旧型人工知能コージが、昭和の時代にタイムスリップしていたころの話です。本当の人工知能コージは、なかなかのハンサムガイですが、タイムスリップ先の時代では、体重100キロ175センチの肥満体です。記憶力は当たり前ですが、桁外れです。辞書を一冊丸暗記なんて簡単です。でも、東大は３回落ちて京大も１回落ちて、某有名私立大学に入学しました。入試は記憶力だけではダメなんですね。お盆休みに入る前の日、コージから電話がありました。
「ミーは、これからハワイに行くぞ」
コージは、どうやらお盆休みをハワイで過ごすつもりの
ようです。アメリカ好きのコージ、日本人が多いと
言っても、ハワイもアメリカです。きっと、
カリフォルニア弁と名古屋弁の入り交じった英語を
使いまくってくることでしょう。
そうそう、ほうれんそうの時代も
みんなでハワイに行ったことがありました。
誤解しないでください。
ひがまないでください。
ご安心ください。
知ってる人は知ってますよね。
日本にもハワイはあります。
「ヨー、ハワイにゴーゴー」　
コージが梅ちゃんの部屋にドタドタ乱入してきました。
梅ちゃんの部屋では、タマちゃんオシバさん、そしてアリが
お盆里帰り記念の麻雀をしています。
まず、アリが毒舌、
「エエ・・・学生の分際で、また・・・
誰かの田んぼでも売ったんやろ。オッチャン。
あんた、ほんまにカスみたいな人間やなあ。
それと、ゴーゴーってなんや。いつから、郷ひろみの
ファンになったんや」
オシバさんは「郷ひろみの嫁はんやったらファンやけど。ロン」
どうやら、麻雀の方はオシバさん圧勝の形勢です。
ガラガラガラ・・・
タマちゃん「どうやら、優勝のカニのフルコースは
オシバさんのものだな」
ガラガラガラ・・・
また、アリがコージの方を向いて
「オッチャン、勝ったら、カニ食い放題やで」
アリは、コージがカニを苦手にしているのを知って言っています。
コージは、カニって聞くと”じんましん”が出るのです。
タマ「オッチャン、一緒に行くカニ？」
オシバ「オッチャンだけ特別に招待カニ」
コージは体中をゴシゴシ掻きながら
ハクション大魔王のように
「バス（風呂）へゴーね・・・」
と逃げようとすると、梅ちゃんが
「ところで、コージ。何しに来たんや？」
コージ、イライラしながら
「オオオ、大切なこと忘れてたネ・・・ジャパニーズハワイ！
鳥取の羽合町ネエ・・・」
アリは広島出身なので知ってるようで
「あそこは、いいで。温泉もあるし、海もある」
梅「へえ、いいやんか。そこへ行こうか」
タマ「いいねえ」
オシバ「うん。青い空・・・青い海・・・」
コージ「ベリー・グッド。珍しくミーの意見が通った」
オシバ「そしたら、オッチャン手配してよ。
３万もあったら行けるやろなあ？」
コージ「２９８でオーケーね・・・ヤッホー
♪ブルースカイ・・・ブルースカイ・・・青い空からやってきて」
と当時テレビで流れていたＤという洗剤のコマーシャルを
歌いながら近所の旅行社にルンルン気分で走って行きました。
コージが出て行くとアリが
「なあ、羽合で毎日カニづくしって、どう？」
オシバ「それより、おまえの番やぞ。チョンボにするぞ」
アリが慌てて牌を切ると
タマ「ロン。いただきチョンボや」
梅「俺もロン。かわいそうにダブルチョンボや」
どうやらアリの一人負けのようで、アリは大きな体を小さくして
「これやったら、チビ黒チョンボや」
と半泣きになってしまいました。
おかげで、オシバさんは全額、タマちゃんと梅ちゃんは
半額、旅費を稼ぐことができました。
１週間後、羽合の民宿で５人の若いだけが取り柄の男たちは、
昼間は水着の女の子をナンパしようと追いかけ回したのですが、
みごと失敗に終わり、やけになって夜はビールを３０本飲んでベロベロになり、そのまま浜辺で相撲をとって砂まみれになり、そのまま部屋に戻って
部屋を砂だらけにして、民宿の奥さんに大目玉を食らいました。