楽天はなぜウィルコム・イーモバイルを買収しなかったのか?

もはや年中行事のようになってきた、楽天の決算時に楽天モバイルが巨額の赤字を抱えているというニュースですが、今年は大きな転換を発表してきました。

これまで縮小してきたKDDI回線でのローミングについて、容量制限を外して積極的に利用する一方で、独自基地局の設備投資を減らすことで、財務状況を改善させるとのことです。

KDDI側も楽天のローミングにはかつてはあまりいい顔をしていなかったのですが、今回逆に利用が増えるという方針転換について合意した以上は、これまでよりも分の良い企業間契約になったのでしょうね。

むしろ楽天モバイルが、もともとやっていたdocomoのMVNOサービスから独自回線に踏み切った方針を一部転換するようなものであり、だったらずっとMVNO業者として続けていたら、この数年で1兆円以上の利益を積み増せていたんじゃないかとお節介な気持ちになります。

というか、今こんなにお金を投じなければ第4のキャリアになれないのは、SoftBankのように他社を合併しなかったからなのですよね。イーバンク銀行や国内信販を買収して楽天銀行・楽天カードにしたことを考えると、他社回線を買収しなかったツケを今払っているようなものです。

SoftBankは当時多くの人が危惧した超巨額の借金をしてVodafoneを買収しましたが、孫正義のギャンブルは成功しました。その後にも、経営に行き詰まったウィルコム・イーモバイルを合併したことで大きな回線網を持つことが出来ました。

楽天がやれたとしたら、Vodafone買収は無理としても、ウィルコム・イーモバイルの買収は資金的には難しくなかったはずです。

三木谷氏と孫氏の勝負師としての違いが、楽天モバイルの苦境の根本的な原因だと思うのですけれど、どうでしょうかね。

ちなみに、今回の楽天モバイルの方針転換により、基地局整備に掛かる費用が削減されるので赤字幅は減るはずです。ただ、KDDI回線での大量使用者が続出すれば、また赤字が増えるでしょうから、そうなったら三度方針転換をせざるを得なくなるでしょう。6G時代の到来はおろか、次のプラチナバンド割当にまで耐えられるかどうかが見物です。

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