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週刊オールライター第71号(創刊号リメイク) 「『初乗り料金で1都6県一筆書き』の旅?」

 皆さんは、「初乗り料金で1都6県一筆書きの旅」という乗り鉄方法をご存知ですか?
この内容はすでに創刊号でも特集した内容ですが、今回は創刊号のリメイク版をお届けします。創刊当時は読みにくい文面でしたので、ここでもう1回書き直そうと思います。

1.「初乗り料金で1都6県一筆書きの旅」とは そもそも関東地方の都道府県を初乗り料金だけで回れるのか?

 この旅をするためには、「切符のルール」を知っていることが前提となります。ここでの「切符のルール」とはJTB発行の時刻表、そのルールが適用される区間があるJR東日本・JR西日本・JR九州の公式ホームページに掲載されている
「大都市近郊区間」
に関するルールとなっています。
この「大都市近郊区間」は乗車経路が複数存在しているほど路線網が複雑な都市圏である仙台・新潟・東京・大阪・福岡の5つの都市圏に設定されています。
乗車券は乗客が実際に乗車する経路に従って発売することが原則ですが、上記5つの都市圏では、乗車駅から目的駅までの経路が複数あるため、一定のエリア内で乗車する列車やルートを自由に選択できるようになっています。
そのため、どれだけ遠回りしても大都市近郊区間から出ない限りは同一運賃として扱われます。

例えば、上野駅から東京駅に向かう場合、上野東京ラインに乗っても、秋葉原と錦糸町またはお茶の水で乗り換えても、山手線でぐるっと池袋・新宿・渋谷・品川を回っても途中下車をしない限り運賃は全て170円で計算されます。

鉄道ファン、特に私のような乗り鉄はこれをうまく利用した乗り鉄を多く行なっています。その際たる例が
「初乗り料金で1都6県一筆書きの旅」
です。広く「大回り」と呼ばれる乗り鉄方法です。
「初乗り料金」と書いていますが、場合によっては初乗り料金が適用される区間よりも長い駅間(JR東日本高崎線上尾〜宮原など)の場合もあるので、「一駅間の運賃で回る」と思ってください。
(2024年3月15日ダイヤ改正時点のJR初乗り料金は140円です)
また、この旅の模様を多くのyoutuberが紹介しているほか、漫画「鉄子の旅」(菊池直恵)、小説「電車で行こう!」(豊田巧)などの書籍でも多く特集されています。

2. 私がこの旅を知ったわけ

私がこの旅を知ったのは小学6年の頃、古本屋で漫画「鉄子の旅」を買ったことがきっかけでした。この漫画の第2旅(第2話)において特集されており、実際に鉄子の旅に出演しているメンバーが行なっていました。その時の区間は
東京(東京都)〜川崎〜尻手〜浜川崎〜鶴見〜東神奈川(全て神奈川県)〜八王子(東京都)〜高麗川(埼玉県)〜高崎(群馬県)〜小山(栃木県)〜友部(茨城県)〜我孫子〜成田〜千葉〜蘇我(全て千葉県)〜八丁堀(東京都、東京駅の一つ隣)
でした。このような旅ができるのであれが是非やって見たいと思っていました。
そして中学2年になったある日、そのチャンスを掴むことになりました。学総(学校総合体育大会)も近づいていたある日、先輩から夏休みの過ごし方について説かれたのです。
先輩が言うには
「中3になると忙しくなるから今のうちに遊んでおいた方がいい。夏休みは特に」
と言うことだったので、夏休みにやることになりました。

3. 1回目の大回り

 この時に行った大回りの区間と乗車した路線は以下の通りです。

区間
上尾(埼玉県)〜倉賀野(群馬県)〜高麗川(埼玉県)〜拝島〜立川〜八王子(東京都)〜橋本〜茅ヶ崎〜横浜〜東神奈川〜鶴見〜浜川崎〜尻手〜川崎(神奈川県)〜東京(東京都)〜市川塩浜〜新松戸〜柏(千葉県)〜取手〜土浦〜友部(茨城県)〜小山(栃木県)〜大宮〜宮原(埼玉県)

乗った路線
高崎線、八高線、青梅線、中央線、横浜線、相模線、東海道線、京浜東北線、鶴見線、南武支線、南武線、京葉線、武蔵野線、常磐線(緩行線・快速線)、水戸線、東北本線

しかし、この旅はまさかの失敗に終わりました。
常磐線に乗車中、友部で降りるはずが寝て乗り過ごすと言うまさかの大失態を犯し、水戸駅まで乗ってしまったのです。
自信を持って計画していただけに、かなり悔しかったです。

4. 5年前のリベンジへ 2回目の大回り

それから5年後、大学1年の冬休み、大回りのリベンジを行いました。
ルートと乗車した路線は以下の通りです。

区間
北上尾(埼玉県)〜前橋(群馬県)〜小山(栃木県)〜友部(茨城県)〜我孫子〜柏(千葉県)〜日暮里〜上野(ともに東京都)〜川崎(神奈川県)〜府中本町〜西国分寺〜箱根ヶ崎(東京都)〜川越〜大宮〜上尾(埼玉県)

