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2023年J2リーグ第38節 vs清水エスパルス@IAIスタジアム日本平

今季二度目の静岡ダービーは0-1の敗戦という屈辱的な結末を迎えた。2位3位同士という局面で迎えたダービーとあって、今季一と言っても過言ではないレベルのビッグゲーム、意地でも勝ちを掴まなければならない試合だった。

ピッチの外でもいろんなことがあって、モヤモヤした気持ちをどうにか整理しようと書き出してみたが、これが全然まとまらない。このままでは永遠に終わらなそうなので、ここらで区切りにして公開させてもらうことにした。
なお、試合自体はあまり見れていないので一切触れていない。他に分かりやすくレビューしてくれる方々がいるので、ぜひそちらをご参照いただきたい。

チケット販売の時点で難しいゲームになるだろうなという予感はあった。今回ジュビロサポーターに割り当てられたのは実質的にアウェイゴール裏のみ。両クラブが置かれたシチュエーションを考えると即完売は必至、狙ったエリアのチケットを確保するために仲間内で段取りを確認して臨んだ。ところが、いざ発売日になるとあっという間に席は埋まっていき、みんなで近くに固まるなんてことはハナから不可能だったと思い知らされた。我々は全員揃ったとしても20人に満たない規模なので、人数分のチケットだけはなんとか確保することができたが、ほとんどの仲間が離れた位置で応援することを余儀なくされた。

一口にサッカー観戦といっても人それぞれに重きを置くポイントが異なるため、普段は各自の観戦スタイルに沿ってエリア別に棲み分けがなされている。一般的にはゴール裏スタンドの真ん中が応援のコアになり、外側にいくにつれて落ち着いて観戦したい人の割合が上がっていくものだ。しかし今回は事情が違う。応援したい人と試合を観たい人、普段は別々のエリアにいる人同士が中心も端っこもなく混在することになる。しかも今回は日本平が指定席化されてから初の声出し応援試合、知らぬ間にゴール裏はカオスと化していた。

ある程度は覚悟していたが、「旗で試合が見えない」というクレームはここ数年で一番多かったように思う(当社比)。幸いなことに、ポール旗を担当した仲間が周囲の方々に「ここで旗振らせてもらいます」と挨拶して回った際には皆さん快く受け入れてくれたそうだ。おそらく視界を遮ってしまった場面も多々あったと思うが、ご理解いただいた方々には感謝したい。
一方で、別の場所で旗を振っていた仲間は「邪魔だからやめろ」といきなり後ろから怒鳴られ、以降は旗を断念せざるを得なかった。似たような話は他の団体からも聞いた。あの日は風が強く、旗が暴れやすい状況だったのも一因になってしまったかもしれない。

ホーム大宮戦のレポでも触れたが、ジュビロのゴール裏にはインプレー中に旗を振る文化がなかなか根付かなかった。それがここ数年で状況が変わり、特に今シーズンは見違えるほどたくさんの旗がスタンドを彩り、3m級の大型フラッグも振られるようになった。にもかかわらず、旗に関するトラブルの話はほとんど聞かなくなったので、うちのゴール裏にも少しずつ新しい文化が育ってきたと感じていた。しかし、磐田に限らず他所のクラブでも起こりうる問題だけに、そう簡単に解決に向かったりはしないということだろう。我々のスタンスとしてはインプレー中も旗が出ているゴール裏を目指していきたいと考えており、なおかつスタジアムの観戦ルールに則って振っているという点はどうかご理解いただければと思う。

たとえルール上はOKだとしても、バックスタンドで90分間デカい旗を降り続けたら文句を言われても仕方がないだろうし、逆にゴール裏のド真ん中でずっと腕を組んで試合を観ている人だってかなり場違いに映るだろう。場所には場所の不文律、暗黙のルールがある。これはフットボールやスポーツ観戦に限った話ではなく、世の中そういうもんだとしか言いようがない。
普段であれば「あなた自分で選んでこの場所にいるんですよね?」とお互いに言えるが、それは居場所を自由に選べる前提あってこそだ。例えば、ちゃんと試合を見たい人の目の前で3mの旗が振られてしまったり、コールリーダーの周りが意図せずコアゾーンに来てしまった人ばかりだったり…逆に周囲が誰ひとり跳んでいないのに自分だけ跳び続けるのもメンタル的にはしんどいものだ。選択肢を奪われ、一切の棲み分けが機能しなくなったゴール裏ではそうしたミスマッチがいたるところで生まれてしまった。

