見出し画像

イタリアンワイン:異なったイタリアのブドウの種類を味わうテイスティング6種

半年前にトスカーナワインのテイスティングに行ってきたのですが、今回はしばらくぶりの2回目。テーマは

異なったイタリアのブドウの種類を味わう会

会場はいつも通り、歩いて10分のV&Cイタリアンデリカテッセン(1934年創立)です。最近、贔屓にしていた八百屋さんがつぶれてしまったので、贔屓にするっていうことはちゃんと定期的にお買い物をしたりこういうイベントに参加するっていうことだよなとちょっと責任を感じての参加です。チケット代金は一人当たり7500円ほどですが、これはもう投資と言ってもいいでしょう。

今回は普段使いする£10~20のボトルワインをしっかり叩き込みます。

前半(左)はアペリティフのプロセッコ、続いて白2種
後半(右)は赤2種でデザートワイン(白)で締め

Prosecco Frizzante (Veneto 地方)


最初はアペリティフ(食前酒)としてよく飲まれるプロセッコ。フランスのシャンパン、スペインのカヴァ、イタリアのプロセッコって感じですが、プロセッコはブドウの種類の名前なんですね(ブドウの名前は後でグレラという名前に変更があったそうです)。シャンパンはChampagne(シャンペーヌ)地方の名前、カヴァはCave=洞窟で作られるところから来ている、らしいので、プロセッコもお酒そのものの名前だと思っていました。スパークリングと言っても、Frizzanteは微発泡性で、(ゲップとならないし、頭が痛くならない)上品なところがいいですよね。スパークリングワイン系ではシャンパンを抜いて、売上ナンバーワンになっているそうです。

Veniceにも近いVeneto地方(赤点線)ゴルゴンゾーラチーズの発祥の土地でもある、気になる。
泡が上品な微発泡

プロセッコは、シャンパンと違ってタンク方式という製法で造られており、短期間で大量生産できるらしく、ブドウ本来の香りのメロン・りんごと表現されるフレッシュ&フルーティー(しかも安価)。

いつもどうしてこんなに違う種類のワインをレビューできるのか、もう驚愕のるもわさんの記事でシャンペンレポート

るもわさんがイースト香と書いてる通り、シャンパンの場合はボトルの中で発酵させる難しさ、
イースト香がするのが特徴らしい。


続いて同じVeneto地方で違うブドウの種類

Soave Classico 2022 Pieropan 

ぶどうの種 Garganega (Veneto地方)

1901年から家族経営で受け継がれてきている歴史あるPieropan Family。ここ20年間の間に昔ながらの製法→近代化が一気に進み、温度の管理や糖度・アルコール度の詳細な管理だけでなく、ボトリングも近代化。

なんとコルクを使用していないスクリューキャップ

お店でワインを物色している時に、スクリュートップ(キャップ)のものは安かろう、悪かろうと避けるのは基本のきと教わってきたような(気がする)ので、チューターのフランチェスコが迷わずおすすめしたのには驚きました。最新のテクノロジーでは、Nitorgen Oxideを使用することでむしろコルクよりもずっと風味封じ込めには成功しているのだそう。しかも長期熟成も可能とか。

Pieropan のあるVeneto地方が火山灰の土地で、その豊富なミネラル分がこのぶどうの種 Garganegaでも味わうことができ、桃、レモン、蜂蜜、アーモンドなどの白ワインの楽しみの定番の味と香りに加えて、「草」の香り。

緑の草が美しいワイン農場 Pieropan

ドライでありながら、シャープになりすぎない、ロングフィニッシュに、やや最後に感じる苦味=草。

これはまた買ってもいいな、と思いました。


次は、巷でバズってきているオレンジワイン。

Orange Organic 2022 Tenute Orestiadi

シシリア島のオーガニックナチュラルオレンジワイン

ブドウの種 Inzolia インゾリア

世の中がオーガニックへの流れになりつつある中バズってきたのがオレンジワイン。ワインを作るmacerationという過程(皮が剥ける)で、赤ワインでは温度も高く長い時間 macerationすることにより、白と決定的に違ってくるわけですが、白ワインでは macerationのあと、フィルターにかけて綺麗な透明な白ワインの色を保つ過程があるのだそうです。このフィルターをかけるという工程で失われる味や風味もあるだろうということで、そのままの風味を残したのがオレンジワイン。またこちらはイーストを加えて発酵していないのだそうです。

話を聞いているだけで、オレンジがおしゃれ!これは私の好みに合いそう!と期待大だったのですが、アップルサイダーのような華やかな香りの後、思ったよりもぼんやりと苦かったです、多少がっかり。色がオレンジ色の濃いだけに、もっと甘味がガツンとくるのを想像していると、逆に(イーストを加えていないので糖度が上がらない?)前2種の白ワインよりもドライ感が強く、あれれっとなるのがその理由かもしれません。

ちなみにロゼワインは赤と白ワインを混ぜたものではなく、このmacerationという過程でブドウの皮の色を生かしたものです。知ってるよね?


