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英語なまりのコージ 五番街のマリーへ

♪五番街へ行ったならば、マリーの家へ行き・・・♪
名曲もこの男が歌うと駄作になります。
コージは、最近どうやらこの曲に凝ってるようです。
ノシッノシッ・・・
コージの部屋の前を巨体が歩いて行きました。
アリです。
珍しくコージの部屋をノックしません。
最近は、コージもアリの毒舌がなくては物足りなく
イヤーン、モット、ヤッテって感じです。
 
アリは、タマちゃんの部屋に入って行きます。
梅ちゃんとタマちゃんが、二人が公民館でやっている塾の
生徒用にテストをコピー機で印刷しています。
カチャン・・サー・・・カチャン・・サー・・・
そこへアリが入ってきました。
タマ「ノックくらいしろな」
アリ「今日はヨウコさんいないと思ってね」
ウメ「あれ、コージは?」
タマ「ほんと、珍しい一人で?」
アリ「オッチャンがいっしょではマズイんや
あの英語なまりは、ちょっと困るんや」
ウメ「忙しいんや。早く言ってくれ」
アリ「ほうれんそうの知性と呼ばれる二人だからこそ頼めるんやけど」
いつものアリの横暴さが、すっかり影を潜めて、
おそろしいほど頭の低い様子です
タマ「ディスコで引っかけた女に訴えられたんか?」
ウメ「そうか・・警察か?」
アリ「違うんや・・・親父がくるんや」
エエエエエエエエエエ・・・梅ちゃんもタマちゃんもビックリ。
アリ初登場の時も申し上げましたが、アリのお父様は有名な政治家です。
お父さんは将来の後継者のアリが、どんな学生生活を
送っているか心配しているのでしょう
「いろいろ聞きたいので、明日の夜、Rホテルの
ディナーに下宿の友達と一緒に来なさい」
と電話があったのです。
アリは、お父さんが余程怖いらしく
「頼むわ・・お願い」
と手を合わせています。
 
そこへ、♪どんな暮らししているのか見てきてほしい・・・♪
コージがやってきました。
アリは頭を抱えて「絶望や・・・もう、終わった・・・」
と嘆いています。
コージ「ユーたちの話。悪いけど聞かせてもらった」
アリ「全然、悪く思ってないくせに」
こんなわけで、アリとコージ梅ちゃんタマちゃんは
アリのお父さんとご対面!することになりました。
アリの絶望をよそに、タマちゃんはパチンコで負けて・・
この頃カップラーメンばかりでしたので上機嫌です。
ウメちゃんも、静ちゃんとのデート代で・・ポテトチップ
ばかりの生活でしたので上機嫌です。
コージは、日頃いじめられてるアリに逆襲のチャンスなので
これまた「ナイス!!!」と上機嫌です。
 
Rホテルのフロント前の絨毯はフワフワとして足が半分沈み
まるで、雲の上を歩いているようです。
「こちらでございます」
白のブレザーをバッチリ決めたホテルマンが案内してくれました。
ディナーはフランス料理でした。
タマ「さあ、食べるぞ」
ウメ「栄養失調寸前や」
コージ「ミーはランボーに行くからね」
アリ「いつも、ランボーやないか」
アリは借りてきたブタではなくてネコのように小さくなっていました。
そこへ、テレビで見たことのあるアリのお父さんが来ました。
丹頂ポマード(現在はマンダム)の臭いがプーンとして・・・
「まあまあ皆さん、いつも倅(せがれ)がお世話になってます」
にこやか笑みです。
しかし、そんなVIPのオッサンのあいさつなど、どこ吹く風。
梅ちゃんタマちゃんそしてコージは上の空になっていました。
3人の視線は、そのポマード親父の後ろに立っている
白いワンピースの女の子に注がれていました。
どころか水道の水垂れ流し状態です。
カワイイイイイイ・・・
こんな感じですので、ほとんど飢えに近かったはずの
梅ちゃんタマちゃんは胸一杯状態になってしまい、
一口食べてはチラチラ・・
また一口食べてはチラチラ・・・ですので全然食が進みません。
せっかくフランス料理を食べているのですから
フランス語のことを話題にと思ったのでしょう
ウメ「マドマーゼルってフランス語やな」
タマ「うん」
コージは緊張してしまって
「マドマーゼル通りは、名古屋の栄にある」
なんて意味不明のことを言い出す始末でした。
あんまり食べないので心配したポマード親父は
「君たち若いのに食べないんだね」
と声をかけますが
ウメ「え」
タマ「え、まあ」
コージ「いえ」
と3人は答えるだけで精一杯でした。
この女の子は絶対に!絶対に!!信じられないことですが
・・・アリの妹でした。
 
ご対面が終わった4人です。
やれやれアリは最大のピンチが過ぎたようで
アリ「みんな、ありがとう。助かったわ、オッチャンも
大人しくって・・・親父も安心してた」
ウメ・タマ・コージ「ところで・・・」
3人はアリの妹のことを聞きたかったのです。
アリの話によると彼女は当時、
某プロ野球のリリーフエースと付き合っていたそうです。
この話で一番ガッカリしたのは、
ヨウコさんのことを忘れたくても、相手がいなくて忘れられないコージで
♪哀しい想いをさせた。それだけが気がかり♪
ガッカリしているくせに大きな声で歌っていました。
 

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