花岡 正樹

株式会社hotozero代表、ウェブマガジン「ほとんど0円大学」編集長。大学関連のニュ…

花岡 正樹

株式会社hotozero代表、ウェブマガジン「ほとんど0円大学」編集長。大学関連のニュースや出来事について思ったことを思いつくまま書いています。著書『年齢不問! サービス満点!! 1000%大学活用術』(中央公論新社)ほか →hotozero.co.jp

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アウトリーチの質を上げる必須条件!オーキャンの模擬授業が感じさせる、ターゲット設定することの大切さ

3月に入ってから大学のプレスリリースを見ていると、よく春のオープンキャンパスを伝えるものが目に留まるようになりました。もうコロナの“コ”の時も感じさせないなーと思いつつ、いくつか見比べていると、ちょっとした気づきがあったので、今回はそれについて取り上げます。ちなみに、入試広報ではなく、社会人向けの広報につながる話です。 ターゲット像が見えているオーキャンの「模擬授業」 じゃあ何が気づきになのかというと「模擬授業」です。上に取り上げた駒澤大学と立正大学のリリースにも模擬授業

    • 大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

      普段は大学のプレスリリースからnoteのネタを探すことが多いのですが、今回はX(旧Twitter)で見つけた告知を取り上げようと思います。立命館アジア太平洋大学(APU)の前代未聞の非常にユニークな取り組みです。大学が新しいことを模索するのであれば、これぐらいの突飛さや気概が必要なのかもしれません。 「高校生特命副学長」募集というチャレンジ ではどのような取り組みなのかというと、新高校1・2年生を対象に「高校生特命副学長」を募集するというもの。書いてはみたものの、これだけ

      • 独自のカルチャーに”浸れる”環境が人を育てる。武蔵野大学EMCのイベントから考える、大学で学ぶ意味とは何か

        インターネット上に無料の学びがたくさんあるなか、大学で学ぶ意味とは何なのだろう?こういった問いは、メディアやネットの書き込みを見ていると定期的に目にします。私自身もたまに考える問いではあるのですが、今回、見つけた武蔵野大学のイベントはその答えの一つになるかもしれません。 スタートアップ界隈の”熱さ”を体現した大学イベント では、どんなイベントなのかというと、「EMC SUMMIT −未来の前では、誰もが仲間だ。−」という、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(EMC)の学

        • 伝えたい。でも興味を持ってもらえない…。聖学院の特別授業から見出す、自校教育の新アプローチ

          自校教育というものがあります。在籍している学校の歴史や創設者、建学の精神などについて学ぶことで、自校に対する理解や誇りを育むことを目的にした教育です。大学にとっては、第一志望を落ちて進学してきた学生の気持ちの切り替えに役立てたり、卒業後も見据えた学生との関係性づくりの礎として使ったりと、なかなか重宝したい取り組みです。一方、学生からしてみたら、大学そのものに興味があって入学してくるのは極めて稀。多くの学生は、やりたいこと、学びたいことがあって入学してくるわけで、自校教育は興味

        アウトリーチの質を上げる必須条件!オーキャンの模擬授業が感じさせる、ターゲット設定することの大切さ

        • 大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

        • 独自のカルチャーに”浸れる”環境が人を育てる。武蔵野大学EMCのイベントから考える、大学で学ぶ意味とは何か

        • 伝えたい。でも興味を持ってもらえない…。聖学院の特別授業から見出す、自校教育の新アプローチ

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        • メディア掲載情報と告知
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        記事

          月刊中央公論2024年3月号に「教育現場ルポ 学生のホンネ、教員の困惑」を寄稿しました。

          月刊中央公論3月号の特集「大学と生成AI」に、「教育現場ルポ 学生のホンネ、教員の困惑」を寄稿しました。今回、大学教育の現場で生成AIがどう使われ、どう受け止められているのかを、複数の国立大学・私立大学の教員と学生の声をもとにまとめています。興味のあるテーマについて腰を据えて取り組むことができ、私自身とてもいい経験になりました。 生成AIは大学教育を壊すのか、次の次元に押し上げるのか、それともあまり関係がないのか。立場や視点が変わると考え方が大きく異なり、それでいて異なる考

