小さな不運を味方にする。統計的にも次は良くなる可能性が高いから。
小さな不運を味方にする瞬間
あの日、私は確かに運が悪かった。
パンプスは中まで完全にびしょ濡れで、体の芯まで冷え切っていた。
ヘトヘトになりながらたどり着いた目的地では、私が欲していたものは手に入らなかった。大事な物なのに。
目の前にあるのに、ドア一枚隔てて、手に入らなかった。
もう大人なのに、その場でしゃがみこんで8秒くらい泣いた。誰にも見られないように注意しながら。
9秒目に立ち上がり、10秒目に何事もなかったように私はその場から去った。
歩くたびにパンプスの中に入り込んだ水を踏む。本当に泣きたい。今泣くと、後で乗る電車の中で恥ずかしいから堪える。
傘を差していても容赦なく降り込んでくる雨を嫌わずにただ受け入れ、人生におまじないをかける。一歩一歩、歩を進めながら。
「これって、とびきりのいいことが起きる前兆よ。」
「特に金運アップ。私は、豊かさを受け取ります。」
「私は丁寧に生きている。この不運が起きた後は、幸運が起こりやすい。そう、統計的にもね。」
アファメーションは練習すると効きやすくなる。「なり切れる」からだと思う。
心の中で化学反応が始まる。
ランダムな運を味方に
実際は、コインの裏表のような「運」はランダムであって、結局確率としては2分の1ずつになる。
私がやっているのは常にコインの表、つまり幸運ばかり起こそうとしているものではない。
コインの裏(不運)が出た日でも、必要以上に腐らず、次の幸運に備えるのだ。そして次の幸運を楽しみに待つ。
そうすると「運が悪い時期」はかなり短くなるし、不運な日が幸運な日の前兆になる。
実はあのどしゃぶりの雨の晩、仕事で見たことのないような売り上げを記録した。私のおまじないは効いたことになり、人生にただ振り回されるだけでなく、人生をコーディネートできている満足感を得る。
風邪をひかないように早めに寝て、翌朝目が覚めるとその日はもうラッキーデーだと体感で分かった。
私は日常の小さな不運を味方にする。最近では、ちょっと嫌なことが起きると、「どうやって乗り越えたかを、記事にしよう」というやる気すら出る。
小さな不運を捕まえて、さあどうやって乗り越えましょう?とライトを浴びせると、不運は案外早く消え去ってしまうのだ。
ありふれた「運」の実態だけど、体感的には魔法のように感じる。どうせランダムな運だと冷たく世界を見るよりずっとわくわくする。
そこに魔法があるんじゃないかと思う。人には言わないけれどね。
・・・あなたにも、沢山のラッキーデーとその前兆が起こりますように。
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