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ベーシックインカムがもたらすのは堕落か、それとも安定か?

ベーシックインカムについては個人的にこれまでのnoteに何度も書いてきました。リンクはこの文の下にまとめてみます。

世界的にもこれまで実験が何度も行われてきましたし、今年はコロナ禍によって仕事が無い状態で生活し続けるための原資として注目されています。

そんな中、ベーシックインカムとは真逆の自由資本主義社会であるアメリカの自治体でも試験導入が行われているそうです。

ツイッターCEO、ベーシックインカム推進団体に300万ドルを寄付
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/ceo300.php

ベーシックインカムで支払われる金額の水準については、お小遣い程度から、それだけで生活できる程度まで理想も実践も様々なパターンがありますが、それによって国民・市民の財布に余裕が出来ることは間違いありません。

その一方でベーシックインカムが誰にでも支給されることで、
・働かなくなる
・薬物やギャンブルにお金が回される
・財務状況が悪化する
・引き換えに給付を減らされる人が困る
といった問題が指摘されます。

働かなくても生きていける、あるいはちょっとだけの仕事で済むようになった場合の問題点は、倫理的な問題と労働者不足という点です。働かざる者食うべからずというのはよく言われることですが、年金生活者や障害があるということではなく一律に給付し続けることの是非は誰もが思いつくでしょう。

また、仕事をしない、あるいは労働時間を減らしてもいいということで企業側が労働者の確保に困るようになります。その代わりにAI(人工知能)や、RPAなど自動化システムや、自律ロボットなどで代替出来ればいいでしょうが、出来ない業務があれば企業の存続に関わります。

薬物やギャンブルにお金が回されるのは確かにそうですがこれは働いた人が給与を使っても問題と言えば問題なので、ベーシックインカムだけの問題ではありません。

残り二つの、財務状況の悪化と代わりに給付が減る人の問題ですが、ベーシックインカムの原資を別のところから持ってくればある意味解決する問題です。上記のリンク先では政府系ファンドや富裕層への課税とあります。それが実現するかどうかはともかく、ベーシックインカムによって人々の暮らしや社会が安定すれば、利益を得られるのは給付を受ける人達だけではありません。

社会が安定すれば利益を得られるというのは、ひっくり返せば社会が不安定化すれば損をするということでもあります。おそらくこれは多くの産業・企業に共通する話のはずです。安定した社会から利益を得るところに課税をして、それをベーシックインカムに回すというのは理屈としては悪くないはずです。実行は大変でしょうし、成功するかどうかも分かりませんが。

トービン税という、金融取引にごくわずかな課税をして財源確保するという考えもあります。

コロナ給付金の財源問題も即解決だが......取り扱い注意なトービン税とは
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2020/07/post-109.php

ただ、実現が難しいので為替取引への世界的一斉適用は無理でしょうね。国内で国内株式・先物取引・オプション取引とかであれば可能でしょうか? 課税によって取引が減少し、投資資金が国外に逃げる恐れがあるのでやっぱり無理ですかね。

コンピュータによる高速取引で、ごくわずかな利ざやを少しずつ積み重ねる手法が不可能になるでしょうから、市場に衝撃があるような出来事が起きたときに相場が乱高下しにくくなる、というメリットはあるはずです。

相場の不安定化も社会の不安定化も防げるのであれば、トービン税による収入からベーシックインカムを支給するというのは理屈としては悪くないのではないですかね。物事はそう簡単では無いと思いますが。





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