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「口頭で伝わらない」の課題と対策- 認知特性

はじめに

最近、リモートワークなどでコミュニケーションが取り辛いと感じた事は有りませんか?そんな時にちょっと役に立つかも知れないTipsを下記に紹介します。

・アンガーマネジメント
・認知特性

1つ目の「アンガーマネジメント」は個人レベルで努力する事で、仕事や私生活のイライラやモヤモヤや人間関係を楽にしてくれるメンタルマネジメントの手法です。(こちらは次回の記事で紹介するので投稿したらぜひ読んでくださると幸いです。)

2つ目の「認知特性」が今回の記事の本題です。人それぞれ情報を処理し易いスタイルがあり、多くの人が協力して働く時に、この特性の違いを理解することで、比較的スムーズなコミュニケーションを図る事ができます。

世の中には「音」で情報を理解するのが苦手な人がいる

リモートワークに限らず、口頭の会議や議論で「AをするとBの課題が発生します」と言うと「AxをしてもBは起こらない!何を言ってるんだ君は!」と返して来る人がいたりします。

この時、内心では「そりゃ、Axでは起こらないよ?だからAをすると起こるって言ったのに何を言ってるんだこの人は?そもそもAxはさっきコスト的に難しい事がわかってAについて話し合おうと言ったばかりじゃないか。」のような心の言葉が湧き出て来る人も多いと思います。

しかし、この問題は誰かが悪い訳では有りません。

原因は沢山ありますが、その中でも情報の「認知特性」が関係している場合は今すぐに対策が可能な課題なので安心してください。

認知特性とは?

下記の引用を読んでください。

「認知特性」とは、目・耳・鼻などの主に五感を中心とした感覚器から入ってきたさまざまな情報を記憶したり、脳内で理解して表現したりする能力のことです。わかりやすく言うと、認知特性とは「どういうやり方だと、自分は物事を記憶・理解・表現しやすいか?」ということ。これには「人それぞれ違う」という特徴があります。

この様に人には情報を理解しやすいスタイルが有るようです。

下記の視覚優位者は、視覚情報や空間や時間軸を元に情報を整理する事が得意なようです。「口頭」や「文字」などの枠組みからそもそも外れた部分の認知能力が高いようですね。

【視覚優位者】
■写真(カメラアイ)タイプ…写真のように二次元で思考する。写真を撮るように記憶するので、3歳以前の記憶があったり、アニメの脇役の顔も上手に描けたりする。写真家、画家、デザイナーなど。

■三次元映像タイプ…空間や時間軸を使って三次元で考える。映像として記憶するので、人の顔を覚えるのが得意で、マンションの間取り図だけで部屋を立体的に感じられたりする。建築家、パイロット、外科医、機械技術職、舞台制作者やテレビカメラマンなど。

次に言語優位者は、文字や文章を「映像化」して処理するタイプと、「図式化」して平面的に理解する人がいるようです。こちらは文字列に対する情報処理が得意なようですね。

【言語優位者】
■言語映像タイプ…文字や文章を映像化してから思考する。他人の何気ないひと言から鮮明なイメージを抱くこともあり、比喩表現なども得意。コピーライター、絵本作家、雑誌編集者、作詞家など。

■言語抽象タイプ…文字や文章を図式化してから思考する。初対面の人を名刺の文字で覚え、ノートをわかりやすくまとめるのが上手い。内科系医師、作家、教師、金融関係者、心理学者など。

最後に聴覚優位者は、文字や文章を音として情報処理するタイプと、聞いた音をそのままイメージとして情報処理できるタイプの人がいるみたいです。

【聴覚優位者】
■聴覚言語タイプ…文字や文章を耳から入れる音として情報処理する。難しい話題でも、一度聞くと理解でき、ダジャレや人の言葉尻を捉えるのが上手い。弁護士、教師、落語家、アナウンサー、音を意識できる作詞家など。

■聴覚&音タイプ…音色や音階といった音楽的イメージを脳に入力する。音楽を一度聞いただけでメロディを口ずさめたり、モノマネや外国語の発音も上手。ミュージシャンなど。

認知特性を知って

私の勘違い
筆者はおそらく「聴覚言語タイプ」と「言語映像タイプ」が強いので、世の中の人は皆、口頭で伝えられたことでも文字と同程度の理解度で認識してイメージ化や図式化を行えるものだと思っていました。

自分にできても相手にできるとは限らない
上記の勘違いから、人それぞれの特性があり、自分にとって当たり前にできる事が他人にとってもできることでは無いし、自分が難しくても他者にとっては容易に実行可能なものが有るという良く考えれば当たり前の事実を再確認する事になりました。