          月刊中央公論2024年3月号に「教育現場ルポ 学生のホンネ、教員の困惑」を寄稿しました。

          大学にしか成し得ない視点!? 西南学院大学のリリースから考える、よりよい教育を後押しするための広報活動

          大学のプレスリリースには、イベント告知がテーマになっているものもよく目にします。今回、見つけた西南学院大学のリリースも、そんなイベント告知の一つなのですが、内容がなかなかユニークでした。こういう情報発信って大学だからこそだし、工夫次第で広報の可能性が広がるように感じます。 公開練習をプレスリリースすることの意味 ではどんなプレスリリースなのかというと、同大学の法学部公認学生団体「Seinan Vis Moot」が、Vis Mootという模擬国際商事仲裁大会に出場するので、

          大学にしか成し得ない視点!? 西南学院大学のリリースから考える、よりよい教育を後押しするための広報活動

          変化と多様化が押し寄せる今こそ考えたい。大東文化大の就活イベントから連想する、今後の就活支援の在り方

          就活支援や就職実績といった“卒業後”にかかわる情報は大学選びにおいて、とても気になる情報です。私が受験生だった20年以上前でも、こういった情報は積極的にアピールされており、今も昔もその重要性は変わらないように思います。一方、今と当時では社会状況も学生の価値観もかなり変化しており、中身についてはけっこう変わったのかもしれません。今回、見つけた大東文化大学の就活イベントのプレスリリースを見て、これをしみじみと感じました。 今の学生にはぶっ刺さる?タイパ重視の就職イベント では

          変化と多様化が押し寄せる今こそ考えたい。大東文化大の就活イベントから連想する、今後の就活支援の在り方

          ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

          新型コロナが5類になり落ち着きを見せたと思ったら、次は生成AIが社会を揺るがす大きなトピックとしてあらわれました。近年、立て続けに、大学や大学教育とは何かを問い直す出来事が続いています。こういったタイミングだからこそ、自分たち大学が何者であり、何をめざすのかといったことを、あらためて考え、具体化していく必要があるのかもしれません。 今回、見つけた東京工芸大学の「ブランドタグライン」と「ブランドストイトメント」の制定はまさに、これに通じる取り組みです。とはいえ、どういうスタン

          ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

          影響するのは教育だけじゃない?近大の取り組みから考える。大学による生成AI活用のリスクと難しさ

          第170回芥川賞の受賞者がChatGPTを一部使って小説を書き上げたことで話題になっていますが、生成AIの発展はほんと目覚ましいものがあります。今回、見つけたプレスリリースはそんな生成AIの大学での活用についてです。近畿大学の取り組みなのですが、今後、こういうのが増えていくのかもしれませんね。 生成AIを使って大学職員の業務効率を上げる 今回のリリースは、近畿大学でChatGPTに使われているAIモデル「GPT-4」を使った生成AI活用プラットフォーム「Graffer A

          影響するのは教育だけじゃない?近大の取り組みから考える。大学による生成AI活用のリスクと難しさ

          言葉よりも背中で語る?兵庫県立大の学生応援メッセージから考える。在学生に伝える難しさと隠れた波及効果

          昨日、今日と大学入学共通テストが実施され、多くの大学のSNSで受験生に向けた応援メッセージが投稿されているのが目につきます。今回、見つけた取り組みも、そんな大学からの応援メッセージ関連なのですが、ターゲットが高校生だけではないんですね。こういう伝え方って、あまり見たことがなかったので面白いように思えました。 高校生と大学生に応援メッセージを発信する では、どの大学による、どんな取り組みなのかというと、兵庫県立大学による学生に向けて応援メッセージを発信する、という取り組みで

          言葉よりも背中で語る?兵庫県立大の学生応援メッセージから考える。在学生に伝える難しさと隠れた波及効果

          私立大学の研究力を社会にどう広めるか?具体例を強烈に推す、近畿大学の正月広告の凄さを考える

          明けましておめでとうございます。大学に関わる正月の楽しみというと、箱根駅伝もそうですが、新聞に掲載される各大学の広告というのもあります(ないですかね…?)。年々、掲載数が減ってきているように感じ、さびしくはありますが、それでも各大学の特徴が色濃く出ているので見ていて飽きません。 今回、取り上げるのは、そんな新聞広告のひとつ、近畿大学の新聞広告です。実は昨年1回目のnoteも近大の新聞広告を取り上げていて、図らずとも2年連続です。この大学の広告はバリバリに尖っていて、取り上げ

