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コロナパンデミックが学生文化を断裂させる?近大の調査から考える、コロナによる地味で大きな大学の影響と変化。

新型コロナウイルスが大学にどんな影響を与えるのか。とても興味深いテーマではありますが、現在進行系で状況が変化しているため、なかなか落ち着いて考えにくいようにも思います。そんななかでも、なんとなく予想がつくのが、オンライン化による学びの変化ではないでしょうか。今回、見つけた近畿大学の調査結果は、そういったオンライン化による学び……ではなく、あまり深く考えていなかったけど、あーこういう変化も起こりうるよな、という内容が示されていました。

近大の調査は、体育会・文化会クラブなどの学生団体の新入部員数の調査です。この調査によると近大ではコロナ前の令和元年度に比べて、クラブなどの新入部員数が昨年度7割減、今年度5割弱減だったようです。近大だけでなく、他の大学でも新歓祭をこれまでと同じように開催できず、また入部しても活動が思うようにできないことが予測できたわけで、大幅に新入部員を減らした大学は多いように思います。

これについて、新入生たちがかわいそう……と思うのですが、それだけでなく、長期的に考えるといろいろな不具合が出たりするのかなと、そんな心配もしてしまいます。というのも、大学のクラブ活動は、学生たちが主体的に動くことによって成り立っているわけで、運営ルールであったり、伝統であったり、そういったものは先輩から後輩に受け継がれることでずっと保たれています。1年ならなんとかという気もしますが、2年もの期間、新入部員がごっそり減ってしまうと、これらノウハウや文化が断裂する恐れもあるのでは?と思ってしまうのです。

また、学生たちが主体になる団体のつながりが弱まるという意味では、クラブだけでなく、オープンキャンパススタッフや学生広報スタッフ、ピアサポートのスタッフといった、大学広報や学生生活に関わる学生たちの層も薄くなったり、培ってきたノウハウの受け渡しが滞る可能性があります。

クラブの伝統であったり、オーキャンスタッフの運営方法であったりは、大学運営の視点から見たら取るに足らないことなのかもしれません。でも、些末であるからこそ明文化されたり、マニュアル化されたりしておらず、一度失われてしまうと、なかなか取り戻せないように思うのです。そして、こういった断裂や消失が、いち大学ではなく全国的に起こっている。しかもまさに今!そう思うと、なんとなくソワソワとした気持ちになってしまいます。

大げさにいうと、各大学の学生文化が、コロナ・パンデミックの2年で大きく弱まるかもしれないということです。大学の役割が、単に知識や学位の授与だけでないのなら、この変化をどう受け止めるのか、何かしら抗うことが、また利用することができないのか。ちょっと意識的に考えてみてもいいのかなと思いました。

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