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やがて哀しき電話注文

香港に住んで3年ちょっと、広東語はまだまだですが、お店で何が食べたい、飲みたい、お会計、くらいは言えるようになりました。

今まではオフィス近くでランチを食べていたのですが、最近はコロナのせいで外食を控えてオフィスの中で食べています。(外食するとアプリで位置情報の登録をしなければならず、同じ時間帯にその店で陽性の人が出ると、PCR検査やら強制隔離になるのも怖いのです)

よく行くローカルのヌードル屋さんがあり、そこでランチのお持ち帰り(広東語で言うと『おいまい』)をすべく、電話注文で事前予約してみることにしました。外国に住んだことのある人なら共感してもらえると思いますが、電話って本当に難しい。身振りで説明できないし、聞き取りづらさもましましだし。でもよく行くお店でメニューも覚えてるし(同じものしか頼まない)いけるかなと思って電話しました。。。そして。。。撃沈!!!!!笑

以下全て広東語でのやりとりです。

私『おいまい(お持ち帰り)したいんですけど』

店『はい、どこのビル?』

私『どこのビル???(あっもしかして店舗じゃなくて予約センターみたいなところにかけちゃたかな?、店の住所を確認、、、)○○○です。。(地域名、その地域には1店舗しかないため)』

店『はあ?!○○○(地域名)のどこのビル???!!』(キレ気味)

私『ビル???(お店の住所を再確認、ビル名無いじゃん)××ストリートの△番です。。。』

店『はあ??!!だからどこのビル??!!』(キレ気味)

私『うーん、うーん、分からない!!!、Can you speak English??』

店『はあ???!!何言ってるの???』(キレてる)

私『英語喋れる人います???!!!』(キレ気味)

店『いないよ!!!!あんたの家族に広東語喋れる人いないの!!!???』(キレてる)

私『いないよ!!!!』(キレてる、会社にいてその時一人だった)

店『何言ってるのかよく分かんないですよ。。。』(呆れてる)

私『だから○○○の店舗から、おいまい(持ち帰り)したいんだって、、、』

店『だからどこのビル???!!!』キレ気味

私『うーん、、、』

無言がしばらく続くものの、お店の人はむやみにすぐ電話切らずにいてくれて、あれ、キレてるのに優しい?と思いながらも困ったなあと思っていました。笑

その後も同じような会話が少し続き、最終的はお店の人も打つ手なし、という感じで電話を切られてしまいました。メニューを言うところにも辿り着かず、、、泣きそう。

盛大な勘違いを自分がしているとは全く気づかず、彼にメッセージをして、なぜか通じないしキレられるし超むかつくわ!!!とイライラメッセージを送っていたら、『デリバリーする先の住所を聞いてたんだよ』と言われ、、、、、、、、はっ!!!!!!と気づきました。

『おいまい』(外賣)と言うのは、持ち帰りという意味ですが、出前でお店の人に届けてもらう時にも使う言葉なのです。例えば会社で何人かまとめて頼むときなど、お店の人が出前して持ってきてくれるサービスを利用する人も多いです。

お店の人は出前だと思って、届け先の場所を聞いていたんだ!ということに気づき、大反省。。。店の住所を謎に復唱し続けるあほ外国人に、お店の人も大変困惑されていたことでしょう。。。私は自分で取りに行く、ということだけを考えていて、出前という存在を忘れていました。『自分で取りに行く、というのは最初に言わないといけないんだよ』と彼に諭されました。

初めての広東語での電話注文に心折れかけていたものの、そこのヌードルを食べることで頭がいっぱいだったため諦めきれず、もう一度トライしてみることにしました。(本当に美味しいのです)

店『はい』

私『(あっ同じ人が出たっぽい!汗 またあほ外国人から電話来たって思われそう汗)、、、おいまいで、自分で取りに行きます』

店『はい、何がいるの?』(超冷静)

私『××ヌードルに、トッピングでこれこれ、、、辛さ控えめで、、、あとは、、(豆乳を頼みたいのにテンパって豆乳の単語が出てこない)』

店『で、あとは???』(キレてないけど威圧感)

私『以上です、、、』

店『はい分かった』(秒で電話切る)

名前とか電話番号とか、取りに来る時間とか聞かないの?とか色々疑問が残りましたがとりあえず注文できたようです。

私の脳内変換で、お店の人=タメ口、私=敬語という力関係になっていますが、恐らく香港のローカルの接客を受けた人なら、この雑な感じ(良く言えばフランク)を共感してもらえると思います。笑

そしてそれから15分ほどしてお店に取りに行きました。ちゃんとありました!大好きなヌードル。

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この店のスタイルなのか、一般的なのか分かりませんが、頼んだメニュー名のメモ用紙だけが袋に貼り付けてあり、お店に着いたら、いつもいる優しいおばさん(電話でキレてた人じゃない)に頼んだ内容を自己申告制で伝えて渡してもらいました。

54ドル(750円くらい)で、初めて自分で電話をして買ったランチ、大事に食べました。

慣れてない外国語で話すのは、やっぱり難しく、負荷がかかることなのですが、失敗したことで、『自分で取りに行く』(広東語ではじーげーれん、自己拎)という単語を今後絶対に忘れない良い機会になりました。笑

もう一人でどこにでも電話で注文できるじゃん!という自信にも繋がり、忘れ難いランチとなりました。


見出し画像は、香港のバンクシー?こと、香港のストリートに書を書き続けた、曾灶財の作品です。今は美術館に保存されています。


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