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フルマラソンに初挑戦する人のための記事。

はじめに

最初に断っておくが、僕はエリートランナーでもなければ飛びぬけて優れた記録を短期間で叩き出すような天才でもない。

初マラソンから3年半で約1時間半記録を縮めた(5時間8分→3時間36分)

という経験があるごく普通のランナーだ。
だがその経験が誰かの役に立てないかと考えていた時、特にネットなどではあまり出てこない「フルマラソン当日」にフォーカスを当ててこの記事を書きたいと思った。
なぜなら、僕自身が「十分な練習が出来た」(初マラソンの前、30km走を2回実施、2時間半切りも達成した)のにも関わらず、レース前日~当日の行動、準備に大失敗し、冒頭のように5時間以上かかった(30km走の記録からは考えにくい結果)ことから、

レース当日、本番の計画、戦略性の大切さを身に染みて体験したからだ。

これまで8回のフルマラソンに出場。
練習方法などは需要があれば書きたいが、専門的な知識はネットで調べればいくらでも出てくる。
例えば、Googleで「フルマラソン 練習」と入力すると、600万件の結果が提示される。600万件。。

実際に、僕もほぼ独学で練習をして来たのだが、めちゃくちゃ参考になる記事が多い。
個人的には「ランニングエコノミー」という、SPIRITS RUN https://spirits-club.co.jp/spirits/run/?s=run_topで提唱されている走り方のコツ(着地、腕振り、上半身の姿勢)はかなり走りを変えた。走り方のコツなどについて学びればそちらで確認してみると良いと思う。

①走る前

◆装備

~暑さ、寒さ対策~

例えば、あなたが走る大会の開催月はいつだろう。多くの大会は10月~11月の開催がピークだ。気温的にも走りやすいからだ。ではあなたが普段走っている時間は?
ほとんどの大会は午前9時にスタートする。当然のことながら、気温は1日の中で変動するから、
①普段練習している時間の気温と9時の気温の差
②本番の9時~昼にかけて気温があがること
この2つを想定しておきたい。

ここで僕は大失敗している。初出場の福岡マラソン2015の気温は、11月なのに22度。11月の気温としてはあまりにも暑かった。
天気予報は雨で、僕はそれを信じて普段着た事もないウインドブレーカーを前日に1万円で買い、その蒸し暑さの中、脱いでも捨てるに捨てられなかった。

結果的に序盤から大量発汗し、大幅な体力ロスに繋がった。普段の練習でも、「自分がこの気温で走りやすいのはどの服装か」を把握しておくことが、長いフルマラソンを乗り越えるためには必要だ。

~汗、紫外線対策~

汗が顔に入ると視界が悪くなる→疲労に繋がる。何より汗をぬぐうことは余計な動作となり体力消耗に繋がる。おススメなのが、ヘアバンドだ。よくサッカー選手が前髪を止めているような、細いバンド。ネットでも安く買えると思うので、一度試してみる事をおススメする。「汗流し」の効果があり、顔にダイレクトに汗が落ちないので良い。ハンドタオルを一枚、ポケットに入れておくのも良いだろう。洋服は汗まみれになるから、タオルが1枚あれば安心だ。ランニング帽子は紫外線対策のものになっているし、サングラスは合う合わないはあるが僕は必ず持っておくようにしている。

~靴~
まず前提として「自分に合った靴」を理解しておくのが大事だと思う。靴にもタイプがあるのでフィットするものを把握しておこう。ポイントは「できるだけ新品に近いものを使う」こと。
「えっ?練習でなじませた靴のほうがいいんじゃない?」と思うかもしれない。だが一般的にランニングシューズの寿命は短く、プロは本番で一度履いたシューズは二度と使わないとも言われている。
底がすり減ると、パフォーマンスにも影響するからだ。でも、さすがにレース本番で新品となると不安だろうと思う。なので、「これだ!」というシューズを予め見つけ、練習で使いこなしておき、本番前に全く同じモデルのシューズを購入して本番でおろす、というやり方だ。これならいつも履いているシューズが新しくなるだけなのでどんな靴かは分かっているはずだから、本番でも自信を持って走れると思う。

◆スケジューリング

~前日はできるだけ歩かない~

実はこれは前日の過ごし方で最も気を付けたいポイントだ。通常、フルマラソンの大会は自分の住んでいる場所から離れたところ、つまり電車や飛行機などで移動していくケースが多い。
つまり、旅行気分なのだ。
だが特に初心者であれば特にここはぐっと堪えてほしい。観光に来たならまだいいが、走破しに来ているのだ。写真でも撮って知り合いに共有したいし、SNSにアップしたい。ただその間にも「明日フルマラソンを走る」あなたの足に疲労は溜まっている。そう、何もなくても歩いてしまっているのだ。受付会場を歩くだけでも結構な歩数になる。沢山の人が集まり、お祭り的雰囲気はある。でも、おそらくレースでは「本当に足が苦しい」と感じる場面が必ず来る。そんな時のためにも少しでも足を温存させておいて欲しい。

