90年代から続く大人気ゲームがまさかの実写ドラマ化！『ツイステッド・メタル』

武装した車同士が戦うカーアクションゲームの実写ドラマ化

ある日突然世界は崩壊した。それから20年後、世界は壁に囲まれた安全圏の「インサイド」と、少ない資源を奪い合う危険な「アウトサイド」に別れた。町から町へ危険を顧みず物資を運ぶ凄腕ドライバーのジョン・ドウ（アンソニー・マッキー）は10日間で片道約3,400km先の場所から荷物を受け取って帰って来ればインサイドでの生活を約束するという仕事を請ける。その途中で謎の女性クワイエット（ステファニー・ベアトリス）とバディを組むことになり…という物語です。1995年に発売され、2012年まで新作が作られたカーアクションゲーム『Twisted Metal』は、重火器を装備した車同士がドンパチ戦うゲームですが、それを大胆に脚色し、カーアクションや爆発や血しぶきをてんこ盛りにしたものが本作となります。

ディストピア映画なのにコメディ？荒廃した世界に懐かしい音楽？魅力的な世界観

壁に囲われた安全な町と危険な郊外という設定からもわかる通り、極端な格差社会や管理社会を描くディストピアドラマとなっています。しかし主人公ジョン・ドウはとにかくお喋りでくだらない話や下品なジョークを飛ばしまくる男。旅路で出会う登場人物たちも謎の殺人ピエロ スウィート・トゥースをはじめ、どこか間が抜けていたりクセが強すぎたりとギャグ多めになっています。また、物語設定として2002年に世界が崩壊したため、登場人物たちが聞く音楽は崩壊後に残されたCDが主流、しかも90年代ヒット曲だったりするのでオアシスやt.A.T.u.など懐かしい音楽がゴキゲンに流れます。このように暗い雰囲気になりそうなディストピアでお気楽な空気とゴキゲンな音楽が流れる感じがこのドラマ特有の世界観となっています。

独特なテイストのドラマを作り上げた信頼と実績のクリエイターたち

本作の製作総指揮は映画『ゾンビランド』や『デッドプール』の脚本家としても知られるレット・リース＆ポール・ワーニック。脚本は『コブラ会』のマイケル・ジョナサン・スミスです。本作の文明崩壊後の荒廃した世界なのにコメディ全開な雰囲気は『ゾンビランド』を彷彿とさせますし、口の減らない下品なジョークのマシンガンはまさに『デッドプール』を感じます。さらにクセの強い登場人物が有機的に絡んでいく感じは『コブラ会』らしさもあります。また、出演者のアンソニー・マッキーやステファニー・ベアトリスも本来持っているコメディセンスを全開にして演じています。つまり、実力のある作り手たちが自分たちの手腕（および得意なテイスト）を存分に活かして作られたのがこの『ツイステッド・メタル』なのです。

ジョン・ドウの出自、クワイエットの過去、インサイドの真の目的…ミステリー要素も満載！

このドラマには多くの謎が散りばめられています。例えば主人公ジョン・ドウは自分の出自を知りません。残されているのは両親と子どもの頃の自分の写真１枚だけ。腐れ縁の相棒となるクワイエットの過去も謎に包まれていますし、彼女がある場所を目指していることも徐々に明らかになっていきます。他にも暴力的な自警団組織の成り立ちや彼らが恐れているもの、そしてジョン・ドウがインサイドから請けた運び屋仕事の真の目的などのミステリー要素が見る人を強く惹きつけます。そんなミステリーに加えて軽快なジョーク、ド派手なカーアクション、ゴキゲンな音楽という「ガソリン」が満タンに詰められた本作はまさに荒野を車で爆走するような疾走感と高揚感を体感できるドラマなのです。

Text／ビニールタッキー

プロフィール ビニールタッキー
映画宣伝ウォッチャー。ブログ「第9惑星ビニル」管理人。海外の映画が日本で公開される際のおもしろい宣伝を勝手に賞賛するイベント「この映画宣伝がすごい！」を開催。X：@vinyl_tackey