見出し画像

本多秋五の『戦争と平和』論(1, p.16~38)

■7.12(月) 曇りのち晴れ

本多秋五の『増補 「戦争と平和」論』(冬樹社)がAmazonから届く。1970年もので、最後まで『戦争と平和』を(おそらく)読み切れなかった坪内祐三もこれだけはなぜか読破したというシロモノだ。

画像1

ページをめくると、数葉の地図が三つ折りになって挟みこまれている。舞台となるアウステルリッツの会戦や、ナポレオンのロシヤ撤退ルートなどが細かく描かれている地図。けっこう手がかかっている造本だ。いまなら評論にこんな造りをしてくれる版元はないだろう。ページをめくってみると読書ガイドにもなる。しかし、一作品に1000枚以上とはよく書いたもんだ。

今日も『戦争と平和』を読む。ペテルブルク、1805年7月(本多秋五本では6月になっている)のある夜の、宮廷女官アンナ・パーヴロヴナ・シェーレルの夜会はまだつづいている。アンナを中心として、ワシーリー公爵以下の面々が一気になだれ込んでくる。まるでアンナを中心にカメラが回っているよう。こうやって登場人物たちの整理をしている。ここはなにも事件が起こらないから、文章でうまく読み手を誘ってあげないとすぐに飽きが来る。

「これから取り掛かろうとしている素晴らしく大きな作品の中に、やがて出てくる諸人物に生じるだろうすべての出来事を思いめぐらし、考え直し、それわすべての諸人物に起こりうるだろう幾百万の関わり合いを考究し、その中から百万分の一を選び取ることは実に難しい仕事です」(1864年11月1日フェート宛ての書簡)

今日は3週間ぶりの完オフ。振休。ほんとうは完オフにはほど遠い仕事の状況だが、今日一日はメールも一瞥しないと決めた。午前中はひたすら卒論。午後イチで、品川に映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」を観に行く。3部作の第1部だということだが、いやあ、いい映画だと思う。
(※下写真は映画とは直接関係ないので、すいません)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?