冷蔵庫が人間にもたらしたもの

便利になったはずなのに食料廃棄量が増加

なんと意外なことに、蓄えられる容量と環境が向上したのにもかかわらず食料廃棄が増加しているという。

ちなみに、日本の年間の食料廃棄量は、世界で飢餓に苦しむ人々にとって必要な食糧の量より多いと言われている。

冷蔵庫という魔法の貯蔵庫を手にしている我々が、なぜこんなにも食べ物を無駄にしてしまているのだろう。その裏側にあるものはなんだろう。


考えられる3つの要因

1・消費期限と賞味期限の表示が義務付けられた

我々が手にする食品のほとんどにこのどちらかの表示が記載されています。これが1995年から開始されたようです。食べ物を口にする側としては、はっきりとした目安がわかるのでお腹を壊す心配が無くなってありがたいですね。

そう思いたいのですが、実はもっと大切なことが失われているのです。これについては後述します。

消費期限と賞味期限、文字から容易に違いを判断できると思います。「この期日を超えたものは食べないでください。」「この期日内でしたらおいしく召し上がれますよ。」という意味ですね。重要視したいのは消費期限です。「なんとしてもこの期間に食べきらなくては」と意識しているものの、気が付いたら期限を過ぎていて止む無く捨てる、といった経験はどなたにも一度はあると思います。

「食べたい」→「冷蔵庫があるから安心」→購入。しかし冷蔵庫には魅力的な食べ物と日常的に使われるレギュラー陣でいっぱいです。その中に埋もれてしまい忘れ去られる食べ物たちもたくさんいるのです。そしてスポットライトが当たった時には時すでに遅し。ゴミ箱へ。

2・大量に売られるようになった

冷蔵庫にたくさんの食料を保存できるようになった家庭が増えたことで、企業側は一つ二つずつ売るよりも大量に売ったほうが利益率が上がるため、パック売りを始めたのです。

購入する側はパック売りの方が割安に感じられ、冷蔵庫に入れておける安心感から必要量以上に食べ物を購入するようになります。野菜類はこれによって腐らせて捨ててしまう量が増えたことでしょう。

3・感覚の喪失

これが一番の問題だと思います。便利なる一方で人間にもともと備わっていた感覚が鈍ってしまうことです。

本来はその食べ物の状態を目や鼻、五感を通じて食べられるかどうかを判断していたのですが、冷蔵庫の出現と消費期限の表示によって、判断を自分以外に委ねてしまうようになりました。自分で判断する必要がなくなったことで楽ができる反面、経験が積めなくなり、そして経験がないのでその力は失われていったのだと思います。


購入するときにもう一歩だけ先のことを考える

廃棄することを良しと感じる人は少ないと思います。お金を払って買ったものを無駄にして捨てたくはないでしょう。

当然ですが、食べ物を購入する時には食べる量だけ購入する。落ちついている状態では理解できるのですが、いざスーパーに行くと、買いたくなる誘惑にいざなわれてしまいます。お得なことよりも、必要な物を必要な量だけ購入する方が後々お得なのです。

どうか落ち着いて、目の前のことよりも一歩先の未来にいる自分視点を忘れずに買い物をしましょう。



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