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【ブルボンヌ】現代版SATCはウリか呪いか。セックスだけじゃない本当のガールズを見て!

 「セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)」は確かに時代の象徴だった。日本放送当時はアタシもドハマりしたし、映画版が公開された時なんかゲイ友達4人で、名誉棄損で訴えられそうなキャラ担女装をして観に行ったほどだ。だからこそ、その後作られた都会を舞台にした女子群像劇のほとんどが「SATCと比べてどうか」という呪いをかけられてしまった。

 『NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』も、紹介サイトなどでは堂々と「現代版SATCと評判の」という枕詞が使われている。たしかに知名度抜群でアタシたちが大好きだったアレは、最初のフックにはなる。けれど、あんなしぶとい金持ちパリピババアたちを基準にしてしまうと、一見どれも「地味」という烙印を押されてしまうのだ。

 正直、今年50のTOKYOオネエというSATCフォロワーど真ん中のアタシの最初の感想もそのものだった。そして1話目のエンディングで悔い改めた。ああ、このコたちは今を本当に生きている「ガール」なんだ。20年も前の、アメリカの白人のオネエゲイたちが自分たちのイケイケっぷりを「女性キャラ」に託したストーリーとは、寄り添い方が根本的に違うんだ、と思い知った。

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主人公ジェーンがライターで、ちょっとヒステリックなぶん友人たちの株が上がるところは似ている。けれど彼女は恋とセックスの記事ばかりでなく、若い女性たちも政治に興味があるはずだと信じている。乳がん遺伝子検査や性暴力被害を受けた女性の取材もする。セックスシーンから入ったサバサバキャラのサットンはサマンサ担にも思えたけれど、本当にやりたいファッションの道で必死に自分をアピールしていく。そして非白人のキャットはSNS担当としてネットの中傷と戦い、イスラムのレズビアン写真家への想いを募らせる。彼女たちは確実にアップデートされた、今を生きるリアルなガールズなのだ。

 劇中の「ルポールのドラァグレースは観ない!職を失うか不安なのに」には吹いてしまった。しんどい日常を忘れて現実離れしたパーティとセックスに没頭する世界から、リアルから逃げず、そこに喜びを逞しく見つけて心から友と笑うためのエール。

 いつの間にかSATC残党オネエでさえ、彼女たちの本気に「アタシもまだ進もう」って励まされちゃったもの。SNSの義理のイイネより、彼女たちのダイアリーを覗くほうがよっぽど自分を好きになれるかもよ?

text/ブルボンヌ

『NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』シーズン1~5 最新話まで配信中!


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