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ゆとりだけどゆとりじゃない関係

2016年4月から放送され話題を呼んだ「ゆとりですがなにか」。ファンも多い本作の魅力を紹介する。

ゆとり世代に生まれた3人の物語

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「1987年生まれの29歳が、一般的に"ゆとり第一世代"と言われてますね」
第1話の冒頭でレンタルおじさんの麻生厳(吉田鋼太郎)が主人公・坂間正和(岡田将生)に発するセリフである。

1987年~2004年に生まれた世代であり、2002年に導入された完全週休5日制や5段階評価などの”ゆとり教育”から”ゆとり世代”と呼ばれるようになった。この世代であればどんな人でも「ゆとり世代だから」と揶揄されたり、否定されたりしたものである。そんな”ゆとり第一世代”と社会に括られるアラサー男性3人が迷い、もがき、あらがいながらも懸命に立ち向かう姿を描いた作品が「ゆとりですがなにか」だ。

アラサー男子たちの日々

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成績不振で営業部からグループの持つ居酒屋の店長に出向となり、不慣れな店長業務を担う坂間(岡田将生)、恋愛経験ゼロの小学校教諭の山路(松坂桃李)、風俗店のキャッチをしながら東大を目指し11浪人中のまりぶ(柳楽優弥)。偶然出会った1987年生まれの3人。週に3〜4回、顔を合わす仲だが、友達という関係性ではない。そんな距離感だからこそ言える職場の愚痴や人間関係のぼやき。回を重ねるほどに心許せる関係へと発展していく人間模様から目が離せない。

また、坂間の彼女であり、会社の同期である茜(安藤サクラ)や教育実習生の佐倉悦子(吉岡里帆)、坂間の妹のゆとり(島崎遥香)との関係など仕事以外でも乗り越えなければいけない課題はたくさんある。

”ゆとり世代”と括られた3人には、それぞれ違った環境や生き様があり、悩みや物事への向き合い方も違う。”ゆとり世代”と一緒くたにはできないものである。悩みもがく姿に共感し、”友達ではないけど心許せる関係”を大人になってから築ける3人が時に羨ましくも思う。

強烈キャラクターだけど、なぜか憎めない山岸

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飲み会に対して「それって強制スか?」、得意先に遅刻してきて「道わかんないんで、駅からタクっちゃいました」、ミスを叱られた翌日に「会社やめま~す!」とLINEをするなど”真正ゆとり世代”を象徴する超マイペースなキャタクターが山岸ひろむ(仲野太賀)である。
”ゆとりモンスター”として数々の名言を残す山岸は坂間に対し、イラつかせる発言、挑発するような態度を取りつづけ、ついには叱られたことをきっかけに坂間をパワハラで訴える。

観ているこちらもイラつかせる強烈なインパクトを残す”ゆとりモンスター”山岸が社会にもまれていく姿にも注目してほしい。

強烈なのに何故か憎めないキャラクターの山岸は翌年に主人公としてスピンオフドラマ化。連続ドラマの1年後を描く「山岸ですがなにか」は<テレビドラマ「ゆとりですがなにか」の制作現場>にて、ゆとり世代の取材を受けるなかで恋が始まる爆笑ラブコメディ。ぜひ、ドラマシリーズとあわせて観てほしい。

宮藤官九郎×水田伸生!安定感のあるスタッフ陣

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「池袋ウエストゲートパーク」や「俺の家の話」など話題作を作り続ける宮藤官九郎が脚本を担当。「社会人経験ゼロの私が、45才にして初めて挑む社会派ドラマ」とコメントしている。監督は「初恋の悪魔」や「獣になれないわたしたち」を手がけた水田伸生。

このタッグが描く小気味の良い会話やコミカルなシーンの応酬が観ていて気持ちがよい。そして登場するキャラクター全員に愛しさを覚える。2017年に放送されたスペシャルドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」も同じスタッフ陣で制作され、現在、待望の映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』も公開中である。

若者の代表が”ゆとり世代”から”Z世代”になってからも変わらない関係性があり、変わらない面白さがある。ぜひ、ドラマからぜひ視聴してほしい。

▼「ゆとりですがなにか」や「山岸ですがなにか」の視聴はこちらから

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