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EV車は環境問題ではなく、自動車産業の覇権争いであり、雇用問題でもある

EV車なんて全然エコじゃない!

今回はエコに纏わる大嘘!
SDGsウォッシュの大本命!
電気自動車を語り尽くしたいと思います。

温室効果ガスのCO2削減という
大義名分があるものの
自動車のEV化は全くエコではないと
ご存じでしょうか?

まず、あまり知られていない
エコではない理由3選をお話します。

その1:
二酸化炭素の排出量は変わらない


電気自動車(以下EV車)が
エコである理由は、走行中において
二酸化炭素を出さないからです。

ただし、あくまで走行中だけを見て
EUではクリーンエネルギーの象徴
脱炭素の手段としてもてはやしています。

しかし、二酸化炭素の排出を語るなら
生産から廃棄まで、商品とエネルギーの
トータルの過程を見て語らないと
全く意味がありません。

・電気を発電する段階
・原材料の採掘する段階
・車を製造する段階
・使用している段階
・廃車にする段階

全ての過程の排出量を考えてみると…

ガソリン車もEV車も変わらず
二酸化炭素はどちらも排出している

と言われています。

特に火力発電の割合で変わりますが、
発電過程の排出量が大きく、加えて
電力不足の問題が何も解決していない
ので話になりません。

原子力発電所の稼働を極端に抑制している
日本においては、火力発電所を増産して
二酸化炭素を更に排出するのでしょうか?

現時点におけるEVシフトは
エネルギー問題の意識が希薄であると
言わざるを得ないと感じています。

CO2排出量において
世界全体で見れば何も変わらない
ということを覚えておいてください。

ただし未来においては
技術革新によって変わるかもしれない…

しかし、少なくともEVシフトは
将来の選択肢として考える余地はあるが
直ぐに進める段階ではないと思います。

その2:
バッテリーの製造過程における大問題

原料のコバルトの採掘は
アフリカのコンゴ共和国に
世界全体の6割が委ねられています。

しかし、その過酷な労働実態が問題で
児童も含まれ人権問題になっています。

リチウムの採掘の過程では、
大量の地下水をくみ上げることで
生態系を悪化させています。

CO2という環境問題に取り組む過程で
別の環境問題や人権問題が発生している
という事実から目を背けてはいけません。

これは全くエコではないですよね?

また、資源の枯渇という心配もあります。

技術革新や新たな鉱脈発見によって
解決できる可能性は残っていますが、

10年後、バッテリーの資源として
コバルト等が必要な場合は、
資源の枯渇でSCMの崩壊リスクも
留意しておいて頂きたい点です。

そうなった場合は
雇用問題にも大きく関係してきます。

その3:
リチウム電池の廃棄問題

世界一のEV車の生産国である
中国では電池自動車の廃棄現場が
放置されている状態が続いています。

これが大きな環境破壊を起こしており
再利用が期待される所ですが、
リサイクル率はたった17.4%しかありません。

つまり、
中国にとってEV車とは、
環境問題では決してありません!

国策で多額の補助金をつけて、
自動車産業の未来のシェアを採りに行く
産業問題として捉えているのです。

こうした先進国でのエコシフトの裏側は
発展途上国の犠牲の上に成り立っている
という側面が見えてきます。

2035年までにガソリン車は廃止になるか?

次にEV化の旗振り役である
EU諸国で今年発生した話題に
触れていきたいと思います。

2035年までにガソリン車の全面廃止

この法案がEUで可決の一歩手前まで
進みました。

しかし、2023年3月7日に
EU理事会の新法案は承認決議を
延期する決定をしました。

これまでEV化を推進してきた
EU諸国の中で、
ドイツイタリアポーランド
反対の立場を取ったためです。

この経緯を説明するためには
そもそもEV化に至った経緯から
説明する必要があります。

まず前提としてガソリン車に代表される
内燃機関の開発が強くない国々にとって
EV化は有利に働きます。

あくまで一般論という前置きが必要ですが、
EV車はバッテリーの問題さえ解決できれば
車の生産自体の難易度は低いとされています。

今ではアメリカのEV車で代表的なテスラ社が、
倒産寸前の2008年から今日の大逆転ができた訳
の一つがEV車の構造の単純さが挙げられます。

内燃機関は構造が非常に複雑なため、
SCMの観点から見て、
テスラは手が出せなかったことでしょう。

なお、彼らは自らのブランド価値を
電気自動車の会社と設定していません。

「エネルギー企業」と自称しているのです。

EV車はあくまで手段の一つに過ぎない。
そういった姿勢が伺えます。

EV車の生産自体は産業障壁が低く、
バッテリー問題がカギになる
という特徴があります。

話を戻します。

元々EUではディーゼルエンジン
トヨタや日産を始めとするハイブリット車
と競合する形で存在していました。

しかし、ドイツのフォルクスワーゲンで
ディーゼルエンジンの排出規制に
不正が発覚したことが大きな転機でした。

この事件をきっかけにディーゼルエンジンの
信用が失墜してしまいました。

日本のハイブリット車一強となる可能性
そして、内燃機関の技術ではどの国も
トヨタのハイブリット車には
追随できないことを痛感するのです。

そこでEU各国はこの状況を打開するため
お家芸であるゲームチェンジをしたのです。

環境問題を引き合いにクリーンエネルギー
としてEV車への転換を画策したのは
上記の背景があったためです。

2035年までにガソリン車の全面廃止、
この法案をEU各国で決議し、
日本のハイブリット車の締め出しが
成功したかに思われました。

しかし、前述の通りドイツが反対し
e-fuelと呼ばれる合成燃料を用いた
内燃機関車も認めないと反対する立場を
鮮明にしたことで状況が一変したのです。

どのエコエネルギーが世界を制するか?

eーfuelとは発電等の過程で
発生した二酸化炭素を水と化合して再利用
するため、実質的には排出量が0になり、
エコエネルギーになるという理論です。

この考え方自体は正しい。

ただし、一つ大きな問題があり、
超コスト高で1リットル300円もします。
そんな高いもの誰が買うのでしょうか?