ちなみに、筆者は上記の勘違いに気がつく以前から認知特性の事を知識としては知っていたのですが、正しく現実の現象に紐づけて理解する事ができていなかったようで、リモートワークによるコミュニケーション問題を通してやっと理解することができました。

対策1. 文字でまとめながら話す

必要なもの
・同時に編集, 閲覧が可能なドキュメント
・口頭で会話できる環境

やり方
・ドキュメントを用意する
・話し合いの概要を書く
・話し合いのゴールを決める
・話し合いのファシリテーター(司会進行)を決める

このやり方で筆者はDiscord × Notionで実現可能だと思います。その他にもGoogle ハングアウト × Google ドライブなどの組み合わせがあります。

効果としては「口頭」では情報処理が苦手な人でも「文字」でまとめられたドキュメントを見れば頭を整理しながら話す事ができることと、概要やゴールをいつでも確認する事ができるので話し合いの軸がブレにくいので、脱線や論点がズレてしまっている時も「このドキュメントのここを確認してください」の一言で、参加者全員の意識を同じ方向に戻すことが可能です。

対策2. 顔が見える状態で話す

必要なもの
・相手の顔が見える環境

やり方
・必ず相手の顔が見える状態で話す

私達は言葉で全てを伝えきれる構造をしていないようです。20万年も身振り手振りや表情を用いて多くの情報を交換し有ってきた人間は「非言語コミュニケーション」を用いる事で不要な争いや、言葉では伝えきれない情報を補完しています。

効果としては、不要な衝突が減る。話を聞いているかなどの心配事がなくなる。音声だけでは伝わり辛い相づちの動作などを感じとる事ができる。口の動きから聞き取り辛かった言葉を予測して補完できる。などのメリットがあります。

対策3. ストーリー形式にしてまとめる

必要なもの
・ストーリー形式に話せる話術

やり方
・「なぜこの会議が必要か」を参加者が理解できる視点から描いたストーリーで伝える
・「」の部分をゴールや施策などに置き換えて、周囲の理解と合意が取れた事を確認する

正直この対策を取るのは難しいです。しかし、私達は「事実」と「物語」の2軸の情報を得ることでより理解度を高める事ができます。また、事実から結論を導ける人とそうでない人の両方にアプローチができるので、全体理解のフェーズでは有用です。

特性による「苦手」に気付いていない人が多い

色盲の人は診断テストを受けない限り、白と薄ピンクの違いが分からない。

こんな話を聞いたことは無いでしょうか?これはその特性を持った人はその特性のまま何十年も生きてきているので、自分が他人とは違う情報の取得・処理をしている事に気がついていない例です。

そのため、気がついていない人に「お前はこうだ!」と言った所で改善されるわけが有りません。

ただ、言われた側が傷ついて、言った側がモヤモヤして終わります。

課題は属人化するのではなく、仕組みで解決する

ローマは初期に王政を取っていたのですが、とある時に悪い王様が現れてローマは危機を迎えます。この時、「あの王様が悪い」と属人的な問題で結論を出すのは簡単ですが、今後「悪い王様」が現れる度に危機を迎える事が確定します。

しかし、ローマは属人的な結論で問題解決をするのでは無く「王政」と言う仕組みを「共和制」という仕組みに変える事で危機を乗り切る事に成功しました。

仕組みを疑う事は個人を疑うより難しいことです。

そのため、大きな改革や痛みを伴うかも知れません。場合によっては強い反対意見を貰うかも知れません。しかし、属人的な結論で問題を解決する事は問題を先送りにするだけであると理解する事ができれば、そのコストも必要なものと思えると思います。

終わりに

コミュニケーションの不和の原因は認知特性だけでは有りません。

色んな人がいて、それぞれの「大切」や「得意・不得意」や「知識の分布」や「思想」が有るわけですが、それによって起こる衝突はただの自然現象だと思ったほうがいいみたいです。

衝突が起こった時に真摯に向き合ってお互いの情報を出し合えば、お互いを尊重し合う事ができます。しかし、衝突が怖いからと相手に何も言わないなどの逃げに走ると、問題を先送りにして、抱えた爆弾を大きく育てる可能性があります。

また、相手に自分の意見を伝える時に感情を利用するのは危険です。
そこで冒頭に紹介した「アンガーマネジメント」が効果を発揮します。

この記事は私が知識と経験として学んだ事を文字として残したものです。私が完璧に実践できているものではなく、今後、長期に渡って実践と修正を行い続けるものだと言うことをご理解ください。

1996年生まれの渋谷周辺で働くwebエンジニアです。鉄道業界に居たり営業マンをやったりとフラフラしていたおかげで血縁者には心配されていますが、誰にも理解されなくとも高校3年生の時に思い描いた設計図の通りの行動を貫き通す変人です。どうもよろしくお願いします。