さて後半戦は赤ワインとデザートワイン

Valpolicella Classico Ripaso 2020 Torre D'Orti


ブドウの種類 Corvina
Veneto地方

Veneto地方のValpolicella ヴァルポリチェッラといえば、アマローネ(正式名称アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ)が有名です。

ちなみに Amaro アマロ ってどういう意味だと思います?
日本語のあまいや、イタリア語の愛、アモーレに惑わされて、なんかアマロって甘いものを想像してしまう私ですが、なんと甘いワインを作ろうとしたら苦いものができたので、アマローネになったそうです

Amore=アモーレ=愛
Amaro=苦い

苦いというネガティブになりがちな感覚ですが、日本もイタリアも苦さという味覚をかなり重要視していることは間違いありません、唾液腺に届き、唾液促進、ご飯が進むという大事な役割があるそうで、ワインも苦味(タンニン)は大事な美味しさの要素。

アマローネはブドウを3~4か月間陰干し(Appassimento アパッシメント)して水分を蒸発させ、ぎゅぎゅっと濃縮したものを使用する方法で作られていますが、Ripasoはこのときの搾りかすを使っているので、Re-use = Ripasoという名前になっているわけです。


Torre D'Ortiの芸術的なラベルと、アマロネとかリパッソとかのラインアップ

このぎゅぎゅっと濃縮ワインはとても良いのです。リパッソもアマローネほどはアルコール分も高くなく、それほど濃い感じはしないのですが、プラム、チェリー、レッドカランツ、胡椒、チョコレート、ユーカリなどなどの豪華なワインで、強い酸味も感じられました。

よくワインの裏ラベルにワインの説明として「バランスの良い」と書かれてあることが多いのですが、今回の講師は、ほとんど裏ラベルを読んでそのまま信じることはないけれども、バランスの良いと書かれている時には、酸味とアルコールについてのことが多いのではないかと言っていました。酸味が強すぎず弱すぎず、アルコールで明らかに喉が焼けるような感じがしない、という意味ではないかと。なるほどね。

私はこっちの方が好き、夫は次のワインの方が好きと意見が別れた場面です。


Montecario Rosso Riserva DOC 2019 V&C

ブドウの種類 ブレンド(Syrah, Petit Verdot, Merlot, Sangiovese)
Region Tuscany

夫はMerlot好きなのもあり、このブレンド赤ワインの方が好きと言っていました。フランスワイン、ボルドーのワインなどもそうだけども、ブレンドがいいとこどりできるということもあり、最終的なアートの領域(より深い、より複雑な広がりを見せる味わい)になるためにはブレンドが必須という意見もあります。

V&C オリジナルワイン

大まかにいえば
Syrah:プラム、スパイス
Petit Verdot:酸味とボディ
Merlot:レッドカランツ、チェリー
Sangiovese : タンニン
などのいいとこどりをしていて、ワインボキャブラリーでは有名なレザー=革製品 の味が出ています。フルーティーな新しいワインではなく、もっとオーク樽で熟成された感なわけですね。

2019のヴィンテージもいいものだそうです。まあV&Cオリジナルだから講師の売りたい1本ではあるでしょう。


最後はデザートワイン

Moscato d'Ast Passito 2016 Palazzina

ブドウの種類 Moscato
Piemonte地方

パッシート(Passito)とは、ブドウを3か月から6か月ほど陰干しして糖度を高め、半分乾燥した状態のブドウから造るワイン。先ほどアマロネのところで書いたAppassimentoと同じ意味です。

デザートワインはあまり飲まないのですが、最近、ハンガリー産のTokajiというデザートワインを飲む機会があって、これがものすごい美味しさだったので、Tokajiに比較してしまうと今回のMoscatoはやや劣る感じがしてしまいました。

Tokajiなんですが、Noble Rotと呼ばれる腐食させる過程があり、これは真菌Fungusが熟した白いブドウにこびりついて皮を破り水分を蒸発させているPassito・Appassimentoと同じこと。だたし、Noble Rotの場合はより複雑な味ができそうな感じがしませんか?

ブドウの表面についた奇跡のNoble Rotと呼ばれる腐食過程
(写真はネットから)

デザートワインというくらいだから、お食事の後のチーズや甘いお菓子と一緒にいただくワインなんですが、講師は、アペリティフでもいいよと言っていました。

ワインと一緒に出てきたおつまみですが

全部美味しかったしワインにぴったりでした

Abondanceはフランスのセミハードチーズ。美味しかったので買って帰った。

Pecorino Marzolino Rosso は羊のチーズ トマト液に浸してあり、外側も食べられるタイプ 

フリッタータはオムレツではあるのだけどなぜかイタリアのこのオムレツはふわふわとして冷めても美味しい。オリーブオイルのせいなのかな

このカナッペ最高

このカナッペからぐるりと時計回りにワインと合わせて食べてねと言われ、その通りにペアにして食べました。

今度薄くてパリッとしたクリスピーなフォカッチャに挑戦してみようと思います。


前回のワインテイスティングの記事を置いておきます。


いつもありがとうございます。このnoteまだまだ続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。