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経営マニュアル~起業や事業を行うための基礎知識と考え方~⑬【基礎知識 第十三章 事業計画書】

50年以上生きてきてたくさんの失敗をした自分の実体験から感じた
経営マニュアル~起業や事業を行うための基礎知識と考え方~の
基礎知識 第十三章 事業計画書です。

【基礎知識 第十三章 事業計画書】

事業計画書という言葉はだれでもいちどは聞いたことがあると思います。
ではどんなものが事業計画書なのでしょうか?

基本的なフォーマットがある訳ではありません。
読んで字のごとく事業(仕事)をどういう形で行っていくかの計画が分かるものであればそれが事業計画書なのです。
事業計画書は勿論一枚の紙ではなく事業のコンセプトであったり、自分の考える事業の説明や経費に関しての初期コストや継続コストの金額、販売予定数の計画であったりと事業ごとに必要だと思う分だけの表や説明書、資料をまとめて事業計画書というのです。

では例を挙げて具体的に説明して行きましょう。
まず、自分が始める仕事にどれだけの初期コスト(一時経費)がかかるのかを試算してみましょう。
近隣に儲かっているスマホ販売店があるのでマーケティングを使用し調査すると自分でも出来そうなので仕事の内容はスマホを販売するお店を始めると仮定します。

図A

まず形の重要性から会社を設立します。
(図A参照)
会社の費用・・・24万円
次に事務所兼、店舗を借ります。
物件契約料(保証金など込み)・・・100万円。
お店の内装費や備品購入・・・50万円。
販売するスマホを仕入れます。
スマホ仕入代・・・50万円。
ホームページも必要なので製作します。
ホームページ製作費・・・20万円。
販売してくれる社員達が必要ですしオープンまでの準備のためにもまず2人を雇用することとします。
2名分の人件費・・・20万円×2名=40万円。
パソコンも必要なので・・・10万円。
合計すると、ざっと300万円は必要だと言うことが分かります。

図B

次はお店が営業を始めると幾ら必要経費(継続経費)が必要か試算してみましょう。
(図B参照)
毎月家賃・・・20万円
2人の社員を雇っているので毎月20万円×2名=40万円がかかります。
電気代・水道代が5万円。
電話・FAX・インターネット回線代で5万円。
お店を宣伝するための広告費に毎月30万円。
販売するスマホは売れる台数により変動するので〇〇万円としておきます。
合計すると毎月の売上の金額に関係なく継続コスト(継続経費)は最低100万円は必要だと言うことが分かります。
それと売上に伴いスマホの仕入代が必要となります。
これで一時経費・継続経費が試算し分かりました。

今度は一ヶ月に何台のスマホを販売出来るのかを考えて見ましょう。
まず物理的に2人の販売員で一日に何台販売出来るかを考えます。
時間別販売台表(図C参照)を作成すると一人が一時間に販売する台数を0.5~4台と仮定すると、店員は2名なので倍となり、一時間、一日、一ヶ月に販売する数字が分かるようになります。
(図C参照)

図C

お店の営業時間は12時~20時までの8時間とし、年中無休でお店は営業すると仮定します。
この表をベースとして一ヶ月のスマホ販売予定表を作成して見ましょう。
この表が完成すると売上予定表となるのです。
作成する時に注意する点は、売上の数字をはじき出す根拠が必要だと言うことです。
お店には常時2名の店員が販売すると言う仮定で考えて見ましょう。
考えやすくする為、一ヶ月の販売台数を一日の販売台数表(図D)を作成しておきましょう。

図D

販売台数表は現実に元づいた数字を最低として作成することが大切です。
販売台数表を見て販売予想定数の数字を作って見ました。
 一ヶ月目  90台      
 二ヶ月目  120台     
 三ヶ月目  250台
 四ヶ月目  350台
 五ヶ月目  500台 
 六ヶ月目  700台
 七ヶ月目  1000台
 八ヶ月目  1500台
    :
 十二ヶ月目 3000台 
っと数字を作って見たのですが……
一ヶ月目の90台を売るには一日2人で3台を販売すれば達成出来る数字だと分かります。
このように一ヶ月の数字を決めた時、一日ではどうなのかを考えると達成出来るか無理な数字なのかが分かりやすいのです。

では七ヶ月目の1000台はどうでしょう?
一日に一人が16台販売しないと達成出来ません。
一時間で考えると2台です。
30分に1台販売し続けないと達成は出来ません。
これは不可能ではありませんがかなり達成するには難しいと言うことが分かります。
それ以降の1500台、2000台、3000台という販売数字を達成することは不可能であり現実的ではないのです。

