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【双子妊娠の振り返り】夫が初めて弱音を吐いた、長男との二人暮らし

双子を妊娠した私は、32週で管理入院が決まった。
健診に行った日に、明日から産後まで入院!と宣告されたものの、妊娠初期から管理入院は必ずあると聞かされていたため準備もしていたし、覚悟もできていた。
だが入院前日は、夫と息子としばらく離れ離れになることにナーバスになり、寝室でシクシク泣いた。(妊婦メンタルあるある)


ちょうどその頃はコロナの関係で、面会禁止のお達しが出ていた。(1ヶ月後に解除になったが、当時は立ち会い出産以外は、夫にも子供にも会えないことになっていた。)
テレビ電話はできるし、病院に入っていればなにかあったときに即対応してくれるため双子にとっては安心なことなのだが、それでもやっぱり寂しくて、不安で。特に夫と息子に負担をかけてしまうことにも申し訳なくて。夫に送ってもらう車の中でもシクシク泣いた。(2回目)


だが、今思えば不安なのは夫の方だったと思う。

元々無口でクールなためそんなことは1ミリも顔に出さなかった。でもそれはちょうど3月の出来事で、夫にとっては年度末で仕事はバタバタ。そんな中、突然当時2歳の息子のお世話を一手に任されたのだ。
泣きたいのは、もしかしたら夫の方だったかもしれない。


私が入院中、2人暮らしになった彼ら。特に夫は以下のような生活になった。

6時ごろ起床し、家事
息子を起こし朝ごはん
8時ごろに登園
仕事
17時ごろにお迎え
ヨシケイで晩御飯作り
夕飯
お風呂
寝かしつけ
21時ごろから余った家事
就寝

夫は職場の育児参加休暇という制度をつかって、定時より1時間早く退社して息子のお迎えに行った。
私がいる頃から、家事育児はかなりできる方で(特に家事は効率よくできるので、今でも頼りっぱなし)私が入院するにあたって、特に引き継ぎや技を伝授することはなかった。
息子も最初は寂しがっていたらしいが、もともと夫と仲良しだったためすぐ生活に慣れてくれたそう。
私の実母も週に2.3回家に来てくれ、夫の手の届かない家事や息子のお迎えや遊び相手等もしてくれた。

まさに、家族全員で私がいない穴はうめてくれた。何とかなるものだ。各々が頑張ってくれた。

心から感謝しているし、特に夫に全てをお任せできることに私は安心していた。





だが、夫は仕事と家事と育児の三刀流。 
ほぼ1人で全てをこなさなければならない。
平日の日中は仕事。夕方からは、会話は成り立つが道理は通じない2歳児の世話。夜は1人で黙々と家事等のタスクをこなす。休日は息子と2人なので、どこかへ連れて行き、体力を消耗させなければならない。
しかも私が出産するまでなので、少なくとも1ヶ月半はこの生活。


THE ワンオペ育児。
私も長男の時、ワンオペ育児を何度も経験しているが、その比ではないだろう。


はじめは忙しい新生活をひたすら突き進んでいた感じで、夫も息子もテレビ電話中はいつも通りだった。息子に至っては、おかあさんといっしょ観てるから、といって塩対応な時も。


しかし、2週間ほどたったある日。
夫と夜LINEをしていたら、



ママがいいっていわれた。
ととさん、怒るんだもんって言われた。


とポツリ。


俺も余裕ないし。冷たい態度とか取ってると思う。
疲れるわ。



このようなメッセージが続けてきた。


初めて夫の弱音を聞いた瞬間だった。
心がキュッとした。



夫は感情の起伏が少ない。悪口も言わない。愚痴は言うけれど、それもたまに。

そんな彼が呟いた言葉は、重かった。

私は、


1人で全部するのは、大変だし余裕なくなるよ。仕方ないよ。
長男も本当にそう思ってるんじゃないと思うし。


と、当たり障りのない言葉しかかけられなかった。

そして、

ごめんね。


と。





私は私で入院中は、やることがなかった。
それが苦痛だったし、美味しいご飯が食べられないことや、自由に動けないもどかしさ、何より家族に会えない寂しさに耐えていた。
各々が辛かったと思う。
それでも、あの彼が、夫が、弱音を吐くのは聞いたことがない。黄色信号だ。そう思っても、私には何もできないことがもどかしかった。
誰も悪くない。
けれど、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。




入院して1ヶ月ほど経つと、病院は面会制限が緩和された。
洗濯物交換や差し入れのための面会が、10分だけできるようになったのだ。
夫は合間を縫って、ちょこちょこ面会に来てくれた。
やはり、顔を直接みて話せるとお互いホッとできた。
あのLINE以降、夫は愚痴をボソボソ言う時はあったけれど、生活に慣れたことや入院も終わりが見え始めたこともあるのか、深刻そうではなかった。と思う。



後々あの日々のことを聞くと、
大変だったけどタスクをいかに効率よくこなすか、の練習になった。
長男と二人暮らしなんて、後にも先にもあの時しかなかったと思うから、良くも悪くもいい思い出になった。
なーんて言っていた。
元々ポジティブな人だし、辛いことは結構忘れてしまうらしく、あの時、私に弱音を吐いたことはもしかしたら忘れているのかもしれない。




自分は一生懸命頑張っている。でも報われないような、切なさ。
育児をしていると、幾度となく味わう、この気持ち。
それでも私たち親は、毎日子どもを生かしていかなければいけない。
そして自分たちも、自分たち大人の生活をしていかなければならない。


わたしの入院期間中、夫は本当に頑張ったと思う。
多くのパパが、夫のような経験をして欲しいとは思わない。
でも、母親が特に感じやすいであろう、
頑張っても報われないような、やるせなさ。心理的肉体的な疲れ。だれか助けて欲しい。でも言えない。
育児中に感じることが多い、この気持ち達。
これらを知ってるか、経験してるか否かで、夫婦の協力体制は大いに変わってくると思う。

夫婦で協力し、気持ちを共有し合わないとどちらかが潰れてしまう。

だから夫の経験は、本当に貴重な経験だった。
そして私は、あの時の夫のちょっとした落ち込みを、ショックを、忘れないでいようと思う。
自分が、夫が、仕事に育児に家事に、疲弊していないか。いっぱいいっぱいになっていたら、息抜きの時間をとろう。お互いに。

夫婦協力し、補い合い、支え合う。愚痴は吐きだす。
これをモットーにこれからの5人生活を送って行きたい。



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