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「写真のなかで死にたい」と言ったモデルさんの話

ボクは血糊写真なんかも撮っているので、モデルさんから撮影のお話しをいただくときに、テーマとして"ダークな"題材をいただくこともあります。

前提としてボクは、画を想定してからモデルさんを選ぶ(当てはめる)ということをしません。モデルさんが決まって、どんなものが撮りたいか?どんなことを表現したいか?をうかがってから、画を決めていきます。なので、モデルさんからのお話しを(基本的に)断ることをしません。前述のやり方であれば、誰しも必ず撮れるものはあるので。

あるときモデルさんから撮影のお話しをいただき、撮りたい写真をうかがったところ「血糊で撮りたい」「写真のなかで死にたい」とおっしゃいました。自殺願望ともちょっと違うんですよね、多分。死んだ自分を見てみたいという感覚でしょうか。

写真として良いものを残すことも重要なのですが、撮影行為を通してなんらかの解消、解放になれば良いと思っています。なのでそのときは、血糊を使って、バスタブで、温かいお湯を使って、血の色になった浴槽に浸かっていただきました。身体を液体に包まれて、温かくて、血の色をしていて。と、そういうお膳立てがモデルさんを"その気にさせる"と思うからです。ついでにビニール袋もかぶせて、モノとして扱われる感覚も味わっていただきました。

普段は社会人として責任ある行動(仕事であったり家庭での役割であったり)を誰しも強いられていると思うのですが、死体になること、モノになることは、そこからの解放感が味わえるようです。

「あー、死んだ。もう仕事しなくていい。家事もしなくていい、勉強もしなくていい」。

できあがった写真を見て、モデルさんはそうおっしゃっていました。

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