~睡眠~

前日は気持ちが高ぶる。ただ気持ちが高ぶる分、「眠れない」という人が一定数いる。僕は最初のフルマラソン前日、一睡も出来なかった。「興奮」というよりは「自分への過度な期待」が「プレッシャー」となり、全く眠れなかったのだった。
午前2時、4時、となり予定していた起床時刻になりテンションもダダ下がりで出発。メンタル的にも落ち込ていた。同じような経験は誰一人としてして欲しくない。絶対に眠れないとダメだという方であれば、その時限定で市販の睡眠導入剤などの力を借りるのも一つの手だと思う。
あとは、眠れなくても、「静かに体を横にしているだけ」で本当の睡眠の7割は疲労回復できているらしい。
あとは、「少しぐらいは寝れなくても仕方ない」と思っておくことも割り切るための要素かもしれない。

~スタート前のトイレ~

小心者の僕は必ず、当日の集合場所の近くにあるトイレの場所を確認しておく。大体、9時スタートだと8時40分には集合完了などがほとんどだ。人数も数千人規模の大会だと集合時間直前に並ぼうとしても行列ができていて、出来なかった事もあった。結局、スタートして数キロ地点で行くことになる(だいたい、そこも混雑している)のだが、せっかくならトイレに早めに行っておき、万全な状態でスタート地点に立ちたい。

~スタート前集合~

前述の通り、大きい大会だとスタート時間の数十分前に集合する。事前に地図などが配られるはずなので、入場場所なども細かく確認しておくと良いと思う。前日歩かない事を推奨していたが、このスタート地点ぐらいは前日の受付の近くなどになっていれば、確認しておくのはありだと思う。

◆食事

~カーボローディングの是非~

所説あるので詳しく知りたい人はネットで調べれば良いかと思う。グリコーゲンを貯め、マラソン中の体がエネルギー切れを起こさないという狙いがあるそう。僕は普段お酒を好き好んで飲むが、5日前~3日前ぐらいからは心理面からも抜くようにしている。炭水化物を摂れば良いという事でないのは分かると思うが、摂り過ぎて体重増加や胃腸の調子が悪くなってしまっては元も子もないと思うので、最初は出来る範囲でやれば良いかと思う。

~当日朝の食事(胃もたれに注意)~

カーボローディングと同じで、例えばレースの4時間前までに朝食を済ませ、あとはカステラ、ウイダー、お餅などを食べるといった情報はネットにも山ほど出てくる。「フルマラソン 当日 食事」で検索すれば良いと思う。
一つだけ注意したいのが、エネルギー不足解消のための食事で胃がもたれて腹痛を起こしりするケースがあると本末転倒だという事だ。全く食べないのは危険だが、食べ過ぎにも注意したい。僕は9時のレースだと5時に起きてすぐに朝食を摂るようにしている。だがそれでも緊張からお腹が空く感覚にはならない。ので消化しやすくエネルギーになるジェルやなども併用している。言い忘れたが、一般的に言われているNGフード(揚げ物→もたれる、繊維系→便がゆるくなる)もあるのでご注意を。ちなみに僕は朝のコーヒーや緑茶も控えている。緊張感からトイレが近くなり、余計な時間を要してしまった失敗からだ。

◆コースの確認

~アップダウン~

大きい大会であれば、大会パンフレットが事前に送付、でなくともネットで調べればコースマップぐらいは掲載されている。ここで一番確認しておきたいのが、「アップダウン」だ。「42.195km」の距離にとらわれて見落としやすいのだ。ではどこを確認するか。それは、「最も大きいアップダウン地点を把握しておくこと」これだと思う。例えば、福岡マラソンでは20km地点と30km過ぎに最も大きなアップダウンがある。これを全く把握していなかった僕はアップダウンで大きく減速、30km地点ではあまりの苦しさに座り込んでしまった。「最も大きい」の理由は、それ以外の地点での気持ちの余裕に繋げるためだ。つまり、違う地点で坂が来ても「最大の山場は〇〇km地点だ」と、ある程度精神的に「準備」出来る。

~風の確認~

気候も関係するが、場所によっては「海沿い」などのコースだと風が強くなる事が多い。追い風であればまだ良いが、向かい風はキツイ。しかも気温の低い時期になると汗をかいた体が冷やされるから、例えば薄い風よけのポンチョをポケットに入れておく、風よけとして同じぐらいのペースの人の後ろを走る、など工夫はできる。

~余裕があれば、景色を楽しむ~

初マラソンでは全く景色を楽しむ余裕もなかったが、せっかくだから景色を楽しみ、タイムも狙っていないのであれば沿道の応援に来ている人とハイタッチする、など交流を楽しむのもありだと思う。人によっては立ち止まって写真を撮っている人もいる。

