンジのセンスはハンドル捌き・ブレーキ操作と並び、運転の巧さを決める重要な要素で、キビキビと走るスポーツ走行も、回転数を抑えた燃費走行も、「どのようにエンジンを使うのか」を、ドライバーが意識して使い分けていたのです。

ASDという発達障害を抱える私は、私自身を旧式のMTを装備した自動車のようだと感じることがあります。
それはつまり、自分で意識してシフトチェンジしないと、エンジンの回転数が下がりすぎてエンストしたり、逆に回転数が上がりすぎてエンジンブローしたり…ということです。

前回の記事は、過集中を防止する方法としての苦手の意図的な利用法…という話でした。

これをMT車のシフトチェンジに擬えて表現すれば、車速が上がり過ぎないようにエンジン・ブレーキを効かせる…ということになります。
それはつまり…。

得意なことは、実はとてもエネルギー消費が少ない…つまり効率(パフォーマンス)の良い分野なのだと思います。
私にとっては、「見る」という動作をダイレクトに感じられる分野が「それ」に当たります。
前回の記事の中では「料理を作ること」…ということでした。
ところが…この「料理を作る」という作業はあまりにも効率が良すぎて、私の頭の稼働量が足りなくなってしまうのです。
そうですね…3,000回転は欲しい「私の思考量」というエンジンに対して、「料理を作る」という単独の作業での思考量は2,000回転だという感じで捉えていただければ良いかな、と思います。
物足りない私の頭は「パワーバンド」に足りない1,000回転分の思考量を探すことになります。

これの解消法として、いちばん簡単なのは料理を作る作業に残りの1,000回転を投入してしまうことです。
ところがですね、私のとっての料理は、そもそもパフォーマンスが良いのです。
ここに残りの1,000回転を投入すると、車速が上がり過ぎてしまうワケです。
つまりね、80km/hで走りたいのに、回転数を上げることで100km/hになってしまう…いわゆるこれが過集中状態。

それでは、3,000回転キープで80km/hにするにはどうするのか…と言うと、つまりシフトダウンする…ということになります。
意図的に1,000回転分の苦手を混ぜる…ということ。
前の記事の中では「テレビを見ながら…」という並行処理をすることで、1,000回転分の思考量を料理を作る作業に上乗せしていた…ということになります。

前回の記事の「気付き」は、過集中を防止するための苦手の利用法という「気付け薬」の発見でした。
それはそれで間違いない…のですが、まめさんのツイートを見て、どうやらそれの裏側があるのでは…という思いに至ったのです。

3,000回転キープで80km/hにする。
ポイントは3,000回転をキープするということでした。
残念ながら、それをキープするためのトランスミッションは、全て手動のマニュアル式だった…というワケです。
さて、回転数を上げてエンジン・ブレーキは可能でも、上がってしまった回転数を落とすのは至難の業…でして。

定型をAT、ASDをMTと例えた表現は、まめさんのnote記事にも登場します。
こちらの記事、かなりオススメです!

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