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拒食症ダイエット できたら0になりたい

ちょっと小太りで可愛い、まるでコアラのような真由が
拒食症で入院していたのは、2年前、19才の時だった。
158センチで、25キロ。
それでも太っていると思っていた。
できたら、0になりたいと本気で考えていた。
真由が入院する直接のキッカケになったのは、
短大の帰り道を歩いていて、ちょっと躓いただけなのに、
足を骨折した時だった。
拒食症の患者は、栄養が極端に不足しているので、
よくあるケースらしい。
こんな風にして、入院してベッドに横たわるようになっても
真由は食べなかった。
仕方がないので、看護婦さんが二人して、真由をベッドに
くくりつけて点滴をした。くくりつけないと、
自分で点滴用の管をはずしてしまうからだ。
こんな状態で、何とか生きていた真由が立ち直ったのは、
深夜のある出来事だった。
真由は意識していなかったが、真由は夜中に起きて、
病院の食堂に忍び込んで残飯をあさっていたのだった。
それを見つけた宿直の看護婦さんが、
「あなた自分の顔見てごらんなさい」
と手鏡を差し出した。
真由は、鏡に映った自分の顔を見た。
口の周りに食べ物のカスがついて、
まるで飢えた老婆のような恐ろしい自分の顔だった。
キャーッと叫んで、その場で卒倒した真由は、
翌日目覚めると、少しずつ食べ物を口にするようになった。
「キレイになっていると錯覚してたんですね」
あの頃の時の鏡に映った自分の顔を思い出すと、
真由は今も背筋が寒くなるそうだ。

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