乗った路線
高崎線、両毛線、水戸線、常磐線、常磐緩行線、山手線、上野東京ライン・東海道線、南武線、武蔵野線、青梅線、八高線、川越線

ここからは、この2回目の「リベンジ大回り」の出来事を取り上げます。

旅の始まりは埼玉県のJR高崎線北上尾駅。ここから大回りを始めて、ゴールは一つ隣の上尾駅です。長い長い旅が幕を開けました。

北上尾駅西口。
今回使用した切符。
最初はE233系3000番台から。

トップバッターは高崎線E233系3000番台の普通前橋行きです。この列車に終点の前橋まで今回はグリーン車に乗車しました。実はこの2ヶ月後のダイヤ改正で日中の前橋行きが無くなってしまったので、無くなる前に乗車・記録できたことはラッキーでした。

グリーン券も値上がりしましたね。

途中、神保原〜新町にかかる利根川橋梁を渡って群馬県に突入です。

利根川橋梁。

そして群馬県・前橋に到着。埼玉県はここでクリアです。高崎から後ろを追いかけていた両毛線の普通列車小山行きに乗り換えます。

前橋駅。
211系。
元々高崎線で走っていました。

両毛線は伊勢崎行き、桐生行きが多いこと、この後小山駅で乗り換える水戸線の関係もあって朝早くの移動となりました。

前橋・伊勢崎行きは比較的多いのですが前線を走破する列車が少ないので乗車する高崎線の列車はかなり限定されてきます。

JR両毛線は、高崎〜小山を前橋、伊勢崎、足利、桐生などを通って向かう路線です。高崎〜前橋は比較的需要が多く、上越線と被る高崎〜新前橋は貨物列車が多く走るので複線ですが、前橋から先は一転、単線のローカル線に変貌します。なお道中にはあしかがフラワーパークもあります。

寒かったので前橋駅のホームで買ったホット午後ティー。

栃木県にある小山駅に到着したことで、群馬県はクリアです。この後、この日限りで閉店した駅そばの名店「きそば」のそばを食べようと思ったのですが・・・

小山駅の両毛線ホームは新幹線の真下にあります。

まさかのお昼休憩に入ってしまい、この後に日程に支障をきたすのでお昼を我孫子駅にある大回り乗り鉄ご用達の「あの店」にすることにして、水戸線ホームへ向かいました。

きそばの行列。

 JR水戸線は栃木県の小山駅から茨城県の友部駅を結ぶローカル線で、途中の下館駅はSLもおかの走る真岡鐵道、京成・東武出資の中小私鉄、関東鉄道が分岐するローカル線のターミナルです。
前回失敗した時はショックを引きずって乗車中ずっと泣いていました。

水戸線。
小山駅のホームから見る白鴎大学。
水戸線の前面展望。

この日の茨城県は強風注意報が出ていたほど強い風が吹き、その影響で常磐線・水戸線も遅れていました。
遅れて友部駅につきましたが、乗車予定の列車はまだ来ていなかったので、乗り遅れることはありませんでした。

友部駅。
常磐線の車両。
日中は5両編成しか来なくなりました。

友部駅から我孫子駅までは常磐線のグリーン車に乗っていきました。2ヶ月後のダイヤ改正で日中の土浦〜高萩間のグリーン車運用が廃止されるのでここも記録に収めることができました。

貴重な記録。

常磐線には途中、藤代〜取手に交直切り替え区間「デッドセクション」があります。直流1500V区間と交流20000V・50Hz区間の境目です。石岡市に世界でも重要な地磁気観測施設があるために設けられているのですが、この影響で常磐線はE531系導入までうまく新車が導入できないといった問題があったことでも知られています。

列車は遅れながらも千葉県・我孫子駅へ。ここで茨城県がクリアになったところでお昼にしました。

我孫子駅。

食べたのは「弥生軒」の唐揚げそばです。衣にそばつゆを混ぜていて、そばに合うようにしているという独自の唐揚げの美味しさを求めて多くの大回り乗り鉄が訪れます。メディアにも度々取り上げられています。

弥生軒の入り口。
唐揚げ2個入りそば。
ちなみに私はそばよりもうどん派です。

我孫子でお腹を満たし、この後の予定にもかなり余裕があるので、常磐緩行線で松戸まで行くことにしました。
列車が南柏駅に到着した瞬間、時計の針は私の出生時刻を指し、私は晴れて19歳になりました。

