先日5月17日に映画「ボブ・マーリー:ONE LOVE」(原題 Bob Marley: One Love)が日本でロードショーされました。
(主にダンスホール・レゲエですが)レゲエを聴くことが少なくないのもあり、私も公開当日に早速見てきました。
映画を見て、私が感銘を受けたことの一つに、言語の使用があります。というのも、映画全編にわたってパトワで脚本が書かれ、主演のKingsley Ben-Adirを始めとした俳優陣も基本的にパトワで演じているのです。パトワは、レゲエシーン
北大言語学サークル所属のもけけです。
全3回に亘る本記事では、文脈(コンテクスト)から得られる情報を考慮に入れた上で言語使用を研究する言語学の一分野である「語用論」の中から、その黎明期に分野の確立に大きく寄与したポール・グライスが提唱した理論を紹介し、その後の研究で再編された理論についても紹介していきます。
グライス語用論グライス語用論とは、概略、発話の意味について字義通りの「言われた事柄(what is said)」と言外に示される「推意された事柄(what is imp