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収監オールライター第75号「名鉄1000系『パノラマスーパー』一族」

私は名古屋に行って以来、名鉄に興味を持ちました。前々回の73号ではJR東海の顔である313系を取り上げましたが、今回はそのライバル・名鉄の看板特急車両「パノラマスーパー」1000系の一族を紹介します。

1. 1000系とは

 1000系は、それまで名鉄の特急で使用されていた「パノラマカー」こと7000系・7500系・7100系・7700系の車内設備が時代を経ていくにつれて陳腐化してきたことに危機感を抱いた名鉄がライバルのJR東海に対抗するために1988(昭和63)年から運用を開始した特急車両です。
現在でも名古屋本線、犬山線、豊川線、常滑線、河和線、知多新線で特急、快速特急、(早朝深夜に限り)急行、と幅広く運用されており、臨時列車で空港線に乗り入れることもあります。
この1000系は前々回紹介した313系に負けず劣らずのバラエティー豊富さが特徴で、その用途や足回り機器、生い立ちなどで以下の5グループに分類されます。

①1000系(特別車)
②1200系(一般車)
③1800系(増結用車)
④1030系・1230系・1850系(機器流用車)
⑤1380系(1230系からの改造)

名古屋に行った際に朝の豊橋発新鵜沼行きの快速特急に乗車しました。
この時は一般車に乗車しましたが、特別車も乗ってみたいものです。

2. 1000系一族

2-1. 1000系(特別車)

まずは1000系の特別車をご紹介します。
特別車の特徴は、先代の「パノラマカー」7000系・7500系が運転席を2階に上げて展望席を設けているのに対し、こちらは客席を2階に上げて運転席をその真下に配置するという構造になっています。
この車両のドアは今では貴重になった折りたたみ式のドアを採用していて、車内アナウンスでも
「特別車のドアは内側に開きます」
と案内されています。

また、パノラマカーで採用された伝統のミュージックホーンを搭載しています。

名鉄名古屋駅で撮影した河和線特急。

2-2. 1200系(1000系一般車)

名鉄特急の運用形態が一部変更になったことに伴い1991(平成2)年から登場した一般車は1200系として製造され、現在では現存する一部特別車の1000系・1200系で構成された6両編成を1200系と呼ぶこともあります。一般車の内装は転換クロスシートになっていて、ドア部分にはJR西日本223系や京急2100形などと同様、折りたたみ座席を搭載しています。
この車両もミュージックホーンが鳴ります。

当初はライトの間にロゴマークを掲示していましたが、更新工事によって消されました。
更新工事で新たに設置されたロゴマーク。
後輩の1600系(1700系)・2000系・2200系に準じたものです。

2-3. 1800系

1000系・1200系で構成された一部特別車編成の6両編成の増結車として製造されたのが1800系です。
内装は1200系と同じですが、この車両はミュージックホーンを搭載していません。
2両という身軽な編成であるがゆえ、閑散時間帯には2両や4両で普通列車にも駆り出されています。

私が明治村に行く際に乗った快特。
乗った車両は1800系です。

2-4. 1030系・1230系・1850系

このグループは、特急列車の運行形態の一部変更に伴って1992(平成3)年に廃車になった7500系の足回り機器を流用して不足気味だった一部特別車編成の特急車両として生み変えた車両になっています。増結車両も専用の1850系が3編成製造されています。
内装は1000系・1200系・1800系と同じです。
この編成は予備車としての名目が強い車両であるが故、リニューアル工事されることもなく2200系に淘汰され、2019(令和元)年に全車廃車となっています。

2-5. 1380系

この車両はこの1000系一族の中でもかなりの異端児的存在です。
1030・1230系の1134編成として運用されていた2002(平成14)年に車と衝突してそのはずみで脱線する大事故を起こし、損傷が激しかった特別車の1030系を廃車にし、残った一般車の1230系を通勤車として本線に復帰させるために改造されたのが1380系です。壮絶な生い立ちと1編成のみの在籍であったため一部の鉄道ファンから注目を集めていました。
通勤車に格下げ改造を受けたと言っても内装は1230系時代と変わらない転換クロスシートでした。
そんな1380系ですが、「一点モノ」という特殊な車両だったことが災いし、3300系の増備に伴って2015(平成27)年に1030系・1230系・1850系よりも先に廃車されました。

3. 置き換えについて

特急運用形態の変更や事故廃車などで数を減らしながらも懸命に走り続けてきた1000系一族ですが、2015(平成27)年から3年間行われたリニューアル工事の時点で「余命宣告」、つまり廃車までの具体的な年数が示されていることをご存知でしょうか。
この更新工事では工事後約15年の使用を想定しているそうなので、単純計算すると1200系の更新工事が終了した2018(平成30)年から15年後の2033(令和14)年までには全車が廃車になります。これはあくまで単純計算ですので誤差はありますが、長く見積もっても2035(令和16年)頃が完全引退の目安と思ってください。

むすびにかえて

今回は、名鉄の看板特急車両1000系の一族を取り上げました。バリエーションが豊富というか、カオスというか・・・色々な側面があり、我々を楽しませてくれる車両です。置き換えが決まっていることは少し残念ですが、引退前に展望席に座ってみたいです。

それではまた。

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