線を聴くアート展、銀座メゾンエルメス

2015年5月3日

鯨津朝子(Tokitsu Asako)の「32本の線」。

3層吹き抜けの銀座メゾンエルメスフォーラムの空間、壁天井一杯に木炭で自在に線をほとばしらせる。線の交点がフッと消えている。空間の真ん中にあるマンガ・ポッドというアトリエ・ワンが制作した木造ラックに、その線が移し替えられている。ラックに移し替えられた線に目を合わせて、壁に描かれた空白を埋めるように見ると、ピタリと連続する。アーティスト鯨津朝子の創造した空間で、その発見に夢中になった。

イグナシオ・ウリアリテ「輪ゴムの円」。自ら「オフィスアート」と呼ぶように文房具に対する愛情からうまれたアートである。直径2mほど、床に濃い緑色の輪ゴムが敷きつめられている。水たまりに映った新緑の木漏れ日が、風で揺らめいているようである。この展覧会は「線を聴く」と名付けられている。目にみえる作品は出入り口であり、その奥からの発信は、耳殻で感じるんですよ、といっているようだった。

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