見出し画像

2023年J2リーグ第41節 vs水戸ホーリーホック@ヤマハスタジアム

2月18日に幕を開けたJ2リーグもいよいよ最終盤を迎えた。「歳取ると体感時間エグいくらい短くなるよ」と先輩方から聞かされてはいたけど、今シーズンは本当に一瞬で過ぎていった感じがする。一応まだ30代前半なんすけど。

この水戸戦が2023年のホーム最終戦ということで、ヤマハスタジアムに来るのもこれが今年最後になる。ていうか最後にしてくれ。

この日はとにかく暑かった。昔よりシーズン閉幕が早いとはいえ、半袖で快適に過ごせるホーム最終戦なんてあまり記憶にない。これなら6月下旬の札幌のほうが余裕で寒かったわ。

いきなりだが、筆者はサポーターが巻くニットマフラー、いわゆるフットボールスカーフがとても好きだ。取り入れるモチーフや配色、文言などクラブによって個性が出るので、まさにサポーターを象徴するアイテムと言ってもいい。コートとニットマフラーを纏って白い息を吐きながら観戦するオールドスクールな英国スタイルにも憧れるけれど、今年はしょっちゅう雨か酷暑に見舞われたばかりにシーズンの大半を薄手のサマースカーフで過ごしてしまった。もはや一年の大半が夏みたいなこの国、特に関東〜東海エリアにおいては、ニットマフラーはスポーツ観戦にそぐわないアイテムになりつつあるのかもしれない…なんて思っていたら、入口でとても暖かそうなフリースポンチョをいただいた。まさか11月に夏日が来るなんて、営業企画部にも予想できるはずがない。(家でめっちゃ使ってます、ありがとうございます)


今更言うまでもないが、この水戸戦、自動昇格のためには絶対に勝たなければならない一戦である。まあ先週もそうだったのだが過ぎたことは仕方がない。スタジアム入りから選手のテンション上げていこうということで、今週もバス待ちが実施された。

今回は先に水戸の選手バスが到着。対戦相手ということで、予定調和的なブーイングが起こる。そうはいっても水戸との因縁なんて特にないわけで、なんとなく緩い空気が漂い始めたそのとき、後ろで誰かが叫んだ。

「清水倒してくれ!」

一瞬にして皆のモードが切り替わった。

「来週頼むぞ!」 
「絶対勝ってくれ!」
「今日は温存しとけ!」
「気持ちだぞ気持ち!」
「次ホームだぞ!やってやれ!」

スタジアムへと入っていく水戸の選手たちに磐田サポーターから熱い声援が飛ぶ。清々しいほどの他力本願。そんなザマで情けないと思わないのか?と言われたら思うところがないではないけど、それ以上にもうここまで来ちゃったんだからなりふり構っている場合ではない。どんな形であれ、上がるチャンスがあるときに掴み取るのが鉄則だ。「うちは降格一年目は上がれないジンクスだから」なんて呑気なことを言っていると、J2という深い沼に飲み込まれることになる。

まるで前回対戦を再現するかのごとく、前半から攻撃陣がかっ飛ばしてあっという間に3得点。後半開始直後にも追加点を上げ、早々に勝利を手堅いものとした(とか言って4-0になって以降はボコボコに攻められまくったが)。正直スコアほどの実力差があったとは思えないが、そこは互いの相性も関係してくるのだろう。
前節ほどではないにしろ、入場者数も12,000人台となかなかの大入りだった。大量得点も手伝ってゴール裏も終始テンション高めで良かったのだが、なによりバックスタンドから自然発生的に起こった手拍子が特にホームの雰囲気を高めていたように思う。来シーズンはこんな光景が年間通してたくさん見られるよう、ゴール裏の端っこから少しずつでも熱を広げていきたい。まだまだ先は長い。

最後のホームゲームを快勝で締め括ったうえ、ここにきて得失点差+5を稼げたのは非常にデカい。お互いに最終節で勝ったとしても、ヴェルディがオルンガ事変レベルの大勝ちをやらない限り順位で上回られることはない。

いよいよ残るは最終節のみ、うちは栃木を倒して道をこじ開けるしかない。人事を尽くして天命を待つ。やるべきことは明確だ。他会場の経過が気になるのはみんな同じだが、まずは目の前のゲームに全力を注ごう。当日カンセキスタジアムに集まる予定の仲間たちには今一度思い出してほしい。その日その場所にいる人間しかピッチに声を届けられないのだ。
現場に来れない仲間達の分まで今季最高の応援をやろうぜ。そうすれば結果はあとからついてくるはずだ。

最後に、八田直樹という希代のバンディエラを勝利で送り出せたことを心から嬉しく思う。ハチが初めて正GKの座についた2010年、20歳を目前に控えた筆者は18きっぷや夜行バスを使って一人でアウェイに行くようになった。まだ遠征にも慣れていなかったし、初めて訪れる街ばかりで苦労も多かったけれど、なんとかスタジアムまでたどり着けば、そこにはいつも真っ先にアップに出てきてサポーターの声援に応えるハチの姿があった。近年は出番が限られていたこともあり、控えに回ったときの献身性や人柄の良さにフォーカスされることが多いけれど、今でも真っ先に思い出すのはスタジアムでゴールマウスを守る背番号21だ。レギュラーだった時期は決して長くないけれど、八田直樹は紛れもなくサックスブルーの守護神だった。タイトルを知る男がまた一人いなくなってしまった。

なんらかの形でクラブに関わり続けてくれると思っているので、寂しさはそれほどない。願わくば、現役最後の試合でジュビロが未来に進む姿を見せたい。ハチと共に必ずJ1へ戻ろう。

Kz Ishii (Instagram : kz_ishii)

グループSNSアカウント
X : @HotStuff_IWT
Instagram: @hotstuff_iwt

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?