現実、2人での販売であれば限界は約800台弱と言うことが見えてくるのです。
ではそれ以上の売上を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか?
答えは販売員の数を増やすことです。
しかし店員を増やせば売上も上がりますが経費も増えることを忘れてはいけません。

今回は第一フェーズ(段階)として店員は2名までとしてその中で再度現実可能な販売予定数の数字を作って見ましょう。
スマホの販売価格は一台10000円とし、仕入価格は5000円とします。

図E

新しい販売予定表(図E参照)を作成すると上から販売台数、次に売上金、経費は種類が違うため2つに分けて、まず継続経費(一般経費)をA経費、続いての継続経費(仕入費)をB経費としています。
売上から経費であるAとBを引くと粗利が出るのです。
本来ここでいう粗利は営業利益のことを差します。
今回は分かりやすくするため営業利益を粗利とします。
通常の会社の利益には3種類あり、「粗利」「営業利益」「経常利益」の3つがあります。
それぞれの数字の出し方は下記となります。
「粗利」= 販売価格 -(仕入れ原価・製造原価)
「営業利益」= 粗利 -(販売に係わる経費)
「経常利益」= 営業利益 -(営業外の費用)

粗利とは売上代金から仕入代金を差し引いた見かけの利益のことです。
今回は粗利からまず継続経費のマイナスが2ヶ月分出ているため差し引きます。
これは赤字返済額として表に記載しています。
そして次に仕事を始めるために必要であった一時経費の300万の返済に入ります。
これは初期コスト返済額として表に記載しています。
結果6ヶ月目に初めて純利益が出るのです。

借金を全て返済してしまうと利益が大きくなっていくのが見てわかると思います。
(基礎知識第三章の五番目の資金の安定がこのことなのです)

この仕事は1年間で見ると、一時経費(資本金)300万円で年間売り上げ6090万円。
純利益が1540万円出る仕事だということが理解できると思います。
このことから、利益率は約25%となるのです。

このような幾つかの計画表(今回の例で言えば図A~E)をまとめて事業計画書の一部ということになるのです。
そして仕事のコンセプト、勝算プラン、マーケティングデータ、ビジョン(将来の目標として思い描く形)、フェーズ(段階)、ライバル店の調査結果(売り上げ・経費予想)、他店との自社比較とメリット、広告の詳細、ホームページのデザインや使用目的など仕事に関わる書類をまとめて事業計画書というのです。

実際に収支表を作成し数字を使って計画を立てると、現実として達成できる限界と売り上げ・経費(一時経費・継続経費)、純利益が数字ではっきり見えてくるのです。
その数字が自分でやろうとしている仕事の規模であり、基本的な仕事の儲かる金額の上限がわかるのです。

そして事業計画表(販売予定表)は必ず3パターン製作することが必須です。
1つ目は最低(絶対に達成できる数字)の数字で作成した事業計画表。
2つ目は最高(限界の数字で達成できる可能性のある数字)で作成した事業計画表。
3つ目に、現在の世の中で自分が仕事をした場合に確実に結果を出せるであろう達成予想数字で作成した事業計画表の3パターンです。

仕事を始めると事業計画書が基準となり毎月実際の売り上げ、経費、純利の結果を事業計画表と照らし合わせをしていきます。
現実に出てきた数字がもし最低数字で作成した事業計画表を下回ったら、作成した事業計画表は間違いであり失敗であったという結果になります。
そのため、必ず最低数字の事業計画表は現実達成が可能な数字で導き出すことが重要であり事業計画表の一番難しい部分なのです。

数字を作るときはターゲットとした他店をしっかりマーケティングすることにより徹底的に調査して現在の生きている数字を把握し、その数字をベースとして自分の作る数字を作成することが必要なのです。
そして資本金の金額と利益金額を見て利益率の大きさ、リスクの高さをよく考えこの仕事は自分が今行うべき仕事なのかを再度よく考えましょう。

まずは自分が面白い、やりたいと思った仕事の事業計画書を作り、次に儲かると思った仕事の事業計画書をたくさん作ってみることです。
そして事業計画書が10個ぐらいできたときにそれぞれの仕事の利益の大きさ、やりがい、リスクなどを天秤にかけて再度検討し今の時代にあなたがやるべき仕事決定すると良いでしょう。

基礎知識と考え方だけでもかなり長くなりますが、なるべく各章ごとに短くわかりやすく解説していこうと思っております。
この経営マニュアルがみなさまの何かのお役に立てばうれしいです。
では、目次を掲載しますので記事は順次掲載していきます。
掲載しましたら目次のタイトルにリンクをしますのでお時間ある方、ご興味のある方はご覧ください。

目次
基礎知識 第十四章 第六感

よろしくお願いいたします。

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