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野球選手のためのテーピング −足関節・足部−

いつもトレーナーメモをお読みいただきありがとうございます!

今回はCーI BaseBall 育成メンバーの平川が、
前回までに引き続き、テーピングシリーズをお送りします。

そして、今回は患部別最終となる足関節・足部編をお送りします!

野球選手にも決して少なくない足関節・足部障害は、

障害発生後しっかりとしたケアが行えないと、

その後のパフォーマンス低下にも関わってくる足関節・足部機能のため、

ぜひ参考にしてみてください!!!

「テーピング編」今までの記事はトレーナーメモから閲覧できます↓↓↓

▪️はじめに

どの競技においても言えることですが、

足関節・足部の障害が残存してしまって、

『踏ん張れない』
『力を入れにくい』
『思うように動かない』

など、パフォーマンス低下に大きく関わってくることが多いと感じます。

動きの根源・土台となるのは、足関節・足部になるため、

その部分の安定性が欠如している場合には、

足関節より上の部位での障害・パフォーマンス低下につながります。

また、足関節・足部というのは歩行など日常生活レベルでも用いるように、

安静にするということが難しい部分でもあります。

そのため、テーピングやインソールなど道具を用いて、

機能の保護や補助をしていくことは重要です。

そして、今回は野球現場で発生する足関節・足部の外傷・障害に対する

テーピングの方法をお伝えしていきます。

足関節・足部に対するテーピングでは、

外傷(内反捻挫)

障害(足底腱膜炎・シンスプリントetc...)


に分けて、紹介していきます。

▪️外傷:内反捻挫

|病態

内反捻挫とは、

足関節外側の関節支持組織が

生理学的範囲を超える伸張
によって生じる損傷のことを言います。

|受傷機転

損傷する際には、2パターンの受傷肢位があり、

それぞれの受傷肢位によって、損傷部位は異なります。

受傷しやすい状況としては、

物の踏み外しやサイドの動き転換で多く見られます。

|急性期に対するテーピング

急性期対応であるPORICEやPRICEのうちの保護・固定を目的に行います。

その際、テーピングによって静脈還流が阻害されてしまって、

循環障害を引き起こし腫脹が改善されない場合があります。

そのため、急性期対応にてテーピングを行う際は

一部分を解放するような巻き方にするべきです。

|再発予防・後遺症に対するテーピング

内反捻挫の受傷後は、外側への動揺性が高くなっており、

その後の後遺症(足根洞症候群・立方骨症候群など)につながってしまいます。

アスレティックリハビリテーション後半から運動復帰に向けて

再発や後遺症に対するリスク管理として行っていきます。

▪️障害:足底腱膜炎・シンスプリント・アキレス腱障害

外傷とは異なり、

障害とは軽微なストレスを繰り返し受け続けて生じるものです。

そのストレスを繰り返し受けて、結果的に足底腱膜炎などの障害が生じます。

そのため、そのストレスを発生させている原因を軽減させて、

疼痛軽減を目的にテーピングを用います。

足関節・足部というのは、個人によって構造・機能は異なります。

そのため、足底腱膜炎やシンスプリントだから

内側縦アーチを引き上げればいいと症状によって決めつけてはいけません。

ストレスの発生機序(動作)や足関節の構造・機能(マルアライメント)、

ストレステストなど様々な評価に合わせて、

テーピングを巻いていく必要があります。

そのため、足関節・足部にテーピングを巻く際には、

症状に合わせて巻いていくのではなく、

足関節・足部の評価をしっかり行い、

評価結果と症状からその原因となる部分に対して巻いていくべきであります。

今回は、原因にフォーカスを当てて、テーピング方法を紹介するため、

病態に関しては省略させていただきます。

野球の中でも走塁や守備の際に必要なランニングで発症することが多いため、

今回はスプリントサイクルに沿ってお伝えしていきます。

|Foot-strike
 −圧縮ストレス(ex.踵部脂肪体炎)

目的

踵接地時のおける踵部脂肪体の緩衝機能を向上させ、圧縮ストレスを軽減させます。

方法

|Mid-support
 −伸張ストレス(ex.足底腱膜炎・シンスプリント・アキレス腱障害)

足関節・足部障害として最も多いフェーズです。

動的負荷が最もかかりやすいフェーズであるため、障害が必然的に多くなります。

しかし、足関節機能には衝撃に対する緩衝機能があるため、動的負荷だけでは障害につながりません。

動的負荷に加えて、足関節機能の低下が存在することで、ストレスが局所的に集中し、障害へとつながります。

そのため、ストレス軽減目的でのテーピングでは必ず動作および足関節の評価を行います。

評価

上記の評価から機能低下の部分に対して

テーピングによる関節誘導・制動を行っていきます。

使用テープ:伸縮テープソフト

ハイアーチ型

−距骨下関節回外制動

−ショパール関節回内誘導

扁平足型

−距骨下関節回内制動

 −ショパール関節回外誘導(舟状骨引き上げ)

 −1th底屈内転誘導

|Take-off
 −伸張ストレス(ex.足底筋膜炎・アキレス腱障害)

足底腱膜−踵骨−アキレス腱は筋膜ライン(SBL)によって連結しています。

そのため、足底腱膜またはアキレス腱のどちらかに硬さが生まれてしまうと、もう一方は伸張位になります。

その状態でTake−offなどの伸張ストレスが加わると、障害につながりやすくなります。

評価

テーピングを巻く際には、問診によって疼痛部位をはっきりさせ、ストレステストにより疼痛の再現が取れた上で行いましょう。

足底腱膜のWindlass test(+)に対するテーピング

アキレス腱周囲の背屈時痛(+)に対するテーピング

▪️さいごに

足部は26個の骨から構成され、多くの関節が存在します。

テープを強く巻きすぎたり、巻く方向や位置を間違えたりすると

足関節の機能低下につながります。

そのため、評価(骨触診)には注意する必要があります。

また、前述した足関節の機能低下によって、症状は悪化していきます。

症状悪化を防ぐためには、再評価はとても重要です。

テーピングを巻いた際には必ず再評価を忘れずに、

本当にストレスを軽減できているのか動作を何度も確認しましょう。

【参考文献】
臨床スポーツ医学 Vol.36 No.9(2019-09)
臨床スポーツ医学 Vol.37 No.7(2020-07)
AT教本 第6巻 予防とコンディショニング

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