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ルヴァンカップ配信障害に思うサッカー中継の将来

私の応援するガンバ大阪はセレッソに敗れて大会を去ることになりましたが、今年のルヴァンカップ準々決勝は色々ありました。昨季2冠の川崎フロンターレが浦和レッズとの対戦で、終了間際に槇野のゴールを許し、アウェイゴールの差で敗退したのは驚きでした。

それより何より、水曜の第1戦でネットでのライブ配信に失敗したスカパー!がさらに失敗を重ねたのは、日本のサッカー中継やスポーツ中継における分岐点にもなりそうな気がします。

9月1日、スカパー!サッカーオンデマンドではアクセス集中による障害が発生して急遽、YouTubeでのネット配信を行いました。

そして9月5日の第2戦前日に、スカパー!としてのネット配信を断念して、同じくルヴァンカップの放映権を持っているフジテレビのFODプレミアムにて配信することを発表していました。

おそらくは、契約を結んでいる視聴者のうち、放送波で観る人とネットで観る人の割合が昔よりも大きく変わったのでしょう。スカパー!の抱えるネットワークのバックボーンやサーバ能力ではさばけないアクセス数のため、FODプレミアムに流して他のスカパー!のサービスに影響を与えないためなんでしょうけれど、FODでも問題が起きてしまいました。

視聴者を流したはずのFODプレミアムでも視聴できなくなり、結局、当初はしないといっていたYouTube配信でカバーすることになりました。

スカパー!サッカーオンデマンドでのルヴァンカップ中継では、5月にも同様のトラブルが発生していました。

今の時代はテレビ持っていない人も結構います。私自身、自室にはテレビはありません。nasneは持っていますのでテレビ視聴は可能ですが、手っ取り早いのは結局ネット中継になります。

スカパー!にしろフジテレビにしろ、契約者のうちの視聴傾向がここ数年で変わってきたことに対応出来ていないのでしょう。

DAZN契約済みのサッカーファンにしてみたら、
「もう全部DAZNで中継してくれ」
と言いたくもなります。

ACLは今年の開催数日前にDAZNでの中継が決まりました。W杯アジア予選も同様に数日前にDAZNでの中継が発表され、しかもアウェイ戦に至ってはテレビ放送無しでDAZN独占となりました。

少なくとも日本のサッカー中継においては、テレビ放送と放映権料の釣り合いが取れなくなってきました。

ちなみに、スカパー!オンデマンドのサービス自体がこの10月に大幅リニューアルとなり、

放送契約者無料のサービスと、有料コンテンツ配信サービス「SPOOX」に分離するそうです。ルヴァンカップ中継や天皇杯もSPOOXに移行するようですが、サッカー関係のネット配信は有料にしてその分をインフラに回すのでしょうね。

Netflix始め有料での動画配信サービスは普及してきて、スカパー!の戦う相手が地上波のテレビ局だけではなくなりました。ニッチな要求をする視聴者のお金と時間を争うという点では、DAZN・Netflix・Hulu・Amazon Prime Videoらとスカパー!は直接競合します。

ライブ中継によるアクセス集中を防ぐにはインフラを増強するしかなく、逆にドラマなどの番組では視聴者が観る時間はばらけます。強いインフラを抱える余裕がもしスカパー!に無くなれば、サッカー中継は将来的には手放しそうな気がします。

手放した後を拾うとしたらDAZNしかありません。Jリーグ・ACL・代表戦に加えて、ルヴァンカップと天皇杯をDAZNが手に入れる未来も十分あり得ます。

サッカーファンとして怖いのは、DAZNに全てを囲われた後に大幅値上げされたり、中継・配信の質が低下したりすることですが、放映権料に見合った利用者数があれば大丈夫なはずです。

そうするには、ファン層を増やすことが必要で、それは個々のチームが勝つためだけのクラブ経営、チーム育成ということではなく、それにプラスしてファンが増え満足できる、エンターテイメントとしてのサッカーを提供できるかどうか、ということにかかっています。

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