誕生時間を過ごした常磐線各駅停車。

松戸では、485系「リゾートやまどり」の試運転に遭遇。私の大好きな485系が見れたので嬉しかったです。

最期の485系「リゾートやまどり」。

松戸からは常磐快速線で東京都の日暮里まで出ました。これにて千葉県がクリアになりました。

常磐快速線。

日暮里で山手線外回りに乗り換えて上野へ。

日暮里駅。
上野駅。

上野では用足し休憩をしました。その際に、この後乗る予定の列車の遅延がわかったので予定を大きく前倒しして上野東京ライン東海道線直通で神奈川県の川崎まで行きました。最初は座っていましたが鶴見川を渡っている付近で眠気に襲われて、私は気がつきました。前回の失敗の原因が「寝過ごし」ということに。なのでそこから立って川崎まで向かいました。

川崎駅。

川崎に着いたところで、東京都クリアです。川崎からは中央線西国分寺駅でどうしても乗りたい列車があるために南武線で府中本町へ向かいました。東海道線乗車中から眠気に襲われていたので、ずっと立っていました。

府中本町で撮影した南武線。

府中本町に到着して、神奈川県クリア。この時点で1都6県全てクリアになりましたが、まだまだ旅は終わりません。
武蔵野線で西国分寺に向かいます。

武蔵野線。
この瞬間運転見合わせに。

そして西国分寺につきましたがこの瞬間武蔵野線が運転見合わせに。ギリギリセーフでした。もし途中で足止めされてたらお目当ての列車に乗れませんでしたから。

西国分寺駅。
2編成しかいない209系1000番台。
もうまもなく引退します。

西国分寺では、いろいろな列車を見送ったり、鉄道チャンネルのLINEライブを見たりして時間を潰しました。そしてお目当ての列車が到着。やってきたのは中央快速線の東京発武蔵五日市・箱根ヶ崎行きです。

箱根ヶ崎行きの表示。
2022年3月で廃止された武蔵五日市・箱根ヶ崎行き。

この列車は立川から青梅線に入り、拝島で東京側の6両が五日市線武蔵五日市駅に向かう列車として、青梅側の4両が八高線箱根ヶ崎駅に向かう列車として切り離されるという列車です。現在は中央快速線と五日市線を直通する列車は全て廃止され、八高線直通列車も八王子〜川越のワンマン化で廃止されています。なのでこの列車に「乗り納め」という形で乗車しました。米空軍横田基地を横目に見ながら箱根ヶ崎駅へ。

箱根ヶ崎駅。
2番線発の拝島行きも廃止となりました。
E233系を使用する「拝島行き」の表示も見納めに。
乗り納め・撮り納めをすることができて満足です。

後ろを走っていた八王子発の八高・川越線で川越へ向かいました。
夜のローカル線の車窓も良いものです。高麗川からは川越線に入ります。

ワンマン化前最後の乗車。
この表記はワンマン化で見られなくなりました。

川越駅に到着。川越線は大宮〜高麗川を結ぶ路線ですが、川越駅で運行形態が分断されていて、川越駅から西側が今まで乗ってきた拝島・八王子に向かう八高線直通列車、東側が大宮・赤羽・池袋・新宿・大崎・新木場・海老名に向かう埼京線・りんかい線・相鉄直通列車になっています。
埼京線・りんかい線直通の通勤快速に乗り換えて大宮に向かいます。

高校の時から時たま使っている川越駅。
朝の通学でたまに大宮駅の埼京線ホームに行くことがあります。

大宮駅の表示を見ると、ゴールが近づいてきた実感が湧いてきました。まだまだ油断はできません。最後の列車、高崎線快速アーバンに乗り換えるため地上ホームへ。

遅延のため、新宿駅先行の案内ができない状態。
大宮表記は本来、宇都宮線の終電でしか見れません。

この時、高崎・宇都宮線は遅れていたらしく、行き先変更や運転打ち切りに伴う乗り換えなどの光景も見られました。

大宮行き成田エクスプレス最後の記録。
2022年3月で廃止。

そしてやってきた快速アーバン。この列車でゴール地点の上尾駅へ向かいます。

最終走者の快速アーバン。

そしてついに上尾到着。切符は時間の都合で自動改札に通せないので駅員のいるところに持って行き、
「ハンコください」
と言いました。

ゴールの上尾駅。
無効印つき。
これでリベンジ達成。

そしてこの瞬間、私の大回りは見事にリベンジを果たしました。とても嬉しかったです。
ただ正直なところ、この乗り鉄はルール違反をしていないのですが、「切符のルール」をうまく突いた旅なので鉄道に詳しくない両親からは心配されたのが正直なところです。
ルールは守っていることをしっかり伝えておけばいいので、絶対に「企画書」または「しおり」を持って行きましょう。ルールを守っている証拠になりますから。

むすびにかえて

今回は、創刊号を読みやすくリメイクしました。何度も言いますが、大回り乗車は切符のルールを破っていませんが、ルールをうまく利用しているので非常に紛らわしく、間違えられる可能性も高いので、説得材料を用意してから出かけましょう。

それではまた。

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