          私立大学の研究力を社会にどう広めるか?具体例を強烈に推す、近畿大学の正月広告の凄さを考える

          龍谷大学で職員向け広報セミナーを開催し、講師を務めました。

          龍谷大学の深草キャンパスと瀬田キャンパスで、それぞれ90分間のセミナー+ワークショップを行い、講師を務めさせてもらいました。テーマは「大学広報における記事づくり」。大学広報にとって良い記事とは何かや、SNSやプレスリリースのテキスト作成についての解説、大学広報に役立つサイトの紹介などなど。かなり盛りだくさんの内容となりましたが、私自身も普段の業務の棚卸しができ、とても有意義な時間になりました。50名以上の方に参加いただき、とても感謝しています。みなさま、誠にありがとうございま

          龍谷大学で職員向け広報セミナーを開催し、講師を務めました。

          周年事業でつくる冊子は周年誌?大東文化大の取り組みから考える、このタイミングにこそつくるべき冊子とは?

          周年事業の一環として発行する冊子といえば「周年誌」だと相場が決まっているのですが、今回、見つけた大東文化大学の刊行物は、どうもこれとは違うようです。周年という特別なタイミングだからこそできる、特別な一冊を何にするか?そんな視点で考えたとき、もしかしたら周年誌がベストアンサーではないのかもしれません。 周年記念事業として生まれた、書道への愛が込められた一冊 今回、大東文化大学書道研究所と芸術新聞社のコラボレーション企画として発刊されたのは『38の書斎 書家が語る文化と墨縁』

          周年事業でつくる冊子は周年誌?大東文化大の取り組みから考える、このタイミングにこそつくるべき冊子とは?

          採用担当者は学生越しにしか大学を見ていない!?環太平洋大学の企業向けイベントに見る、もうひとつの就活支援

          卒業後、どんな進路を歩むことになるのかは、学生、そしてその保護者にとって大きな関心ごとです。一方、いかにしてよい人材を獲得するかは、売り手市場・買い手市場に関係なく、企業にとって重大なテーマです。今回、見つけた環太平洋大学の取り組みは、そんな学生と企業とをつなぐ取り組みの一つなのですが、忘れられがちな大事な視点が盛り込まれているように思えました。 企業の採用担当者に大学や学生を知ってもらうイベント 取り上げるのは「企業のためのオープンキャンパス2023」というイベントです

          採用担当者は学生越しにしか大学を見ていない!?環太平洋大学の企業向けイベントに見る、もうひとつの就活支援

          卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

          大学の広報活動における入試広報とブランディング活動の違いは何か?と聞かれると、重なっているところの方が少ないのですが、でもあえて一つを挙げるとするなら、“勝たなくていい”ことのように思います。この視点で考えたとき、今回、見つけたプレスリリースの内容は、すごくポテンシャルが高いように感じました。 3つの同窓会組織による連携協定の締結 では、どんなプレスリリースなのかというと、学習院桜友会、成蹊学園、甲南学園の同窓会組織が連携協定を締結したというもの。大学と地方自治体や企業の

          卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

          言葉だけでは伝わらない!?大学愛を”量”と”縛り”でも表現する、青山学院150周年コンテンツをレビューする

          大学の周年サイトは、伝えたい内容も、伝え方も、多種多様で、見ていて飽きないものが多くあります。少し前に大東文化大学の創立100周年サイトについてnoteに書いたところですが、今回もまた周年サイトを題材にしたいと思います。取り上げるのは、青山学院150周年特設サイト。このサイトも、なかなか熱量がありユニークです。 「青学マインド」を社会に伝える150周年記念事業 今回のリリースで取り上げられているのは、「青山学院150周年特設サイト」と、目玉企画(?)である「青学からの挑戦

          言葉だけでは伝わらない!?大学愛を”量”と”縛り”でも表現する、青山学院150周年コンテンツをレビューする