BW-Physics

マガジン「高校物理をコンパクトに解釈したい」公開中 #高校物理 #物理学 #医学

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マガジン

  • 高校物理をコンパクトに解釈したい

    高校物理の備忘録。原理に基づいた物理の脈を感じられる内容にまとめあげたいと考えて奮闘中です。1回分は5~10分で読めると思います。物理を使う高校生をはじめ、物理を知りたい多くの人に届きますように。

最近の記事

コンパコラム(6) ~共振回路~

今日は2月24日。いよいよ、国立大学二次試験実施日の前日を迎えた。 だからというわけではないが、ふと、共振回路の一般的な筋道を投下したくなったので記しておく。(今回は短め) 抵抗値Rの抵抗、自己インダクタンスLのコイル、電気容量Cの平行板コンデンサ、交流電源からなる回路についての解析の筋道が以下の通りである。 微分方程式の解き方は高校範囲ではないので割愛した。 日本中探せば、どこかの大学が共振回路を出すと信じています。 二次試験頑張ってください。

    • 物理基礎 ~クリスマス問題~

      寒さもいよいよ厳しくなってきた。2020年も残りわずかというところだが、大晦日を迎える前に、どうやらクリスマスという行事があるようだ。今回は、クリスマスに絡めて少しでも物理について知ってもらおうと思い、作問してみた。解くために必要な知識は物理基礎および数学Bのベクトルの内容なので、奮って挑戦してほしい。 それではさっそく問題を見ていこう。 ※本問ではベクトル量をボールド表記で表している。これは、記号の上に→を書くスタイルと同様によく使われる表記方法である。手書きの場合は、

      • コンパコラム(5) ~虹の考察~

        先日、雨上がりの空にこんな虹を見かけた。 なんと、虹が2つ同時に見えたのだ。下側の虹は、上から赤~紫の順に色が並んでいる(これはいつも見る虹と同じだ。)が、上側の虹は色の順番が反対になっていることに気付くだろうか。 実は下側の虹のことを主虹、上側の虹のことを副虹といい、副虹がここまで綺麗に見えるのは比較的珍しい現象だ。せっかく珍しい現象を目の当たりにしたのだから、虹という現象を物理の視点から考察してみよう。 まずはなぜ虹が見えるのかを簡単に確認しておこう。 空気中に存在

        • コンパコラム(4) ~磁束密度公式導出その2~

          電磁気分野の学習を進めていくと、コイルというものが登場する。そのためにソレノイドコイルが作る磁束密度の大きさを求めておきたいのだが、そのためには前回割愛した円形電流起源の磁束密度公式(一般形)が必要となるので、今回まとめておくことにする。 それではさっそく円形電流起源の磁束密度公式の導出から始めてみよう。 円形に流れる電流について考える。微小領域(長さはΔℓ)を流れる電流がPの位置につくる磁束密度の大きさについて考え、それの累積として一般形の式を導いてみよう。ビオ・サヴァ

        コンパコラム(6) ~共振回路~

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        • 高校物理をコンパクトに解釈したい
          17本

        記事

          コンパコラム(3) ~磁束密度公式導出~

          電流によって磁場ができるときの磁束密度を表す公式が、教科書で突如登場するだろう。これを高校範囲の数学を使って導出することができるのだが、少々難しいので今回はコラム扱いとした。ある程度の時間的余裕と数学力のある人は確認してみると良いだろう。 まず、事実としてビオ・サヴァールの法則というものを認めて欲しい。 荷電粒子が運動するとき、その運動方向からの角度と荷電粒子からの距離によって、任意の点の磁束密度が求まるというものだ。この法則が発見された歴史はひとまず置いておいて、この事

          コンパコラム(3) ~磁束密度公式導出~

          電磁気の考え方をコンパクトに ~誘電分極~

          電磁気パートの第3回で静電誘導という現象を扱った。あれは導体に電場を印加すると導体中の自由電子が移動し外部電場を相殺することで、導体内部に電場ができなくなるというものであった。そこで補足として説明したが、外部電場を打ち消そうとする電荷の偏りは不導体でも起こる。それを誘電分極という。 不導体中には自由電子は存在しないが、不導体を構成する分子一つ一つには電荷の偏りが見られ、便宜的に正負の方向を決定することができる。外部電場を印加すると分子はその電場によって向きを変え、上図のよう

          電磁気の考え方をコンパクトに ~誘電分極~

          電磁気の考え方をコンパクトに ~コンデンサの静電エネルギー~

          コンデンサの基本的な概念を確認したところで登場するのがやはりエネルギーの概念。ここではコンデンサの静電エネルギーについて考えるが、考え方はいつもと変わらない。 コンデンサの静電エネルギーは、極板に電荷が蓄えられることで生じるものであり、やはりクーロン力が為す仕事の総和として考える。初め極板に蓄えられた電気量が0であれば電場が存在しないので当然静電エネルギーは0となる。そこから徐々に極板に電荷を蓄えていくことを考えるのだが、電荷を下側極板から上側極板に移動させると電荷の偏りが

          電磁気の考え方をコンパクトに ~コンデンサの静電エネルギー~

          電磁気の考え方をコンパクトに ~コンデンサ~

          今回はいよいよ電磁気分野における入試再頻出と言っても過言ではないテーマを扱う。コンデンサについてさっそく見ていこう。 二枚の導体板を並行にし、向い合わせた状態で上下それぞれ+Q,-Qの電荷を蓄えさせる。このとき、上下面に存在する正負それぞれの電荷が作る電場を考えよう。 上図では、上側極板(正電荷)が作り出す電場は青矢印で、下側極板(負電荷)が作り出す電場は橙矢印で表してある。上側極板よりも上側においては、正電荷と負電荷が作り出す電場が逆向きに存在しており、正負電荷のチャー

