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黒澤明『生きる』について

 表題のDVDを観た。学生のころに見たはずなのだが、もしかしたら途中で寝たのかもしれない。中年になった今になって見ると、学生のころより心に染みるものがあった。

 話の中で、主人公は胃癌宣告されたことを機に、自分がこれまで何も成し遂げていなかったを痛感し、仕事に情熱を燃やすようになる。しかし、映画の中の人物が言ったように、「僕らだっていつぽっくり逝くか分からない」。そう考えると、ただ漫然と生きるのではなく、何かに情熱を燃やして取り組みながら生きれたらいいなと思う。

 映画の最後、主人公の同僚たちが、主人公のように情熱的に仕事に取り組むことを誓いながら盛り上がるシーンがある。しかし、翌日からまたこれまで通り漫然と仕事に取り組むシーンが映される(例外的な人物もいるが)。ものすごい皮肉だと思う。

 最近、自分も身近な人々との死別を経験する中で、自分は残りの人生で何ができるだろうかと考えることがある。もしかしたら、人生の折り返しをもう過ぎているかもしれない。この世に生きて良かったと思えるような死に様が迎えられたらいいと思う。

 ちなみに、主演の志村喬は関西大学に通っていたらしい(中退)。自分も関大出身なので、なんか嬉しい。


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