【アメリカ税法】自己株式取得時の課税の日米比較

アメリカ連邦法人税における自己株式の取得についても、日本と異なる点がありますので、自分の備忘録的にメモしておこうと思います。

アメリカの取扱い

自社株式取得をredemptionといい、IRC 302(b)に定める4つテストのいずれかを満たす場合には、それは売買取引として取り扱い(IRC 302(a))、満たさない場合には、会社のE&Pの限りで配当として総所得(ordinary income)とするとされています(IRC 302(d))。以下がその4つのテストです。

①株式の償還が配当と本質的に平等でない(not essentially equivalent to a dividend)場合(IRC 302(b)(1))
②償還後に議決権比率が50%未満となり、かつ、償還により20%以上の議決権の減少・無議決権を含む普通株式の所有比率の減少が生じる場合(IRC 302(b)(2))
③償還により持分が完全に消滅する場合(IRC 302(b)(3))
④非法人株主からの償還であって、部分清算(partial liquidation/会社の適格事業の廃止等を含む(IRC 302(e)))の場合

具体的なあてはめは上記記事を参照いただければと思いますが、全体を概観すると、全株主に対して按分的なredemptionについては配当扱いとし、他方で、一部の株主に対して不均等なredemptionや保有株式のすべてを手放すようなredemptionについては、売買扱いとすることになります。

なお、配当として扱われる場合には、配当として課税され、redemptionの対象となった株式のbasisが引き続き保有している株式のbasisに加算されます(Reg. 1.302-5(a)(2))。

日本の取扱い

日本での自己株式取得時の課税については、広く知られているところなので、詳述しませんが、要するに、株式に対応する資本金等の額を超過する部分を配当(みなし配当)とし、それ以外の部分について売却処分として扱います。

このように、基準を設けて満たす場合には全体を売買扱い、それ以外の場合には全体を配当扱いとするアメリカと、割合的に一つの取引を売買と配当で区分する日本とで対応が異なっています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?