          電磁気の考え方をコンパクトに ~コンデンサ~

          電磁気の考え方をコンパクトに ~静電誘導~

          前回は電位の概念を導入したが、ここではいったん電場についてさらに考えてみようと思う。前回、ポイントとして電場は電位の勾配であると説明した。力学において、重力による位置エネルギーは当然重力によって生じ、その勾配なるものは重力加速度と言えるのではないだろうか。 クーロン力による位置エネルギーを考えるときに自身のパラメータ(電荷q)を除いた部分を電位として言い表したが、重力による位置エネルギーの場合は自身のパラメータは質量であるから、それを除いた部分(重力加速度×基準点からの高さ)

          電磁気の考え方をコンパクトに ~静電誘導~

          電磁気の考え方をコンパクトに ~電位~

          今回は電磁気分野におけるエネルギーの考え方を見ていきたい。そこでまず、力学で扱う重力による位置エネルギーを思い出してほしい。重力による位置エネルギーとは、質点がある位置にあるとき、その点から基準点まで質点が動くときに重力が為すであろう仕事のことであった。逆に言えば、外力を加えて基準点から任意の点に質点を動かすときに、重力に抗って外力が為すであろう仕事のことである。前回はクーロン力について考えたが、クーロン力が為すであろう仕事を考えることで、電荷のチャージ由来のエネルギーを考え

          電磁気の考え方をコンパクトに ~電位~

          電磁気の考え方をコンパクトに ~クーロン力と電場~

          電磁気パートの1回目は基本的な概念から考える。まずはクーロンの法則から見ていこう。さっそく下の画像を見てほしい。 チャージがそれぞれ+Q,+qの2つの点電荷が及ぼしあう力を考えている。(斥力を正とした。)どうやら、実験的に力は点電荷のチャージに比例し、点電荷間の距離の2乗に反比例するようだ。力とチャージ、距離の関係は特に驚くような内容でもあるまい。ここで、遠隔作用する力の空間的な減衰(fがrの2乗に反比例すること)は少々考えにくいので、式の見方を少しばかり変えてみよう。

          電磁気の考え方をコンパクトに ~クーロン力と電場~

          コンパコラム(2) ~換算質量~

          今回は、力学分野におけるチョット面白い換算質量という概念を扱う。さっそく考えていこう。 まず、下の画像を見てほしい。 2つの質点(誰が何と言おうとサッカーボールと雲に乗った男は質点である。いや、質点でないといけないかというと実はそうでもないのだが。)BとGが互いにfの力を及ぼしあって運動している。このときのB,Gそれぞれの加速度をα,βとしている。もちろん2質点をつなぐ糸(棒?)は軽く、伸び縮みしない。また、2質点それぞれの質量はm,Mである。 この現象を解析したいのだ

          コンパコラム(2) ~換算質量~

          コンパコラム(1) ~光の二重性を視える化~

          (まず初めに言っておくと、コンパコラムというのは「高校物理を"コンパ"クトに解釈したい」のコラムという意味であって、コンパを開催しているわけではない。) さて、今回紹介したいのは光の二重性だ。簡単に説明すると、光の二重性とは、光が粒子のような性質と波のような性質をあわせ持つということである。おそらく多くの人は、原子物理を学ぶまで光の正体は粒子だと考えているだろう。(え?波だと思っていたって?私に言わせればそんな貴方はただの変態である。)しかし、物理学によると光とは粒子でも波

          コンパコラム(1) ~光の二重性を視える化~

          車二台の間隔が開くスピード

          ある問題と解答を紹介するだけなので、気軽に見て欲しい。坂を上っていく車を見てふと思いついた問があったのでTwitterで出題してみた。問題はこちら。 摩擦や空気抵抗は無視している。単純な力学モデルなので、EoMを立てて少し考えればすぐにわかる問題だ。気になるアンケート結果がこちら。 意外とばらけたので驚いた。確かに、計算せずに考えるのは容易ではないかもしれない。考え方は以下の通りになる。 結局、水平面上だろうと斜面上だろうと時刻tでの車間距離は変わらないという結果になっ

          車二台の間隔が開くスピード

          単振動の考え方をコンパクトに ~単振り子~

          様々な単振動現象のうち、大学入試頻出といって思い出されるのはやはり単振り子だろうか。今回は、単振り子についてコンパクトに見ていくことにしよう。 今回の問題設定はこれだ。 x軸は小球の軌道上にとっている。さて、さっそくEoMを立てることから始めよう。 小球が受ける力は重力と張力だが、張力は常にx軸と垂直に働くため図示していない。(しかし存在することを忘れてはならない。)力の向き、加速度の向きに注意してEoMを立式したら、ここで前回確認した三角関数の一次近似公式を利用する。

          単振動の考え方をコンパクトに ~単振り子~

          重要な近似公式をコンパクトに

          高校物理では頻繁に近似公式が登場する。特に、運動の角度を考えるときなどに三角関数の近似公式は非常に重要だ。たいていは問題文中で近似公式が与えられるが、公式の導き方を知っていると理解は深まる。(東京大学の過去問で難問と称されていたものも、筆者自身、近似の考え方を応用することですんなり解くことができた経験がある。)さっそく考えていこう。 三角関数の近似公式を考える前に2つステップを踏もう。 【ステップ1】三角関数の微分公式の確認 三角関数の微分は数学Ⅲで学習するのでここでは割

          重要な近似公式をコンパクトに