見出し画像

粛々と運針

観る前に加藤さんのインタビューに目を通し
その中で『なんで自分にオファーがあったのが弟のほうじゃなくて兄のほうなんだろう』『全員に共感できる』という加藤さんのインタビューが印象的だった。

全員に共感。その通りだった。不思議なお話。
たぶん、この人っていう自分と一番近しい立場の人が観る人それぞれにいる。
わたしにとってはそれが沙都子だった。
でも、加藤さんの言うように、他の登場人物の気持ちも痛いほどわかる。全員が自分の中にいる気がする。

生家を大事にしたい一(はじめ)、何者かになりたいおうすけ、我慢して溜め込んで爆発しちゃうつなぐ。

どうしてもこの舞台の感想を語ろうとすると自分語りが始まってしまう。
ここがこういうふうに同じ境遇で〜、同じ考えで〜といったふうに。
なので、どうしても外に感想を書き出すのが難しいなと思ってる。

何かきれいにこたえが出るような話ではない。
こんなだよね〜〜、でも、生きていかなきゃね。
っていうおとし方に妙な安心感を覚えたり。

毎日"もうどうしようもない"ことばかりだ。
転職したいけど踏み出せないし
親も自分もは年を取る一方で
なんとなく結婚の圧力をかけられ続け
こうあるべきとこうしたいの乖離に悩まされ。
そんな日常を舞台にしてくれてありがたいなと思った。

重いはずなのに安心できる舞台だった。