~制限時間の確認~

おそらく大会情報を調べればすぐに分かるが、大体の「関門」は各大会に設けられている。全体では6時間~7時間など比較的甘めに設定されている大会が多いが、気を付けたいのがコース途中で出てくる「関門」。例えば、10km地点、20km地点などで設定された時間内に通過できない場合は、回収されるのだ(バスなどで送迎してくれる)。もし完走を目指しているのであれば、ここを確実にクリアしていく必要がある。明確に言えるのは、序盤でギリギリ関門を通貨するペースではキツイ、という事だ。どうしても後半は失速する傾向が出てくるので、出来れば特に序盤は余裕を持ちながら通過したい。

②走り出してから

◆ペース配分

スタート地点を通過。一つ、絶対にやって欲しくない事を挙げる。それは、「ジグザグに走る」こと。人が多いと思うように前に出れず、例えば5分/kmで走りたいランナーでも、6分/kmぐらいに余儀なくさせられる(最初の5kmぐらいまで)。特によく見る光景が、集団を「無理やり追い抜いていく」こと。結果的に「ジグザグ」に走り、余計な体力を使ってしまう。実際にそれをしている人が途中で疲れ、リタイアしている姿を何度も見て来た。相当足に負担もかかっているのだがそれに気付いていないのだ。「序盤の5kmまではゆったり走ろう」ぐらいでいいと思う。後々いくらでもペースは上げられるのだから。こんな言葉がある。「マラソンの30km地点までは移動」。30kmからが本当のマラソンだと言う人もいる。序盤は焦らない事。

ペースで一つだけ言えるのは「後半、どうせペースは落ちる」という事と、「走りやすいペースで走る」これに尽きると思う。こう言ってしまうと元も子もないが、正直最初のレースで後半のペースを上げられる人がいたらプロレベルだ。僕の場合、普段の練習は4:30~15/kmで練習を積み、上記最高記録を出したときは30km地点までは4:45/kmを積み重ねた。要は自分が走りやすいペースをどこまで継続出来るかの勝負だと思う。

◆栄養補給

人によってはコース内で提供されている給水、給食で十分という人もいるが僕は必ずウエストポーチの中にジェルとサプリは入れている。よくスポーツショップなどでマラソン大会前には「完走セット」みたいなジェルとサプリのセットが売っているが、あんなもので十分だと思う。走っていると気が付かないが、補給ができているかどうかで特に後半の体力にダイレクトに影響してくる。僕もある程度「10km毎にジェル補給、足に疲労を感じたらアミノバイタル補給」と決めて補充しながら走っているが、初期の頃に比べて格段に足がつるなどのトラブルがなくなった。足がどうしてもつるのがイヤで、ミドリ安全の「塩熱サプリ」というサプリを試したのだが、驚くほど効果を感じた。事前に調べて、取り入れられそうなものはポケットに忍ばせておいて絶対に損はないと思う。

◆メンタル面

「フルマラソンはメンタルが全て」とも言われる。個人的見解がかなり入るが、一つは「ゴールまで自分の体を運ぶのは自分」という事を理解しておくこと。どういうこと?当たり前でしょ?と思うだろうが、周りに人がいる特に序盤などは、「このまま集団と走っていれば、ゴールできそうだ」なんて感覚にもなるのだ。その間、ペースを早め、緩め、と「周囲に合わせる」走りをしがちなのだ。自分が想定していた走りというよりは「よそいきの走り」になり、いつの間にか自分をコントロール出来なくなってしまって疲れも溜まる。あくまでも自分の走りを保つこと。周囲の人がいて高ぶる気持ちと、自分がゴールまで走り抜けるのは別だと理解したい。
二つ目、「今だけの事を考える」。フルマラソンは長い。キロ表示も1km毎にされている。ついそのキロ表示の合間になると「まだ次のキロ表示来ないの?」「今何キロだったっけ?」と考えてしまう。だがきつくなればきつくなるほど、1kmはとてつもなく長く感じる。こんな話がある。「一流のマラソンランナーは、今だけの事しか考えない」。一流ランナーでさえ、後先、走ってきた距離、一切気にかけず「今、走っている事」だけに集中するという。メンタルコントロール的な要素が入るので、難しくも感じるかもしれないが、これは是非取り入れて欲しいと思う。実際に私が最高記録を出したときのメンタルで、取り入れて最も効果を感じたのがこの2つだった。マラソンとメンタルの関係性を深く理解した瞬間だった。

◆最後に

ここまでお読み頂き、心から感謝申し上げます。
僕のように小心者で、体力にも自信のなかった凡人が、フルマラソンに複数回挑戦してきて得られた「初心者向け」のノウハウをまとめてみました。
「フルマラソンに挑戦しよう」というのは、並大抵の気持ち至る考えではないと思います。
最初は出来るかな、とか、変わりたい、とか、いろんなきっかけがあると思います。そんな「あなた」の挑戦に、本記事が少しでも役に立てる事を願って。それでは。Good Run!! Good Luck!!



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