貧しくば心に富もう日記
口角炎のリップクリームを高いなと思いながら買い、歩道のスペースを隔てて信号待ちをしていたら右方向からスイーっと一輪車を操る少女が現れた。ガードレール手前でスピードを調節しつつペダルから足を離すことなく待機場所を確保。両手の振りはおそらく一輪車史上最小限の動きと言っても過言ではない。一瞬にして只者ではないと直感できたのは人がその子を避けるのではなく、その子が人を避けていたからであろう。信号が変わると天才少女は歩くより速く自転車より遅いスピードで緩やかな坂を登っていった。手慣れの