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【新星18歳シンガーソングライターのデビューアルバム】Olivia Rodrigo 『SOUR 』

まえがき

ロサンゼルスの18歳のSSW,オリヴィアロドリゴのニューアルバム、サワーをレビューします。

彼女は2021年のシングル「driver's license」の大ヒットの後、デビューアルバムの約束をすぐに果たしました。
driver's licenseというこの曲は確かにドラマチックな寂しさと贅沢に制作されたピアノバラードのヒット曲です。

どんな人か

ロドリゴの成功は一夜にして実現したように見えますが、彼女はこの業界に入ったばかりというわけではありません。
彼女は歌手としての訓練を受けており、ディズニーの女優として「ハイスクール・ミュージカル」シリーズにも何年も出演していました。(左2番目)

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そして、コメントで業界の宝とかのように言う人も多いですが、実際、これらの役を演じる俳優や女優は、仕事が終わった後は無名になってしまうことが多いのです。
ディズニーのショーで役を演じたからといって、ショーが終わった瞬間にすぐにレコード契約を言い渡されるわけではありません。
しかし、エンターテインメント業界のあるセクションにいることで、他のセクションへの移行がある程度容易になることは確かです。
これは間違いなく、誰もが得られるわけではない特権です。

しかし、オリビアのシングルがこれまでのところ何かを証明しているとすれば、それは彼女がその成功を裏付けるボーカルの才能を持っているということです。

アルバムについて

アルバムの中心テーマは、オリビアの人生における非常に特定の時期の関係を中心とした、「若き日の愛」と「失恋」です。
先ほど述べた、悲しげな大予算のピアノ・バラードのようなものもあれば、壮大なミレニアル・ポップ、テイラー・スウィフトのようなベッドルーム・ポップ、ローファイなものもあります。
少しのポップパンクもありますが、10代の悲哀を表現したこの作品では、すべてが奇妙にも共通しています。
そして、実際に印象的なのは、彼女の説得力のある声と歌詞が、彼女がここでまとめようとしている物語に共感しようとする、その領域外のティーン英ジャーではない我々にとっても、その経験を即座に親しみやすいものにしていることだと思います。

個々の楽曲について

オープニングのbrutalは叩きつけるようなロックのリフとドラムが特徴。
ポップスにしてはかなり生々しくワイルドで、アブリルラヴィーンのようなパワフルさを感じます。
この曲で歌っているのは、若さなんてクソだってことを歌っています。

”they say these are goldenyears but iwish icould dissapppear”

と歌っていて、若さってよさだととらえられがちですが、当事者にとっては悩みも多いし、みたいなことを歌っていると思います。
そして、こういった若さに対する負の感情はアルバム全体を通してうたわれているテーマであり、似た表現は後半でも登場します。

続いて、心の傷を歌った「Traitor」という曲に突入します。
これはピアノの旋律と歌声が美しい曲であるだけでなく、10代の愛がいかに思慮に欠けていて、不安定であるかを伝えてくれます。
遊ばれて、別れを告げられ、その2週間後には元彼が別の人とデートすることになってしまう。
この曲は正にテイラースウィフトのような雰囲気で、スウィフトがこの曲に影響を与えていることは明らかですが、個人的にロドリゴはこの年齢の彼女よりもはるかに優れています。

続いて、「drivers license」という曲があります。これはリリック的にもサウンド的にも非常に優れている楽曲だと思います。
運転免許試験は若者にとって通過儀礼だと思いますが、それを失恋の経験と重ね合わせた歌になります。
今回は運転をしていてもそばにあなたがいない、という歌詞はありきたりではありますが、免許というものを比喩で含んだことで歌詞が重なりをもっているように感じられますね。

one step forward three steps back "はとても静かなピアノバラードで、サウンド的には、アルバムの中では重要な曲です。
ここでロドリゴは、彼女が手を差し伸べて物事をスムーズに解決しようとしたり、個人的な区切りを見つけようとしているように感じました。
このアルバムはテイラースウィフトへのオマージュが非常に感じられますが、この曲はハッキリと歌詞をオマージュしています。

And maybe in some masochistic way I kind of find it all exciting Like, which lover will I get today?

という箇所は非常にテイラースウィフトへのオマージュが溢れていて、テイラーのDearJohnという歌でも、同じく電話に出るのはどっちのあなたなの?という箇所があります。


good for you "という曲では、デジャブと同じく、元カレが別の女の子といることのテーマが、一転して激しいロックのリフに乗って展開されています。
ここでは感情的に、ロドリゴが悲しみから怒りへと変化していく様子が描かれています。
悲しいことを克服するには、少なくとも、そのことに腹を立てたり、悲しいことを奪ったことに腹を立てたりする、怒りの瞬間が必要だと思います。
この構成は実際の人の感情の動きにも近いと思っています。

そしてクロージング・トラックの「HOPE YOU'RE OK」は、アコースティック・ギターとキーのニュアンス豊かなレイヤーが特徴です。
拒絶されたり、差別されたりして苦しんだ経験のある、彼女の傍にいたLGBTの人々についての歌であり、彼らがより良い人生を送ることを願っています。
非常に魅力的なストーリーだと思っていて、個人的な経験を歌っている本アルバムでも最もパーソナルな感情だと思います。
これまで一貫して悲しみや怒り等の感情が多かったこのSOURの締めくくりとしてこのような優しくハッピーな歌が使われているのは、本人も語っていますが、リスナーに向けての応援や希望の提示であり、終わらない悲しみは無いということを歌っているということだと思います。

アルバムの総括

アルバム全体の包括としては、彼女の歌声のすばらしさやソングライティングの歌詞の瑞々しさは非常に素晴らしいものだと思います。
ミュージカル出身のしっかりとした歌声やは18歳のシンガーのデビュー作とは到底思えないという印象です。
ただ、残念だなと思った点もあり、それは数多くのトラックでは、このプロジェクト全体を通して似たような内容の曲を繰り返している点です。
特に、この人があなたから次の彼女に移るまでにどれだけの時間がかかったかなど、この状況全体について同じ記述を繰り返しています。
しかし、そうは言っても、このアルバムの誇大広告は本当だと言えるでしょう。オリヴィアロドリゴという才能が開花したデビューアルバムで、曲、ヴォーカル、プロダクション共に聴くに値するアルバムだと思います。

そして、この作品は、オリビアがもう少し野心的になるはずの次のアルバムに引き継ぐのに十分な基本的な才能があることを示しています。
願わくば、今後への期待として、彼女が提供するサウンドや、彼女がまとめる物語をどれだけ深く掘り下げるかにアプローチしたいと思っています。

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