同じジュビロ磐田を愛する者として、ダービーだけは個々の観戦スタイルを越えて最高の雰囲気で選手を後押ししよう。そんな想いで臨んだ試合だったが、サポーター間の応援スタンスの違いは最後まで埋まることはなかった。「ゴール裏は選手をサポートし共に戦う場所だ」という意見には全力で賛同するけれど、それを体現するにはあまりにも難しい状況だった。誰かのせいではない。強いて言うなら指定席が悪い。

よりによってこんな形で清水に負けたという事実がより暗澹たる気持ちにさせる。我々もゴール裏の応援グループの端くれとして、少しでも戦う空気を作ろうと準備はしてきたつもりだったが、いざ当日になるとイレギュラーが重なってしまい、そうしたアクションはなに一つ起こせなかったと言っていい。ただ無力だった。仮に今季一番の応援ができたからといってチームが勝てるわけではないけれど、サポーターに出来ることはそれしかなかったはずだ。

「応援のインテンシティ」という言葉があるのか知らないけれど(あったとしても意識高くてだるいけど)、熱く激しく応援できる人間がある程度固まったほうが盛り上がりを生み出しやすく、そこから周囲のサポーターにどんどん熱を拡げていくというのが理想的な形だ。しかし、いざやろうとするとそれがどんなに難しいことか毎試合のように思い知らされる。普段は隅っこででちまちまやってる我々ですらそう感じるのだから、中心部はさぞ大変なはずだ。
延々とチャントを歌い続け、絶えず飛び跳ねて応援するというのは正直言って結構しんどいときもある。例えば「FORZA JUBILO OH IWATA」のようにメリハリがあって、自然と身体が動くようなチャントが増えてくるとまた違ったノリが生まれるかもしれない。不思議なことに、この曲だけは圧倒的にみんな跳んでいるし手拍子もしている。根性で頑張ることが前提の応援スタイルがコアの外まで自然に拡がっていくかというと限界があるし、昔から続く応援の形を再考していくべきフェーズに来ているのかもしれない。少なくとも、そうした議論がもっとあってもいいと個人的には思っている。正解はないのだから、試行錯誤しながらみんなで作っていけばいい。

なお、すでに熱く激しく応援しているという自負がある皆さんにおいては、引き続き気合と根性入れて頑張っていこう。なんだかんだコアが緩んだら拡がるものも拡がらない。90分間死ぬ気で飛び叫べ。

3月のダービーのnoteで「静岡三国決戦なんてフェイクだ」と書いた覚えがあるし、藤枝との対戦を経た今でもその考えは変わっていない。関東出身の筆者も清水エスパルスが嫌いではあるが、単なるヘイトというよりは歪なリスペクトに近い。そしてそれは、地元の奴らが持っている感覚とは微妙に違うものかもしれないと時々感じる。こいつら、マジで清水嫌いなんだなと…笑。それもまた歴史のなかで培われたものであり、リアルな感情だからこそ清水とのダービーは特別なのだ。お互いやりすぎたことも過去にはあったが、個人的には煽り煽られの関係性がずっと続いていくことを願っている。

一方でJリーグは年々クリーンアップを推し進めており、静岡ダービーにおいても2018年の一件を契機にその傾向はより顕著になった。昨年まで幕を貼れていた外階段部分が今年から掲出禁止になり、理由を訊ねても「ダメだからダメです」の一点張りで最後まで覆ることはなかった。掲出スペースを狭めることでトラブルの種になるような横断幕が出る可能性も下がるという意図なのかもしれないが、とにかく揉め事が起こらないようにしたいという意思がこれまで以上に感じられた。世の中を鑑みればそういう流れになるよねというのは理解できるが、ダービー独特の雰囲気が年々薄まっていくような感覚は否めない。時代が変わったと言えばそれまでだが、それでも変わってはいけないものもある。

2010年代半ばまで大きく開いていた清水との通算対戦成績も、ここ数年で急速に差を詰められてしまった。ジュビロというクラブがこれまで積み重ねてきた勝利数を奴らに上回られることは絶対にあってはならないし、静岡ダービーは常に「清水にだけは絶対に勝たなければならない」というメンタリティで臨むべき一戦であってほしい。でなければ、歴史ある静岡ダービーという呼称は本当に「静岡三国決戦」に取って代わられてしまうだろう。

試合後のバモ清水を聞いて何を感じた?悔しさがあるなら忘れずに持ち続けよう。この借りは次のダービーでしか返せないのだから。

だらだらと長いだけの文書になってしまった…。やっぱ清水に負けてすぐ切り替えとか無理でしょ。今でも思い出すたび気分が落ちる。

とはいえ、昇格の可能性はまだ残されている。いま俺らにできることはただひとつ、ひとりでも多くアウェイ徳島に乗り込むことだ。磐田から400km?近所だろ、行こう。

Kz Ishii (Instagram: kz_ishii)

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