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給湯器が教えてくれたこと

(これは大学卒業間近の頃のお話である)

Night Slider , just , Toromi days ,,,
yogee new waves


それは突然だった、、、わけではなかった。

前々からお湯が出なくなることがしばしばあった。
でも、何回か給湯器をいじるとその日のうちに直ったので、特別修理もせずにいた。

だがしかし、2月の初旬。
まあ、お察しの通り給湯器がちゃんと壊れました。何度やってもお湯が途中で出なくなってしまう。

さあ、どうする。
風呂に入れないということはすなわち、
体が臭くなってしまい、人と会えない。
大学卒業間近のラストフィーバーなこのタイミング
友達と会えないのは致命傷どころかもう死だ。

誰かの家でお風呂に入らせてもらうか。
いや、俺は男子にしては風呂が長いから、給湯器が直るまでの間毎日入らせてもらうのは申し訳ない。

んーと考えていると、よく車で通る道の景色を思い出した。
その景色にあったのは、

極楽湯。


あ、そうだ。
銭湯ってものがあるじゃないか。
ああ救世主だ、素晴らしい。
この日は既に22時をまわっていたが、タオルと洗顔料をバッグに入れ、車で極楽湯(銭湯)に向った。

こんなかたちで、銭湯通いの生活始まった。
まあ1週間で元の生活に戻るだろうとこのときは思っていた。


だが、この銭湯通いの生活には思わぬ魅力があったのだ。

それは、夜のドライブ。
22時頃に銭湯に向かい、お風呂を出たら23時半頃。
日中はいつも混んでいる国道も、この時間には車は数台しか通らない。
邪魔するものは何もない。

湯船に浸かったあとの心地良い脱力感。
そして少しの眠気。
少し強めにアクセルを踏むと聞こえてくる、心地よくも胸高鳴るエンジン音。
赤信号で止まると訪れる静寂、
と低音の効いたオーディオから鳴るyogee new waves。

ああ、これが心地良い。とても心地良い。
これこそChillってやつなのではないか。
気付くともう病みつきになっていた。

その後、先輩の紹介で、極楽湯よりも好みの銭湯も見つけさらに心地良さが倍増した。


そんなこんなで結局給湯器は直らずというか直さず、銭湯通いの生活は続き、そのまま卒業。

家で風呂に入れるようになった今でも、あの銭湯通いの生活をしたいとよく思う。


ー 給湯器が教えてくれたことー

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