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おとなひきこもりをめぐる一昨年の動き(前編)

※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文を転載してきましたが、昨年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。

※先月の更新から今までの間に、フォロワー様が200人を超えました。ご関心をお寄せいただき誠にありがとうございます。

※さて、5日遅れで更新する今月は、おととし都内であった出来事について書いた文章を転載しますが、来月に転載する文章へつなげる都合上、公開した順番を逆にしておととし8月に自分のFacebookに投稿した文章を前編に、同3月にメールマガジンの「当方見聞読」欄に掲載した文章を後編に、それぞれ転載します。

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ひきこもりイベントの定期開催が終了

 8月1日は「 “ひきこもり史” に残る節目の日」となりました。
 当事者経験者はじめ参加者の間で長く語り草になるだろう名イベント「ひきこもりフューチャーセッション庵-IORI-」(IORI)が、この日の50回目をもって定期開催を終了したのです。

 IORIは、あくまでひきこもり分野の定期イベントであって支援活動ではないにもかかわらず、たくさんのひきこもり当事者がエンパワーメントされました。その様子は「支援の場より非支援の場」という私の主張を実証してくれていたかのようでした。ここで生まれた/育まれた活動も多く、ひきこもりをめぐる状況の進展に大きく寄与したイベントだと賞賛してもし過ぎることはないでしょう。

 私はと言えば、この回には参加できなかったのですが、まだ初期で参加者が30人にも満たないのではという規模だった2013年6月に初めて参加したとき一発で気に入り、以来都合のつく限り参加してきました(ちょうど1年後の回で出版間もない拙著『不登校・ひきこもりが終わるとき』を広報させてくださったおかげで、その後読んでくれた数人の当事者仲間と意気投合したのも素晴らしい思い出です)。
 私が居場所と感じている場はいくつかありましたが、IORIは間違いなくそのひとつでした。

 私にとって開催日である偶数月の第1日曜日は、たくさんの当事者仲間や活動者等と知り合ったり交流したりする楽しい日であり、たくさんの活動構想・支援構想・コンテンツにふれて、自分の仕事や活動に役立つ知見やヒントを得る学びの日でした。
 たとえば、まだ広く知られていなかった分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」(転載者注:このnoteのカバー画像の左に写っている)の知名度を上げるためにレンタルして各所でデモンストレーションしたのは、オリヒメをIORIで知ったことがきっかけ。また、私の目標のひとつである「ひきこもり生活の質(ひきこもりQOL)向上支援」も、構想していた当時に打ち上げの席で当事者仲間と語り合うことによって具体化していき、このテーマでテーブルオーナー(話し合いたいテーマを出して当日発題する人)もやらせていただきました。

 9年近くの間、多くのひきこもり当事者が意見・提案を出したり、それぞれの役割を担ったりする場を堅持し続けてくださった運営の皆様には、感謝してもしきれません。たくさんのご苦労があったことと思いますが、あまり関われなかったことをお詫び申し上げますとともに、長い間の絶えざるご厚情と懸命なご努力に、深く深く感謝申し上げます。

初出:丸山康彦Facebook(2021年8月3日)

                         <後編に続きます>

不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。