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コンパコラム(1) ~光の二重性を視える化~

(まず初めに言っておくと、コンパコラムというのは「高校物理を"コンパ"クトに解釈したい」のコラムという意味であって、コンパを開催しているわけではない。)

さて、今回紹介したいのは光の二重性だ。簡単に説明すると、光の二重性とは、光が粒子のような性質波のような性質をあわせ持つということである。おそらく多くの人は、原子物理を学ぶまで光の正体は粒子だと考えているだろう。(え?波だと思っていたって?私に言わせればそんな貴方はただの変態である。)しかし、物理学によると光とは粒子でも波でもないのだという。いや、粒子でもあり、波でもあると言った方が正しいのかもしれない。

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今回はコラムなので詳細の説明は避けようと思うが、簡単に説明しよう。

(これはあくまでフィクションである。)
昔々、光を粒子だと主張する男Aがいた。そこに、光は波だと反論する男Bが現れた。
A「光は粒子だ。間違いない。君は光電効果(下図)を知らないのか?ある装置の極板に光をぶつけると、光からエネルギーを受け取った電子が飛び出して電流が流れることがわかっているんだ。そして、ぶつける光のエネルギーを小さくしていくと、あるところで電流が流れなくなる。もしも君が言うように光が波だとしたら、これをどう説明するんだ?海の波を想像してみろ。波がぶつかると干渉してさらに高い波になる。それなら、光のエネルギーを小さくしても、干渉によってエネルギーが増えて電流は流れ続けるんじゃないのか?」

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B「・・・。」
A「何も言えないのか。ほら見ろ、光は粒子なんだ。」
B「待て。君は光が粒子だと自信ありげに言うが、それなら光が作り出す干渉縞をどう説明するんだ?光を隣り合う二つの細いすき間に通すと、その先のスクリーンには明暗の縞模様が現れる。もしも君が言うように光が粒子だとしたら、光は強め合ったり弱めあったりしない。つまり、干渉縞なんてできないんだよ。さあ、自信があるんだろう?説明してくれ。」

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A「・・・。わからない。」
そこに未来の19世紀から来たという男が現れた。
未来人「君たちの示した証拠はどちらも正しい。しかし、光は粒子だとも波だとも断言することはできない。」
A&B「どういうことだ!?」
未来人「ハッハッハ・・・。私にもさっぱり。」

こういうことだ。どうだろう、この説明を受けてもさっぱりわからない人もいるのではないか。結局、粒子や波という単純な分類では光と向き合うことが難しいということだ。

今回紹介したいのはここからだ。実は、身近なあるものを使うと、光の波動性(波のような性質)を目で確認できるようになるのだ。

①まず、厚め(1cm以上あると良い)の本を二冊用意しよう。できれば、ソフトカバーがついていない方が良い。(赤本がオススメ!)
②次に、本の背表紙をくっつけて(このとき、細いすき間ができるくらいの力加減にするのがポイント)そのすき間から電球などの光をのぞく。(片目で見ると良い。)
③すると、すき間から漏れる光の中に本の背表紙と並行の縞模様が現れるはずだ。

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これは、先ほどのフィクションストーリーに出てきた干渉という現象による干渉縞である。実は、男Bが言ったようにスリット(細いすき間のこと)が2つなくても(1つだけでも)干渉縞を見ることができるのだ。

さて、今回は光の二重性(前置きが長くなってしまって申し訳ない。)と、そのうちの波動性を簡単に確認する方法を紹介した。この二重性は、光だけではなく電子などでも観察されることが知られている。詳しくは原子物理で学ぶと思うが、決して身構える必要はない。このミクロな世界の不思議な現象を本当の意味で理解できている人間なんて誰一人いないのだから。今回の記事を読んだ貴方が勉強に疲れたときに、志望校の赤本を手に取り干渉縞を観察してモチベーションアップにつなげてくれたら嬉しい。

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