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ひとり情シスが死ぬとき

しかし、実際のひとり情シスは、社内政治の壁に挟まれただけですぐ死ぬクソザコメンタルを持っているのです

民明書房『ひとり情シスすぐ死ぬ』より

この文章は、「corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#1 Advent Calendar 2023」に寄せたものです。いろんな情シスが、いろんな立場で面白い・興味深い記事を書いていますので、よろしければぜひご覧ください。

今回は、ひとり情シスの死についてのお話です。

といっても、ネガティブなお話をしようというわけではありません。

私自身も 12 年ほどひとり情シスをやってきました。そりゃあもう毒を吐きまくって経営層を貶めまくって溜飲を下げたい!!なんて時期もありましたし、やっちゃったこともありました(反省)。

だからこそ、私は今日、ひとり情シスにエールを送ろうと思うのです。あるいは、ひとり情シスに挑戦する人たちに楽しさや面白さ、可能性を伝えたいと思うのです。

なぜって?
そりゃあクリスマスだからです。

とにかくクリスマスは、親切と、許しと恵みと、喜びのときなんです。我々社会人はいつか来る定年退職という同じ目的地に向かって旅をする仲間同士ですから。

ひとり情シスの定義

ひとり情シスをググってみると

ひとり情シスとは、社内システムの構築や保守運用、IT機器の管理、社内のヘルプデスクなど、情シスが担当する業務を1~3人程度の少人数で行うことです。

株式会社FGLテクノソリューションズ『ひとり情シスの抱える課題と対策を背景とともに解説』

という定義が出てきます。が、この記事では、幅の広い情シス業務をガチでひとりでこなすこと、あるいはその体制とします。

情シスの業務

これは、諸説あるかとおもいます。
詳しくは吉田さんの伝説的な LT を見てもらえると良いかなと思いますが、まあほんとに多岐にわたります。

最近は DX と呼ばれる言葉が流行り、IT(化)戦略やマーケも含めたデジタル化という側面をも担うことが増えたりしていますよね。

あなたが使う通信手段、パソコン、アカウントの手配と行った身近なものから、勤怠システムや通常業務でデータを纏める場所の提供といった日常当たり前に使うもの、基幹系システムや監視系システムに加えて、企業の事業戦略といった攻めの戦略、あるいは、セキュリテイや認証と行った守りの戦略までと、関わる業務はほんっっっっとうに広い。広すぎるくらいです。

これをひとりでこなせってんだから無理があります。
ふふ、本当にそうでしょうか?

ひとり情シスはどうしたらいい?

情シスの業務は大変に幅広いものの、すべてを一人で担うことはまあ、できません。物理的にそんな時間はないですし、人間ひとりの能力なんてそんなにあるわけでもないですし。

じゃあどうするか。
プライオリティ(優先順位)をつけて、今やること・やらないことを決めるという方法が一つ。もう一つの方法は…「ひとりにならないこと」でしょうか。

いや、ひとりだからひとり情シスなんでしょって?そうです、そうです。

情シスとしてはひとりであったとしても、他の部署に人はいるでしょう。そういう意味で「ひとりにならないこと」はとても大事です。

IT的観点・ロジカルシンキングの結果正しいと思われるものが通用するわけではありません。世間一般の常識が・知識が・技術が是といってるものが、御社で通用するわけでもありません。

だからこそ、ひとりで考えず、他の社員や他の観点を持つ仲間(例えば情シス Slack の皆さんとかね)と話したり、壁打ちをしたりということが大事になってきます。

…なんて話をすると「いや俺ぁまちがってねえ、時代はゼロトラストや、間違ってるのは経営層だ!!」という反応をされる方もいます。うん、たしかにそうかも知れません。

あなたの視点から見て「間違ってない、正しい」。
うんうん、なるほど。で、それがいったい何だと言うんです??

