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はじめてのラップボーカル録音

TYPE BEATとかフリートラックとか流行ってるので、ボーカル録音する機会がこれから増えてくるのかなと思ってます。なので、自分のやり方をまとめておこうと思います。ぜひ参考にしてください。

マイクはコンデンサーを使う

 これ重要です。ラップでマイクって言えばSM58みたいな感じでダイナミックマイク使う人も多いかもですが、コンデンサーマイクの方が感度が高いので断然コンデンサーの方がいいです。必然的にオーディオインターフェースはファンタム電源付きになります。安いやつなら例えばRODE NT1-Aとかでいけるので、最初からこの手のやつを買います。なんかギザギザしたオブジェみたいなやつや、ストッキングかぶせた円盤みたいなやつも一緒にゲットしておきましょう。

ノイズ対策をする

 コンデンサーは感度が高いので、いわゆる部屋鳴りとかも拾ってしまいます。なのでそれを抑えるべく、例えば毛布かぶって録音したり、リフレクションフィルター買ったりしてトリートメントします。

 また、冷暖房、除湿機や加湿器を切るなど、部屋から音の鳴る機械を全てオフにするのも重要です。これが意外と忘れがちですが、静かな曲だと後でノイズが聞こえて、消すのに苦労することもあります。

真空管を通す

 これはたぶんミックスの段で効果発揮しますが、真空管機材を必ず一回は通すことで、ボーカルの存在感をグッと増すことができます。EQはかけすぎると音が意図しない方向で変化することがあるので、ここで真空管の自然な効きを利用します。

 具体的には、真空管コンデンサーマイクを使う、真空管のマイクプリを使う、Universal Audioのインターフェイスについてる真空管のマイクプリのエミュレーションを使う、などの方法があると思います。

EQをかける

 ここからはミックスの作業になります。当たり前かもしれませんが、EQは使います。最前段のEQの役目は基本的にローカットです。コンデンサーマイクの中にはローカットついてるものもあるので、そういうの使うのもありです。その場合はどれだけローが消えてるかをアナライザー等で確認するのも忘れずに。いわゆるサージカルな用途なので、デジタルなEQとかが良いです。

コンプをかける

 自分はこの段でコンプかけます。一番手っ取り早い方法は、LA-2Aタイプのコンプで4dbのゲインリダクション(GR)の設定にすることです。あんまりつっこまなくてもいいのでゲインはいじらなくてもOKで、PEAK REDUCTIONのツマミだけいじって一番大きいところで4db潰してるみたいな感じでいきます。コンプは好みあるので、別のやつ使っても良いですが、4db潰すくらいが、だいたい音量揃ってくれて良いのかなと。

 留意してほしいのは、これはラップのボーカルのみ想定したものということです。歌もので女性ボーカルの場合は全く勝手が違ってきます。レコーディング時にゲインをリアルタイムで変えていく必要も出てくるので、あくまでこれはラップの話です。

EQをかける(2回目)

 ここで再びEQを使います。ここはPultec系のEQか、ボーカルにMaag EQ4なんか使っていますが、900Hz~2kHz周辺に言葉が聞こえやすくなるポイントがあるので、そこを必要に応じてブーストします。

また、いわゆるAIR BANDと呼ばれる10kHz~12kHzの部分をブーストします。これはトラックとの兼ね合いで、どこまでブーストするか決めてください。また、実際にブーストするポイントは、声や音程によって変わるので、実際にやりながら決めてください。目安としては、ボーカルの超高域の存在感が、トラックのそれより前に来るようにしたら良いです。ただし、ここはブーストし過ぎは良くないのでご注意を。変だなと思ったらその手前で止めておきましょう。

歯擦音のトリートメント

 歯擦音は結構外国人とか気になる人多いみたいで、ケアしといた方がいいです。ただ、自分は日本人なのでそこまでここに時間かけません。wavesか何かのプラグインのディエッサーのプリセットで、歌詞のサ行のときに「シュッ」って出る音を抑えるのみです。やりすぎると変になるのでその手前で止めておきましょう。んで、これは2回目のEQやった後の方がいいです。

ステレオ感を出す

 ラップなのですが、あくまで控えめにディレイやリバーブをかけます。ディレイについては、ディレイタイムは短めのショートディレイを30ms〜50ms、左右違うディレイタイムでかけてステレオ感をだします。これはフック部分に効果的です。

 また、オートチューンかけたやつはラップというより歌と考えるので、ディレイタイムを8分の1拍子〜16分の1拍子で普通にかけた後、控えめになる方向で調整していきます。ディレイの前段にサチュレーションとかディストーションを加えるのも効果的で、原音を保つ程度に加えます。

 リバーブも薄くかけます。リバーヴタイムも広さも控えめで、低い方に少し響きを感じれる程度にハイカットをかけて収めます。イケてないと思ったらリバーヴタイプを変えたり、なんなら使わなくても大丈夫かもです。これはバース部分で試してみてください。

トラックとのバランスを調整する

 トラックとのバランスが一番、最終的な仕上がりを左右するんですが、例えばYoutube経由でTYPE BEAT買った人というのは、ステムではなく2MIXのトラックにラップする時が、たぶん多いのかなと思います。

 トラックのボリュームを変えずにボーカルを乗せるとボーカルがヌケて来ないことはよくある話ですね。トラックのボリューム下げても大丈夫ですが、それでも抜けてこないようなときは、MSの付いたEQで、トラックのモノラル部分の900Hz~2kHz周辺を、Q広めで2dbを目安にカットしたらどうでしょうか?2回目のEQでブーストした部分が効果的だったりしますし、そうでもないときもあります。一旦Q広めで調節しておいて、Qは狭いほうが影響は少ないので、できるだけ狭くした方がいいです。

 T-Racksに入ってるリニアフェーズEQなら、トラックへの影響最小限でカットできます。他にもMSのついてるリニアフェーズEQなら同じことできます。


良い感じのバランスになったら、完成ですね。マスタリングしましょう。

TYPE BEAT買った人はこれ参考にミックスしてみてはどうでしょうか。


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