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家族から離れたい。

父の実家で過ごして6日目になった。この家の周りは畑しかない。おまけにお盆のため外出はスーパーくらいだ。なのでこの数日は引き篭もりのような生活を送っている。

いい機会なので私はひたすら本を読んで、今後の身の振り方を思案していた。

とはいえ20代という浅い頭で思案したところで、「これが正しい、私に合っている」なんてプランは全く思いつかない。こんなのはどうか、あんなのもいいなと、アイデアだけは出るのだが、決め手に欠けるのだ。多くのビジネス書は「思いついたら直ぐ行動」と語るのだが、その教えを直ぐに実行できるほど、私の心は柔らかくない。


ただ、長い時間を掛けられたお陰か、ひとつだけ「これだけは」というものは決まった。

私は、家族から離れたい。


理由は2つある。

①生活する為の役割を全部自分でやりたいから
②客観的に家族をみたい。好きになりたいから


①生活する為の役割を全部自分でやりたいから

私は2人の姉と1人の弟に挟まれた三女である。姉は年子。次女と私の間は2年離れている。

今は弟がひとり暮らしで地方の大学に通っていて、私含め他の家族はみな同じ家に住んでいる。結婚どころか彼氏を作る気もなく、姉妹揃ってダラダラと親の脛をかじっているわけである。

長女はしっかり者で家計をはじめ家の電子機器や家電のチェックをしている。次女は夕飯や掃除等の家事全般。私はといえばそんな2人を側から眺めながら、手が足りない時に手伝う程度である。


殆どの家事の役割をこなせない、ということにストレスを溜めている。生活していく上で必要な家事は、自分で、自分の好きな程度で、やりたい。

あとは、目の前で自分の役割がない現状を目の当たりにするのが嫌というのもある。台所に立てるのはせいぜい2人。仲のいい姉達が入れば、そこに私が入る隙間なんてないのだ。どうしようもないのだが、そういう時はいつも気分が落ち込む。「私って家族の中で必要とされてないなあ」と。

それがどうしようもなく、嫌なのだ。

あとはいざ私が好きに家事をしたとき、そのペースに焦れた姉に仕事を取られると嫌になる。我儘だが、今の私にはどうしても耐えきれない。家事は自分の分を、自分のペースで行いたい。


②客観的に家族をみたい。好きになりたいから

恥を承知で言うが、今はどうしても家族を好きになれない。なんだか他人に縛られて同居しているような気分なのだ。

特に、私は姉が他人に見える。


2人の姉は年子である。とりわけ仲が良い。だから幼い頃は姉妹3人で遊んでいたのに、いつのまにか私は除け者になっていた。会話なんかない。たまにお喋りな次女が一方的に自分の趣味を語るくらいだ。

そんな姉と暮らしていることに苦痛を覚えるようになったのは、随分と前からのことである。

仕事をしていた頃、ヘトヘトになった私の帰宅に待ち構えているのは大体姉達だった。そして、私の夕飯がポツンと置かれたテーブルに座って、テレビを見ながら2人で盛り上がっている。そういう時は、わけのわからない会話とけたたましい笑い声の中で、1人で細々と夕飯を食べるしかないのだ。たぶん、座敷わらしってこんな感じなんだと思う。

この日々をずっと繰り返している。


自分も利己的だなと思う。だってこれは自分の働きかけで何かが変わったかも知れないのに、それを怠った結果に過ぎないのだから。

でも自分の中で、ぷっつりと何かが切れて、全部を諦めてしまった。理由は上記の通り、家族を好きになれなくなってしまったからである。それは幼少期から今までの鬱憤というものも随分と溜まっていることに加え、上記のような日常が原因だ。


でもそれは、あまりにも主観的すぎる。きっと日々の積み重なりが、純粋な家族の好きなところを隠してしまっているだけ。

せめて好きになれなくても、客観的に家族と向き合えるようになりたい。

それには、どうにかして離れないとダメだ、と思ったわけである。





仕事のこととか趣味のこととか、今も悩みっぱなしだ。でも、この願望だけはなによりも自分の中にストンと落ちていくような心地がした。

長期旅行でも、ひとり暮らしでも、なんでもいい。

私は、家族のシガラミから抜け出したい。

好きな生活も、必要な役割も、全部自分に与えてあげたい。今まで我慢していた分まで。



だから、今はその願いを土台にして、これからの自分を考えていこうと思った。


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