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日系海外進出ホテル その4 JRホテルズ

海外に進出する日系ホテルチェーンの進出状況を紹介していきます。掲載内容は基本的に各チェーンホテルのホームページやリリース情報をもとに解説していきますが、一部の情報は筆者の主観も含まれます。原則、海外展開ホテルの状況に特化していきますが、ホテルの成り立ちなどチェーンの概略情報も適宜加えております。

本日は「JRホテルズ」についてです。

日本ホテル業界の巨人

日本国内には様々なホテルチェーンが存在しますが、個人的には、JRグループのポテンシャルがピカイチなのではないかと思っています。国鉄からの流れを組むJRブランドの知名度や安心感、そしてターミナル駅周辺など一等地に多くの遊休不動産を有する資産力、総合レジャー産業としての相性などなど、他のチェーンでへ決して真似のできない強みがあります。

各エリアの運営は別々

一方、弱点といいますか、その力がしっかりと活かせていないかなと感じるのは、JR各社のホテル経営/運営会社が地域別にぶら下がっており、それぞれが独自の展開方針で店舗展開を進めているところでしょうか。

JR東日本はメトロポリタンやメッツ、東海がアソシア、西日本がグランヴィアやヴィアイン、九州はブラッサム、北海道はJRインなど個別のブランド展開を行っており、イマイチ統一感が見られません。それ自体は地域性も鑑みて悪いことだけではないのかもしれませんが、話しをややこしくしているのは、各グループの自社の守備範囲(エリア)を超えた進出が起きている点です。例えば、西日本がヴィアインを大井町に、九州が新宿にブラッサムを展開したりです。グループ各社にとっては正当な競争関係なのでしょうが、すこし勿体ない気もします。

ただ最近では共通のポイント制度の導入など徐々に各社の垣根は取り払われているのかもしれません。いずれにせよJRグループが有機的に結合して運営を始めたら、間違えなく日本国内最大のチェーン展開になるでしょう。

鉄道会社の海外進出について

さて、少し国内の話しが長くなりましたので、肝心の海外進出の話しに移ります。鉄道系のホテル会社の方とお話しをして、みはさん口を揃えていうのは、国内需要の先細りです。インバウンド需要などに支えられることで内需活性化は一定程度保たれるかもしれませんが、やはり少子高齢化という大きな波は避けようがなく、各社とも大きな危機感をもちながら、将来の生き残り策を模索しています。また、海外展開による自社ブランドの認知度向上により日本へのアウトバウンドの効果も期待しているとか。次回、ご紹介する予定の西鉄、相鉄などの私鉄組も同様の理由での展開と考えてよいでしょう。

JRがいよいよ海外に目を向け始めた

このブログでの海外進出の定義の一つに、「海外での複数店舗の出店」、「将来に向けての積極的な展開方針」としていましたので、その意味では、初めて海外進出を果たしたばかりの同社はそれには当てはまらないのですが、やはりJRというポテンシャルの大きさを考えると無視はできません。出店1号は、日本人の出張、レジャー需要も旺盛で、日本へのアウトバウンドも多い台湾(台北)です。日系ホテルの台湾進出は一つのトレンドともいえ、進出エリアトップ3の一つです。このあたりはまた別の記事で整理します。

メトロポリタン台北

2021年にJR東日本の海外進出の第一号となるメトロポリタン台北がオープンしました。新築ではなく、いわゆる居抜き(旧ウェスティン台北)の案件ですが、ブランドにプレミアを冠し、メトロポリタンの上位ブランドとしての船出です。台湾企業との合弁事業ではありますが、文字通り、JR自社ブランドでの海外本格進出であり、JRグループとしても力を入れている案件かと思いますが、今のところ、次の海外案件の情報は入ってこないので、先ずは当地でのパフォーマンスを見定めているところなのでしょう。国内同様、この進出はJR東日本としての展開ですが、他のグループ会社もこの流れに追随するのでしょうか?今後の展開が楽しみです。

今日はこのあたりで



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