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研究の広報は必要? AI Lab、研究広報で考えていること。(前半)−CCSE2021トークセッション

PRLTのアドベントカレンダー2021に参加しています!
振り返りを残すようにしたいと考えながらも、なかなか自分のアウトプットが後ろになりがち…
そんな中こういった機会をくれるPRLTの皆さんに感謝です。

2021年もたくさん、広報として新しい経験を積むことができました。
特に、AI技術がプロダクトに実装されたことで、社内外ともに「サイバーエージェントのAI技術、AI Lab」に対する認知率の高さと期待を感じる事ができました。
着実に組織が成長し、数年前から「AI Labをこういう状況にしたい」とイメージしていたことが実現されてきたと思います。
広報してきたことが、広く研究者にもビジネスサイドにも伝わってきている、と顕著に感じた1年でした。

■2021年に繰り返し考えていたこと

・PRはやっぱりストーリーが大事。ほんとに大事。
(研究→プロダクト実装→成果、つなげるPR)
・価値の見える化
・シンプルに伝える
・ニュースバリューはどこ?自分が日経記者ならどんなタイトルにする?
・誰に届けたいのか、誰の態度変容させたいのか…
・研究×ビジネス つながるPR、つなげるPR面白いな

2021年、様々な新しい経験がある中で何を執筆しようか‥と考えていたのですが、質問いただくことの多い「研究PRをする理由」についてまとめたいと思います。

■研究の広報戦略、どうしてる?

先日、サイバーエージェント主催で開催している、企業の合同研究カンファレンス「CCSE2021」のカジュアルトークセッションでも「研究の広報戦略、どうしてる?」をテーマに、当社のAI Lab研究者2名と・ISIDの研究PM岡田さんとお話をしました。当日頂いた質問含め、一部まとめてみたいと思います

●質問1●
研究を広報する目的はなに?

私なりの考えですが、
会社においての目的と、研究社会にむけた目的をもって実施しています。

<会社における目的>
・最終的には、会社の事業が大勝ちしていくため
・AI Labという組織の価値を伝え、ブランディングしていくため
・保有技術が、世の中にとって価値あるものだと知ってもらうため

AI Labを立ち上げた2016年から、研究者メンバーとともに「企業の研究所として、AI Labが組織の強みとなる存在になろう」と話してきました。

そのための組織づくりで、そのための採用、そのための研究成果のアウトプットです。

研究チームのブランド、価値を理解してもらえればそれは、会社の強みとなります。
すべてはつながる。
なので、研究、研究組織を広報しない理由がないのです。

AI Labの存在が、サイバーエージェントが提供するサービスの「技術力の裏付け」となるよう、存在価値を高めていくことを大前提としてあらゆる広報をしてきました。

サイバーエージェント AI事業本部の体制図

↑↑↑ サイバーエージェントのAI事業本部は、とても領域が幅広いです。

・広告クリエイティブ×AI
・小売DX×AI
・医療DX×AI
・行政DX×AI
・イベントDX×AI
・バーチャルヒューマン×AI
・ロボット接客
…などなど。

1つの事業だけでなく、どんどん新しいサービスを生み出していて、
あらゆる事業にAI技術がどんどん展開されています。
これまでなかった、技術の組み合わせで新事業が始まったりもします。


なので、「AI Lab」という組織自体の価値を見える化しておく必要があるのです。

研究組織としての成果と価値を出しながら、その価値を広報PRでわかりやすく見える化して伝える。必然だと考えています。

そして、AI Labが取り組む研究が、価値あるものだと知ってもらう必要もあります。

例えば「経済学×AI」
テック企業において「経済学」が必要だとそもそも認識されていない中で、ビジネスの意思決定を扱う科学として、その価値をしってもらい、CAが取り組んでいること、さらには研究成果としても出していることを知ってもらう必要があります。

「そうしないと、世の中が変わっていかない」
経済学の研究チームリーダー自身が言った言葉です。
彼が自ら強く想い、PRも考え実行してくれていることはとても大きいです。
一緒に、社会の認識を変えていく。

とても面白いし、やりがいがあります。


また、2つめ。
会社だけでなく、研究社会においても変化をもたらせたら…という考えももってPRをしています。

<研究社会における目的>
・テック企業で、リサーチャーとして研究職ができることを広く知ってもらいたい。
・若手研究者、D進やアカデミアと企業就職に迷っているような若手が、安心して就活できる土台作りをしたい
・リサーチャーの活躍、凄さをもっと知ってもらいたい。
・アカデミアの知見と企業の社会実装がもっと加速する世の中になったら面白い

産学連携を多くする中で、たくさんの研究者の方、先生達とお話する機会がありました。
企業と大学が適切に連携することで、こんなに多くの変化やビジネスインパクトが生まれるのか、と。もっと世の中変わるじゃん!とシンプルに思います。

アカデミアと企業、両方にそういった理解のある人材がいればもっともっと化学反応が生まれてくる。そんな世の中に近づくよう、微力ながらも影響を出せたら、出していきたい、と思っています。

▼ぜひ読んでほしい。研究者たちの社会に対する想い

経済学×AIが、こんなに世の中を変える可能性がある、ということを示すために記事を作成しました。インタビュー中からワクワクする内容で、研究者の人たちが考えている世界観をぜひ皆さんに知ってほしいと思い編集しました。
研究の社会実装をもっと知ってもらい、検証フィールドとなるパートナーが見つかれば更にうれしい。
世の中が変わるきっかけのひとつを作りたい。そう思って企画しています。


●質問2●
研究の広報計画はどう立てているのか?事前に決めてる?

ある程度、事前に立てています。
突発では価値は出せない、ストーリーが大事だと思っています。
論文投稿予定や、プロダクトとの連携状況、成果が出そうな時期なども確認しています。

(ちなみにテック企業の広報の中で、AI関連トップカンファレンスの名前と開催時期、一番詳しいのではと思っています笑)

AI Labは、大きく3領域の研究がありますが、全部色が違います。

サイバーエージェント AI Labの研究領域

研究が違うので、関わるプロダクトも、出したい&出せるPR素材もすべて違う。なので、それぞれにあった計画を考える必要があります。

各研究領域ごと、チームリーダーと広報会議をし、半年・一年の中でどんなことができるか、どんな成果が出そうで、マーケットの中でどんな状態になっていたいか…

そういったことを各領域の研究リーダーと話し、
その成果が2倍・3倍となるようなアウトプット手法を検討していきます。
プレスリリース、インタビュー記事、TV取材、イベント開催…やり方は様々です。

プロダクトの広報と、AI技術広報をしっかり掛け合わせます。研究が実装されたプロダクトが世に出るタイミングにあわせ、AI Labに関する情報も出す…など、たくさんの工夫を、研究者とも一緒に考えています。

「一緒に考える」

ここは、とても重要だと思っています。
何のための広報か、何を成し遂げたいがための広報か。
ここがシンクロしていなければ、絶対にうまくいきません。
「広報に言われたから…」「サービス側に言われたから…」 だめほんと絶対に。


事業にも、研究にも、両方にとってインパクトが最大となる広報を実施していきたい。
考えきれているか?

そんなことを常に考えています。


ここで3000文字…
長くなってしまったので、前半・後半にします!
後半は、近日執筆したいと思います。
気長にお待ちいただけたら嬉しいですー!

▼後半戦
●研究プレスリリースを出す理由は?
●研究の広報発信ネタ、どう集めているの?


技術広報をしている方、どうやって広報に技術に興味をもってもらうか悩んでいる方…など、
何かしら参考になれば幸いです!


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