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キレイになったね

トイレにはそれはそれはキレイな
女神様がいるんやで
だから毎日キレイにしたら女神様みたいに
べっぴんさんになれるんやで

高校生の時、芸術鑑賞会と称されたライブで招かれた歌手がこう歌っていた。
その頃はこの歌が好きではなかったし、共感もできなかった。
だが最近、この歌詞を痛感させられる出来事があった。

私は今年4月末に採用が決まり、5月から清掃員として働き始めた。
仕事は会議室や廊下の拭き掃除、掃き掃除、あとトイレ掃除だった。
清掃という仕事は作業自体は簡単だが、見掛けも気にしていられないほどスピーディーに行わなければならない。汗水流しながら埃にまみれて、水に濡れてもひたすら懸命に作業を続ける。環境をキレイにする代わりに自分からはキレイが剥がれ落ちていく。むしろ汚れにさらされて、自分も不潔になっているような気がした。

通勤時も、働き始める前はおしゃれに気をつかって、清楚な雰囲気のブラウスや華やかなビジューのついたトップスを好きこのんで着ていたが、今では動きやすいTシャツに適当なものを羽織って、下はパンツというキレイとは程遠い格好しかしなくなっている。

仕事をすることでキレイという言葉から自分が遠ざかっているように感じた。

だが先日、就職するまでお世話になっていた就労移行支援事業所に久しぶりに伺った。
その時、男性のスタッフさんにふいにこう言われた。
「なんかキレイになったね」
その瞬間、なぜだかトイレの神様のあの歌詞が頭を過った。そして、直感的にこう思ったのだ。

仕事を頑張ったからその成果が内から滲み出て、見た目に表れている。それを誉められた。そう思えてならなかった。

トイレの女神様は見てくれている。
よし、明日も仕事頑張ろう!

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