という問に答えられないと、すぐ「死」にます。

ひとり情シスすぐ死ぬ

ひとり情シス…うーん違うな、強いて言えば「孤独情シス」かな?はすぐ死にます。

正しさや美しさ、世間一般の流行りや理論、成功パターン。それはとても尊いものです。それを知っている・その技術を習得している・それらを用いる知見を持っている。それはまさに努力で得た素晴らしい宝物です。

そのきらきらした宝物ばかりを大事にしていると、足元を救われてすぐ死にます。そりゃあもうスペランカーの主人公レベルですぐ死にます。

なぜ死ぬのか。

なにかを押し付けるばあい、たいてい反発が来るからです
それこそ、一人では受け止められないレベルの反発がくることもあります
これで我々はすぐ死ぬのです

反発を防ぐには、反発しそうな人たちと先に触れ合っておく必要があります。あるいは、反発されたとしても押し通すだけの力を持っておく必要があります。

これは、孤独な人にはできないことでもあり、持てない力でもあります。

力が欲しいか…

例のアレ

その力は、某ARMSのように「くれてやる!!」というふうにもらえるもんではないんですよね…。これはもう本当に、本当に泥臭く、いろんな人や力とコミュニケートしていくことでしか得られない力です。

これはまあ、細部をほじくれば難しいです。
人と人との関係は、そう簡単なものじゃないですから。

でも、始めるのは簡単です。Jamf だ Intune だ Azure だ GCP だ Salesforce だ…といった技術を学習しよう!と志すよりはよっぽど簡単です。さらに言えば、無料で始められます。費用対効果バッチリ。

もちろん、技術習得を蔑ろにせよと言ってるわけではないです。技術習得をきちんと行い、正しさとは美しさとは、利便性とは、現代の市場に合わせたシステムとは…を追い求めてるその気持を、ちょっと別な方向に向けるだけでその力を得ることができるよということを言いたいのです。

おなじ運命から逃れる希望と機会

…と、偉そうに語ってきましたが、私は過去、上記で批判的に書いていることをやらかしてきました。正しさ美しさ、世の中の流れ、それらを踏まえて必要な技術や知識をきちんと習得する心構え、それを武器にして提案する能力…それのみが尊いもの、大事なもので、尊重されるべきものだなんていう勘違いをしてきました。

今回、アドベントカレンダーということで、記事を起こしていますが…クリスマスといえばディケンズの『クリスマス・カロル』(毎年このネタ使ってる気がする)。私は今回、そこでいう幽霊たちの役割を少しでも果たせたらいいなと思っています。

毎年この季節に読み返すんですが…毎年ハッとします。自分を・自分の立場を守るためにスクルージ(主人公)のようになっていなかっただろうか、と。

もしそうなら、チャンスです。
クリスマスは、前述した通り、親切と、許しと恵みと、喜びのときなんです。

宗教は一旦おいておいて、一つの考え方として。

技術や知識や能力は一旦おいておいて、周りに親切をおこない、許し、恵めるものは恵み(お金やお菓子じゃなく、あなたの上機嫌な顔でいいんですよ)、一緒に喜ぶ。

というのをやっていい時期のはずです。

もしかしたら、そうすることで、ひとり情シスは死なずにすむかもしれません。会社をさらずにすむかもしれません。

お試し無料。孤独を愛するのではなく、ひとりと言う立場で他の人達と触れ合うことで、問題を解決するということをやってみると、意外にうまくいくかもしれませんね。

さいごに

とはいえ、ひとり情シスは死にやすいし病みやすいんですよ、間違いなく。

会社の方針変更で企画を潰されただの、現場が意見ではなく俺個人に反発してきやがるだの、部署間の板挟みで悪者にされるだの…数え上げればキリがありません。

だから、我々は、自衛する必要があります。

自衛の手段の一つとして、逆に「もっともっと人と触れ合ったり考え方を理解しようとする」というのはわるくないですよというお話でした。

メリークリスマス。
みなさんが今抱えている問題が、少しでも軽くなりますように!

さて、明日はくろひつじさん(いつぞやビールごちそうさまでした!泣きながら飲みました)。どんなお話が聞けるのか楽しみですね。

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