従って、少なくとも現時点では
これも解ではないと言えます。

eーfuelは既存車(とりわけ高級車)
に対する回答ではないでしょうか?

EUには内燃機関を持つブランドが多数あり
ブランド毀損や従業員の雇用問題を懸念した
ことが原因であるとされています。

仮に内燃機関の車が全て廃止された場合、
EU内では製造を担う50万人雇用が失われ、
EV車の雇用と差し引いても、
27.5万人が失業すると言われています。

以上のことから、環境問題にすり替えられた
自動車産業の覇権争いなのです。

しかも、製造過程、廃棄過程における
様々な環境問題を克服できておらず、
そのクリーンなイメージ戦略とは裏腹に
SDGsウォッシュそのものではないでしょうか?

なお、EU諸国は
決してEV化を諦めた訳ではありません!

日本のハイブリット車の販売を容認した訳
でもなく、eーfuelは答えではない。

一部の報道ではトヨタの勝利などと
見出しを見かけますが…

日本企業はまだ答えを見つけていません。


では、どの国が勝つと思いますか?

少なくとも
中国車が世界を採る未来はない
と私は予測しています。

彼らの技術力ではバッテリー事故の
リスクが克服できないと考えるからです。

中国国内で事故が発生しても
もみ消すことは容易だと思います。
しかし、海外で発生するとリコール問題等
が発生して対処しきれないと予測されます。

では、
テスラが全世界を席巻する未来
が待っているのでしょうか?

私はそれもないと考えています。

これは完全に私見であると
前もって言いたいのですが、

最近、急激にEV生産台数の低下が伺えます。

今は生産待ちの台数があった関係で販売台数
だけは右肩上がりとなっていますが、それも
陰りが見えてきています。

テスラ社でも大きなリストラが発生しており、
EVシフトだけが答えではないということが
市場の答えなのだと考えています。

世界一の時価総額を背景
株価が高い内に売り抜けるというのは
あり得るのではないでしょうか?

彼は本来自らが掲げるビジョンである
スペースX社の「火星移住計画」を推し進める
資金とするのはないか?

そのように予測しています。

結局の所、自動車産業の未来は
どの国、どのエネルギーが勝つのか?
予測は極めて難しいですね。

私個人の願望が9割以上ですが、
モータエンジンと内燃機関が双方残る形となり、
日本企業の強みは、トヨタが先行開発している
水素エネルギーの技術革新に期待したいです。

(これも走行距離、水素ステーションの普及等
 様々な問題が山積していますが…)

イーロン・マスク氏のビジョンの力がすごい

話をテスラ社のCEOである
イーロン・マスク氏に移します。

彼の凄いところは、
周囲に絶対無理だと言われるような
ビジョンを打ち出して周囲の関心を集め、
それを本当に実現してしまうという、
一発逆転型の経営スタイルではないでしょうか?

自動車産業に留まらず、
エネルギー企業であると位置づけた点
(自動車は手段に過ぎない点が秀逸)

スペースX社では、2008年当時は
3回しか打ち上げる資金が無かった企業が
最後に見事に打ち上げを成功して
NASAから多額の資金提供を獲得した点

ウクライナ戦争で一躍有名になった
スターリンクによる全世界のネットワーク
環境を構築が視界に入っている点

火星移住計画においては
再利用可能なロケット」という発想で
コストカットを果たすというコンセプトが
見事に当たっている点

そのすべてが人々を魅了し
集客や資金提供を獲得するため、
明確なビジョンを掲げている点に
彼のブランド価値の高さが伺い知れます。

日本人は技術力は確かだが
売るのが下手過ぎるという問題は

このコンセプトの打ち出し方が
分かっていないことが原因であり、
彼から学ぶ所が多いと感じています。

レイオフが過剰すぎる問題

最後に、雇用問題で締め括りたいと思います。

上記で説明した通り、
壮大なビジョンを掲げて人々の注目を集め
資金提供を獲得する点において
優秀な経営者であることは疑いようがありません。

ただし、一方で
テスラしかり、Twitterしかり、
従業員を大切にするという点では
冷酷な一面も持ち合わせています。

従業員の10%を超える人員を
レイオフするようなやり方は
あまり関心できないと考えています。

アメリカでは雇用の流動性が高く
人が一生に10回以上も転職するという
データがあります。

だからこそ、
レイオフは当たり前というお国柄なのでしょう。

しかし、日本では絶対に実現不可能です。

日本でも雇用の流動性を高めた方が良い
という議論はありますが、
それは次の就職先が見つかることが前提
で語られるべきではないでしょうか?

つまり、全国民、転職が当たり前なら
完全実力主義で通用しますが、
保守的な企業が多い、日本において
一部の企業だけで行うと大半の従業員
には不幸な未来が待っています。

アメリカの貧富の格差が激しい理由は
雇用の流動性にあるという説もあります。

また、
自動車産業の雇用は日本全体の15%
を占めているのです。

トヨタや日産等の日本の自動車産業は
EV化の流れを正しく読み取って頂き、
今後も世界で優位な位置に居られるよう
ぜひ頑張ってもらいたいと思います。

外資企業のようなレイオフが
日本の自動車産業においても
当たり前になってしまうと…

数十万人の失業者が生まれるでしょう。

そんな未来は来てほしくない、
その祈るばかりです。

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