No. 31 レクイエム
広大な大地にぽつんと立つハルニレの木
双子の木が左右対称に見事な枝ぶりをつける
双葉のときからずっと一緒だったんだね
幾度もの朝日と夕日を共に見て 葉を茂らせたり落としたり
熱い日差しや雪の重みにも耐え 手を携えて生きてきた
鋼に切られることもなく 炎に焼かれることもなく
たまさか運よく生かされた
私たちは二人でひとつだった
青空に向かって両手を伸ばし 足元で大地の息吹を感じ
この広い世界で出会えた奇跡を
共に居られた喜びを
ずっと忘れないでいよう
二人で過ごすこれからが
煙となって消え失せようとも
共に過ごしたあの日々を
決して忘れないでいよう
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?